2026/7/18
成田市の運輸・郵便業では、市内就業者が2万3,035人に上り、市民就業者の約2倍。航空、物流、警備、清掃、人材派遣などに分散する空港関連雇用の実態を読む。
成田市の空港関連産業は、市内居住者だけでなく、周辺自治体から通う大量の労働者によって支えられている。ただし、空港雇用は一つの産業分類には収まらない。
連載の目次
成田市内で働く人が最も多い産業の一つが、運輸業・郵便業である。
2020年国勢調査では、運輸業・郵便業に就く成田市民は1万1,281人だった。これに対し、成田市内で同産業に従事する人は2万3,035人に上る。
市内の運輸・郵便業の雇用は、市民就業者の約2倍に達している。市内居住者だけではなく、市外から通う労働者が空港と物流の現場を支えていることが分かる。
成田空港に関係する仕事と聞けば、航空会社の乗務員や空港職員を想像しやすい。しかし、実際の空港運営は、はるかに多くの業務によって成り立っている。
航空機の誘導、手荷物の搭載、航空貨物の取扱い、通関、給油、整備、機内食、警備、清掃、施設管理、旅客案内、免税店、ホテル、レンタカー、人材派遣、検疫などである。
これらは公的統計上、航空運輸業、道路貨物運送業、倉庫業、運輸に附帯するサービス業、飲食料品製造業、宿泊業、小売業、職業紹介・労働者派遣業、警備業、建物サービス業、公務などに分散している。
「空港関連産業」という分類項目が、そのまま統計表に存在するわけではない。
2021年の経済センサスに基づく成田市の産業中分類別データでは、運輸業・郵便業の従業者は2万1,839人だった。
内訳を見ると、航空運輸業が3,266人、道路貨物運送業が3,384人であるのに対し、「運輸に附帯するサービス業」は1万3,142人に上った。空港や物流拠点を支える現場サービスが、極めて大きな雇用部門になっている。
この分類には、空港運営を支える各種サービスが含まれる。ただし、その全てが成田空港関連であるとは限らない。事業所の所在地や業務内容を確認し、空港関連と一般物流関連を分ける作業が必要だ。
国勢調査では、「サービス業(他に分類されないもの)」に就く成田市民は5,844人だった。一方、成田市内で同産業に従事する人は1万624人に達した。
宿泊業・飲食サービス業でも、市民就業者3,882人に対し、市内就業者は5,763人だった。
これらの差にも、空港関連の警備、清掃、施設管理、人材派遣、ホテル、飲食などが含まれていると考えられる。
しかし、「サービス業(他に分類されないもの)」を全て空港関連とみなすことはできない。自動車整備、機械修理、廃棄物処理など、空港との関係が薄い事業も含まれるからだ。
空港関連雇用を正確に推計するには、産業分類だけでなく、事業所名、所在地、主要顧客、業務内容を個別に確認する必要がある。
空港関連産業が大量の雇用を生み出していることは確かである。
だが、従業者数が多いことだけでは、賃金水準、雇用の安定性、生産性、付加価値の大きさまでは分からない。
同じ空港関連産業でも、航空会社の専門職、物流企業の正社員、業務委託会社の現場職、派遣労働者、短時間勤務者では、賃金や雇用条件が異なる。
今後は、正規・非正規雇用、常用雇用者数、男女構成、年齢構成、従業者1人当たり付加価値額などを組み合わせる必要がある。
成田空港は、航空会社だけで動いているわけではない。
航空貨物、グランドハンドリング、道路貨物、倉庫、警備、清掃、派遣、宿泊、飲食、小売、行政など、多数の産業が一体となって空港機能を支えている。
その労働力の相当部分は、市外から通う人々によって供給されている。
次回は、サービス業の都市というイメージの陰に隠れやすい成田市の製造業を取り上げる。雇用では食料品製造業、出荷額では化学工業が中心になるという、二重の構造が見えてくる。
A.2020年国勢調査の従業地集計では2万3,035人です。成田市に住む同産業の就業者1万1,281人の約2倍です。
A.単独の統計項目では分かりません。空港関連業務が複数の産業分類に分散しているため、事業所単位で再集計する必要があります。
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シミズ ヒロキ/30歳/男
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