2026/9/11
学校現場では、タブレットが生徒全員に渡されたり、行政サービスにおいても、インターネットやコンビニの端末機械で住民票などが発行できるようになったり、いわるゆるデジタル技術が導入され便利になってきているようです。しかし、それを使いこなせるような能力を身につけなければ生きていけないという風潮は、ある意味、暴力的な圧力ではないでしょうか。ある教育関係者は、教育とは魚を食べることを教えるのではなく、魚をどう料理するかなど、生きていく力をつけるためのものだと言っていましたが、そうした言葉の根には、それができないものは社会から脱落するという、優勝劣敗の思想そのもののが、根深く潜んでいるのではなないでしょうか。
そのことと関係して、人口のかなりの人々が「境界知能」言われていることについての、ある大学の紹介文がありましたので、やや長文ですが、下に載せておきますので、御覧いただければと存じます。

「境界知能」という言葉を御存知でしょうか? 知能が平均とされる範囲より下と判定されるものの、知的障害があるとまではいえないレベルのことをいいます。知能指数(IQ)で示すと70から85程度の範囲にあたります。
■30人学級1クラスに4人はいる?
IQは平均値を100として作られた知能検査に基づく数字です。集団のデータを集めると正規分布を作るので、知能指数が100の人の数がいちばん多くなり、そこから左右対称に数値の低い方、高い方へと減っていきます。
知的障害は、このごろは知能指数だけを診断の根拠にはしませんが、少し前まではIQ70を基準に診断していました。つまり、70未満を知的障害とみなしていたのです。正規分布でみてみると、その人口は全体の2.2%であることがわかります。
境界知能の場合は、同じく13.6%になるのですが、小学校の30人学級だと1クラスに4人はいる計算ですから、けっこう大きな数字です。
小学校の低学年はまだなんとかなっても、3年生ぐらいになるとついていけなくなります。本人も授業がよくわからなくて苦痛なうえに、自分が周囲に比べてできないことがだんだんわかってくるので、学校がつまらなくなってきます。そのまま放っておかれたら、いわゆる落ちこぼれになったり不登校になったりしかねない?。
■「発達障害ブーム」で増えた検査件数
境界知能の子どもたちの存在は、実はずっと以前から知られていました。それが、最近になって注目を浴びるようになったのは、いわゆる発達障害ブームに乗って、保育や教育の現場で発達関連の相談件数が増え、それにともない知能検査の実施件数も増え、IQが70から85ぐらいのレベルにある子どもたちがあぶり出されてきたせいとも思えます。
発達障害が世に知られるところとなり、実際に知能検査を受ける子どもの数は昔に比べずっと増えました。幼児期から発達を心配されて療育機関に通っていた子は、そこで検査を受けていたり、就学相談の際に受けるように勧められたりします。
小学校入学後も、落ち着いて授業に参加できない子や集団行動になじめない子などは、教育相談や児童精神科に連れて来られることがあります。そこで、それではまず検査をしましょうかという話になります。
こういうときに行われているのが、知能検査です。幼児期には、運動機能も含め心身の発達全体をみる検査が行われることが多いのですが、就学前後、あるいはその後ではとくに知能に重点が置かれます。
知能検査をしますと言われると、「心配なのは発達障害なのに、なぜ知能検査? うちの子、知能に問題があるの?」と余計に心配を膨らます親御さんもいるかもしれません。無理もありません。私たち、検査をする側にしても、事前の説明や結果の報告の際にはけっこう気をつかいます。
しかし、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)など、「発達障害」ではそれぞれの特徴が重なりあっているケースが多く、また知的障害との合併も多いので、これらの鑑別のためにも知能検査が必要だとされるのです。
■知的障害と発達障害
行政が両者を分けているのは、知的障害に関する法律が発達障害のそれより先にできていたからであって、法律上の都合によるものです。
ちなみに、知的障害者福祉法が施行されたのは1960年、発達障害者支援法の方は2005年。いずれも障害を持つ人たちへの福祉を図る目的で作られた法律で、制定後何度か改正されていますが、歴史的には後者の方がずっと新しいのです。
「境界知能」の場合は、制度上こうした支援の対象から漏れてしまうわけですが、かといって子どもにまた新しい名札をつけてどこかの教室に振り分けないといけないものなのか。
クラスに境界知能の子どもたちがどれだけいるかわからないとしても、じゃあ全員に知能検査を行ってスクリーンするかというのは非現実的だし、気持ちよくありません。
そもそも、現在用いられている知能検査にしたって、よくデザインされているとはいえ、測定可能な能力を測って集めただけに過ぎません。たとえば、思考の柔軟性や創造力、発想力といった能力は測れない。検査で人間の知能の総体を測ることはできないのです。
たまたま知能検査をする機会があって、境界知能に該当する子どもが見つかったなら、それはそれでいいでしょう。しかし、わざわざ検査をしなくたって、学業成績の振るわない、クラスで下から4、5番目の生徒たちに気を配っていれば、同様に困っている子どもを見つけることはできるはずです。
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