2026/7/18
成田市の2023年農業産出額は212.8億円。いも類88.2億円を中心に、米、野菜、養鶏、養豚が組み合わさる。大栄・下総地区に集中する農業と担い手減少を分析する。
成田市の農業は、都市近郊の小規模農業というイメージでは捉えられない。サツマイモを中心に、米、野菜、養鶏、養豚を組み合わせた大規模な複合農業地域である。
連載の目次
成田市と聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのは成田空港だろう。
しかし、市域を東へ進み、大栄地区や下総地区に入ると、景観は大きく変わる。畑、水田、畜産施設が広がり、空港や駅周辺とは異なる産業空間が現れる。
成田市の農業は、空港都市の周辺にわずかに残った産業ではない。年間200億円を超える農業産出額を持つ、地域経済の重要な柱である。
2023年の市町村別農業産出額推計によると、成田市の農業産出額は212億8,000万円だった。
最大部門はいも類で88億2,000万円。全体の4割強を占める。
このほか、野菜が33億1,000万円、鶏が29億7,000万円、米が27億2,000万円、豚が20億6,000万円、乳用牛が5億7,000万円となっている。
特定の一品目だけに依存するのではなく、畑作、水田作、野菜、養豚、養鶏が組み合わされた複合的な生産構造である。
いも類の中心は、かんしょ、つまりサツマイモである。
2020年農林業センサスでは、販売を目的としてサツマイモを作付けした経営体が426あり、作付面積は786ヘクタールだった。いも類を扱う農業経営体は468に上る。
成田市周辺には、サツマイモ生産に適した畑作地帯が広がっている。生食用だけでなく、加工、貯蔵、業務用など複数の需要に対応できれば、生産から流通まで幅広い経済活動が生まれる。
ただし、市内で生産されたサツマイモが、どこで選別、貯蔵、加工され、どの市場へ出荷されているかは、農業産出額だけでは分からない。
成田市の農業は、市内に均等に分布しているわけではない。
大栄地区の農業従事者が1,431人とされ、市全体の約4割を占めている。旧大栄町、旧下総町を中心とする地域に農業が強く集積していることを示す。
市中心部や空港周辺の産業構造と、大栄・下総地区の産業構造は大きく異なる。
成田市全体の平均値だけを見ると、空港関連産業の巨大さによって農業の存在が見えにくくなる。地域別に産業を分析する必要がある理由の一つである。
農業統計を読む際には、用語の定義に注意が必要だ。
提供資料では、2020年の農業従事者を3,549人としている。一方、農林水産省の市町村詳細データでは、「農業に年間60日以上従事した世帯員、役員・構成員」は2,450人、「基幹的農業従事者」は2,097人となっている。
これは、どの範囲の人を農業従事者に含めるかによって数字が異なるためである。
時系列で減少を分析する場合は、同じ定義の統計を用いなければならない。市町村合併による区域変更の影響にも注意が必要だ。
農業従事者は2005年の7,206人から2020年の3,549人へ減少している。
仮に同じ定義で比較できるとすれば、15年間でほぼ半減したことになる。
ただし、人数の減少が、そのまま生産量の減少を意味するとは限らない。農地の集約、大規模化、機械化、法人化、常雇いの活用によって、少数の経営体が広い農地を管理する構造へ移行している可能性がある。
2020年には、10ヘクタール以上の経営体が64、30ヘクタール以上の経営体も10存在した。法人経営体は26だった。
今後は、農家数の減少だけでなく、1経営体当たり面積、法人経営体数、常雇い、後継者、新規就農者、耕作放棄地の動向を確認する必要がある。
成田市の農業は、サツマイモを中心とする畑作に、米、野菜、養豚、養鶏を組み合わせた複合農業である。
一方で、担い手減少が進み、経営の集約や法人化が重要な課題になっている。
さらに、市内農産物が市内食品工場で加工されているのか、空港から輸出されているのかという点は、まだ十分に解明されていない。
次回は、空港、駅前、ニュータウン、農村、工業団地が併存する成田市を、地域別の「経済地図」として捉え直す。
A.2023年推計で212億8,000万円です。最大部門はいも類の88億2,000万円です。
A.特に大栄地区や下総地区など、市東部の旧町地域に強く集積しています。
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シミズ ヒロキ/30歳/男
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