2026/1/30

私たちが子どもの頃には、今のようなスマートフォンも、SNSも、生成AIもありませんでした。
分からないことがあれば、本で調べる。
先生や親に聞く。
テレビや新聞を見る。
そんな時代から、今は大きく変わりました。
子どもたちは、スマートフォン一つで世界中の情報を見ることができます。
分からないことをAIに聞けば、数秒で答えが返ってきます。
自分で文章を考えなくても、AIが文章を作ってくれる。
写真も、動画も、声さえも、本物のようにつくれる時代になりました。
とても便利です。
でも、その便利さと一緒に、
「本当にこの情報は正しいのか?」
を自分で考える力が、これまで以上に必要になっていると思います。
私は、これからの西原の子どもたちに、その力を身につけてもらいたいと考えています。
AIやSNSについて、
「危ないから使わせない」
という考え方もあります。
もちろん、子どもの年齢に応じたルールや制限は必要です。
しかし、子どもたちはいずれ大人になります。
学校を卒業し、大学へ進学したり、仕事をしたり、自分自身で社会の中を生きていかなければなりません。
その社会から、AIやインターネットがなくなるとは考えにくいと思います。
だから私は、
「使わせないこと」ではなく、「正しく付き合う力」を身につけてもらうことが大切
だと考えています。
AIの回答だから正しい。
SNSでたくさん拡散されているから正しい。
有名な人が言っているから正しい。
動画になっているから本物。
そうではありません。
一度立ち止まって、
「本当にそうなの?」
と考える。
別の情報も調べてみる。
誰が発信しているのか確認する。
いつの情報なのかを見る。
AIが出した答えなら、別の資料でも確かめる。他の複数のAIでもダブルチェックする。
そんな習慣を、子どもの頃から身につけてもらいたいと思っています。
私自身、これから父親になります。
当然、自分の子どもにも、インターネットの危険性やAIの使い方を教えていきたいと思っています。
でも同時に、こうも思います。
朝から仕事へ行く。
帰ってきたら家事をする。
子どもの食事を準備する。
宿題を見る。
お風呂に入れる。
明日の準備をする。
そんな毎日を送りながら、
新しく出てきたAIについて調べる。
子どもたちの間で流行しているSNSを調べる。
新しいネット詐欺を調べる。
生成画像や生成動画の技術を調べる。
個人情報や著作権について調べる。
そして、それを子どもの年齢に合わせて分かりやすく説明する。
これをすべての家庭に求めるのは、現実的ではないと思います。
特にこの分野は、変化がとても速いです。
数年前には存在しなかったサービスが、半年後には子どもたちの間で当たり前になっていることもあります。
だから私は、
子どものAI・SNS・情報リテラシー教育を、家庭だけの責任にはしたくありません。
学校でも学べる仕組みをつくりたいと思っています。
ここで、もう一つ大切にしたいことがあります。
「家庭だけでは難しいから、学校で教えましょう」
と言うだけなら簡単です。
でも、それでは今度は先生たちに、
「AIについて勉強してください」
「最新のSNSについて調べてください」
「教材を作ってください」
「授業をしてください」
という新しい仕事を増やすことになります。
私は、それも違うと思っています。
先生たちは、すでに授業だけをしているわけではありません。
授業の準備。
テスト。
採点。
保護者対応。
学校行事。
児童生徒への対応。
さまざまな仕事があります。
そこへ、変化の速いAIやSNSについて、
先生個人が自分で調べ、教材を作り続ける仕組みにはしたくありません。
新しい教育を始めるのであれば、
「誰がその仕事をするのか」まで考える。
これは、行政側が必ず考えなければならないことだと思っています。
私が考えている一つの方法が、
半年に一度程度の「AI・SNS情報リテラシー講座」
です。
例えば、学年集会などの時間を活用します。
そして、基本的には学校の先生ではなく、
外部の専門家に講師をお願いする。
その時点で子どもたちの間で使われているサービスや、実際に起きている問題に合わせて内容を更新します。
例えば、
生成AIの答えをそのまま信じてもいいのか。
AIに自分や友達の個人情報を入力してもいいのか。
SNSで流れてきた情報を、どう確認するのか。
生成された写真や動画と、本物をどう見分けるのか。
一度インターネットに投稿した写真や文章はどうなるのか。
SNSで知らない人から連絡が来たらどうするのか。
ネット上のいじめや誹謗中傷。
ネット詐欺や怪しい勧誘。
著作権。
そういった、その時代に必要なテーマを取り上げます。
毎年まったく同じ講演をするのではありません。
社会が変われば、内容も変える。
だからこそ、「半年に一度」という考え方です。
もちろん、小学生と中学生に同じ話をしても意味がありません。
例えば小学校の低学年なら、
「自分の名前や住所を知らない人に教えない」
「友達の写真を勝手に載せない」
「インターネットに書いてあることが全部本当とは限らない」
といった基本的なところから始める。
高学年になれば、
「検索した情報を比べてみる」
「SNSの情報をすぐに拡散しない」
「AIが間違った答えを出すことがある」
といった内容を加える。
中学生になれば、
生成AI。
偽画像や偽動画。
個人情報。
著作権。
SNS上での人間関係。
ネット詐欺。
情報源の確認。
など、もう一段深く学ぶ。
成長に合わせて、少しずつ判断できる範囲を広げていく。
そんな教育が理想だと思っています。
ここも重要です。
教材は、それぞれの先生に一から作ってもらうのではなく、
教育委員会側で共通の教材を準備する。
国がすでに公開している教材もあります。
文部科学省は、小学生から高校生までを対象とした情報モラル教材を公開しています。
生成AIについても、
「生成AIの答えは全部正しいのか」
「個人情報を入力するときの注意」
「著作権」
「一つの情報だけで判断してよいのか」
といった児童生徒向けの動画教材がすでに用意されています。
こうしたものをゼロから作り直す必要はありません。
使えるものは使う。
そのうえで、西原の子どもたちに必要な内容を専門家と一緒に補う。
私は、この方が費用も先生の負担も抑えられると思っています。
半年に一度の講演会だけでは、すべてを伝えることはできません。
そこで、必要に応じて、
10分から15分程度で学べる短い動画教材
を用意する方法もあると思います。
例えば、
「最近こんなSNSトラブルが増えています」
「生成AIを使うとき、この3つには気をつけよう」
といった内容です。
ここでも、
「先生が45分の授業を考えてください」
にはしません。
動画を流す。
そのあと、数問の確認問題に答える。
必要であれば少し話をする。
その程度で終えられる教材を最初から用意しておく。
そうすれば、新しい教育を取り入れながらも、先生の準備時間をできるだけ増やさずに済みます。
子どもたちがAIやSNSについて質問したとき、
先生がまったく知らないという状態も困ります。
ですから先生にも、最低限の最新情報は共有する必要があります。
ただし、
「各自で勉強しておいてください」
ではなく、
外部講師の講演資料を共有する。
短い研修動画を見る。
その時期に注意すべきことを一枚にまとめる。
といった形で、
短時間で必要な情報を確認できる仕組み
にしたいです。
できる限り勤務時間の中で対応できる形にする。
新しい教育を始めるからといって、先生の休日やプライベートな時間にまで勉強をお願いするような制度にはしたくありません。
すべてを学校の中だけで完結させる必要もないと思っています。
ITの専門家。
大学。
情報セキュリティに詳しい人。
ICT支援人材。
必要に応じて警察などの関係機関。
さまざまな人の知識を借りることができます。
西原町だけですべての教材や講座を一からつくる必要もありません。
オンラインで複数の学校をつないで、一人の専門家から同時に学ぶ方法もあります。
毎回すべての学校へ講師を派遣するより、費用や移動時間を抑えられる可能性もあります。
まず小さく始めて、
子どもたちの反応。
先生の負担。
費用。
保護者からの意見。
を確認しながら、より良い形に変えていけばいいと思っています。
そして私は、子ども向けの講座だけで終わらせたくありません。
例えば講演を行った後に、
「今回、子どもたちはこんなことを学びました」
という内容を保護者にも届ける。
A4一枚でもいい。
5分、10分程度の保護者向け動画でもいい。
そこに、
「最近こんなサービスが使われています」
「家庭ではここだけ気をつけてください」
「子どもとこんな話をしてみてください」
とまとめます。
これなら、お父さん、お母さんが何時間も調べなくても、最低限の最新情報を知ることができます。
そして、
「今日、学校でAIのこと習った?」
という会話が家庭で生まれるかもしれません。
学校で学ぶ。
家庭でも少し話す。
でも、その準備を先生や保護者だけに背負わせない。
町と教育委員会が、その間をつなぐ。
私は、そんな仕組みがいいと思っています。
この政策で私が大切にしたいのは、
誰か一人に責任を押しつけないことです。
「子どものスマホのことだから、家庭でお願いします」
でもない。
「教育なのだから、学校で全部お願いします」
でもない。
「先生なのだから、新しい技術も勉強してください」
でもない。
家庭。
学校。
教育委員会。
専門家。
地域。
それぞれができることを分担する。
そして、外部人材や既存教材、ITも使いながら、
できるだけ少ない負担で、必要な教育を子どもたちへ届ける。
私は、その仕組みをつくりたいと思っています。
私は、
AIを誰よりも上手に使える子どもを育てたいわけではありません。
SNSに詳しい子どもを育てたいわけでもありません。
私が身につけてほしいのは、
自分で確かめる力です。
「本当にそうなの?」
と考える。
調べる。
比べる。
誰が言っているのかを見る。
なぜそう言えるのか考える。
そして最後は、
自分で判断する。
AIが答えを出してくれる時代だからこそ、
自分で考えることをやめない。
SNSでたくさんの情報が流れてくる時代だからこそ、
すぐに信じない。
すぐに拡散しない。
一度立ち止まって考える。
その力は、AIやSNSだけのためのものではありません。
これから社会を生きていくために必要な力だと思っています。
私の子どもが小学生になる頃、
今使われているAIやSNSが、そのまま残っているかどうかは分かりません。
今とはまったく違う技術が登場しているかもしれません。
だからこそ、
特定のアプリの使い方だけを覚える教育ではなく、
新しいものが出てきても、自分で考え、確かめ、判断できる子どもを育てたい。
家庭だけに背負わせない。
先生だけにも背負わせない。
学校と家庭、教育委員会、専門家が力を合わせて、子どもたちを支える。
AI・SNS時代に、自分で確かめ、判断できる子どもたちへ。
私は、西原町からそんな教育を進めていきたいと考えています。
かわき保幸
文部科学省「情報モラル学習サイト」
https://www.mext.go.jp/moral/
文部科学省「情報モラルに関する児童生徒向け動画教材・教員向け指導手引き・保護者向け資料等」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1368445.htm
文部科学省「動画教材等(令和元年度以降)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416322.htm
文部科学省「情報モラル教育の充実等」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1369617.htm
文部科学省「学校における働き方改革について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/index.htm
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カワキ ヤスユキ/41歳/男
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