2026/8/19

育児と介護の二刀流!鎌倉市議会議員の細川まなかです。
細川まなか(ホソカワマナカ)|政治家情報|選挙ドットコム (go2senkyo.com)
8月17日に開催された、第1回 新庁舎等整備手法検討会議(本庁舎等整備委員会)を傍聴してきました。
この会議は、鎌倉市の新庁舎等について、今後どのような整備手法を採用していくのかを調査・審議するものです。
今回の議題は、
①新庁舎等整備手法の検討に向けた現状と課題について
②今後の進め方について
の2点でした。
今回の検討会議が立ち上がった背景には、新庁舎の建設費の大幅な高騰があります。
鎌倉市はこれまで、深沢に整備する新庁舎について、市が自ら建設し、運営する「公設公営」を基本に計画を進めてきました。
しかし、物価や建設工事費の高騰などにより、新庁舎の工事費は、当初想定していた約140億円から約300億円にまで増加する可能性が出てきました。
さらに、深沢地域整備事業そのものについても、事業費が約263億円から約358億円に増加する見込みとなっています。
そして2026年5月、市長は、それまでの「公設公営」の計画を一度見直し、民間の資金やノウハウを活用して公費負担を抑える新たな整備手法を検討する方針を表明しました。あわせて、有識者による検討会を立ち上げることも発表しました。
これを受けて設置されたのが、今回傍聴した「新庁舎等整備手法検討会議」です。
市は、議会や政策判断などの機能を現在地に残しながら、深沢にも新庁舎を整備する「両輪体制」については継続するとしています。
議題1では、まず約40分にわたり、新庁舎整備や深沢地域整備のこれまでの経緯、現在の「両輪体制」、そして官民連携による整備について市から説明がありました。
現在、市は、
鎌倉・現在地の本庁舎
深沢の新庁舎
という「両輪体制」を基本方針としています。
そして今回、市が特に強く打ち出したのが、官民連携手法、いわゆる「民設民営」です。
市の資料では、そのメリットとして、
① 財政負担の抑制
② 深沢の価値向上に直結
③ 時代変化への対応力が高い
④ 収益施設が庁舎コストを支える
⑤ エリアマネジメントとの相性が良い
という5点を挙げ、
「財政負担の軽減」だけではなく、深沢地域を持続可能な第3の都市拠点として育てるために、官民連携手法(民設民営)が最も合理的である
とまとめました。
この説明が終わった直後、傍聴席から、深沢に新庁舎を整備すること自体について市民の理解が得られていないのではないか、という趣旨の声が上がる場面がありました。
これを受けて委員からも、
「そもそも、この会議では何を検討するのかをもう一度整理したい」
という趣旨の発言がありました。
確認されたのは、現在地と深沢を役割分担する「両輪体制」を前提として、深沢の新庁舎整備に民間活力をどう活用するか、その手法を検討する会議であるということです。
一方で委員からは、
「両輪体制そのものについても、もう少し深く議論し、市民が納得できる形にしていく必要があるのではないか」
という趣旨の意見も出ていました。
委員からは、新庁舎の整備手法だけでなく、深沢という場所そのものについても様々な意見が出ました。
深沢地域周辺が整備されても、市内の別のエリアで交通のボトルネックが生じるのではないかという指摘です。
手広交差点周辺は現在でも渋滞が激しく、新たな施設や人口の増加によって周辺道路にどのような影響が出るのかという懸念が示されました。
水害への懸念も出ました。
これに対し市からは、神奈川県が柏尾川上流で整備を進める金井第二遊水地や、梶原周辺での雨水調整池整備などについて説明がありました。
防災の観点からは、
「市役所機能は一か所に集中させず、分散した方がよいのではないか」
という趣旨の意見もありました。
肝心の民間活力の活用についての議論です。
「民間活用」と言葉にすると簡単ですが、当然ながら、利益が見込めなければ民間企業は参入しません。
検討の初期段階では事業者が関心を示していても、事業化が進む中で撤退するケースもあります。
その大きな理由の一つが、収益の見通しが立たないことです。
だからこそ、深沢で、どのような事業であれば民間が参入できるだけの収益性を確保できるのか、を具体的に描けるかどうかが非常に重要になります。
一方で、「民間活用」といっても、その形は一つではありません。
大きく分けると、例えば次の4つの方法が考えられます。
| 民間活用の方法 | コスト面の主なメリット | 主なデメリット・注意点 |
|---|---|---|
| ① 公共施設を民間に建ててもらう・運営してもらう | 設計・建設・維持管理を一体化し、長期的な総コストを抑えられる可能性。初期負担を平準化できる場合もある | 民間の利益や資金調達コストも必要。必ずしも直営より安くなるとは限らない |
| ② 公共の土地に民間収益施設を併設する | 土地の貸付料や賃料収入を得られる。民間施設の収益によって公共施設の費用を補える可能性 | 採算が取れなければ民間は参入しない。土地を長期間使わせることによる機会損失も検証が必要 |
| ③ 公共施設の中に民間サービスを入れる | テナント料・使用料収入が得られる。市が自前でサービスを運営する費用を抑えられる | カフェやコンビニ等の収入だけで庁舎全体の費用を大幅に賄うのは難しい |
| ④ 民間施設の中に行政機能を入れる | 土地取得や建物建設が不要。必要な面積だけ借りることで初期投資を抑えられる | 長期間の賃料負担が大きくなる可能性。契約終了や災害時の利用などの課題もある |
それぞれ、もう少し具体的に見ていきます。
PFIや民設民営などにより、公共施設の設計・建設・維持管理・運営を民間に担ってもらう方法です。
メリットは、設計から維持管理までを一体的に考えることで、建設時の費用だけでなく、その後の修繕費や維持管理費まで含めたトータルコストを抑えられる可能性があることです。
また、市が最初に巨額の建設費を一括して負担せず、長期間にわたり支出を平準化できる場合もあります。
一方で、民間企業にも当然利益が必要であり、民間の資金調達には金利もかかります。
そのため、
「民間に建ててもらえば必ず安くなる」というわけではありません。
行政が直接整備した場合と比較して、長期間の総支払額が本当に安くなるのかを検証する必要があります。
市が持っている土地を活用して、庁舎だけでなく、商業施設やホテル、住宅、スポーツ施設などを民間に整備してもらう方法です。
市にとっては、土地の貸付料や賃料などの収入を得られることが大きなメリットです。
また、民間施設の収益を活用することで、公共施設の整備費や維持管理費の一部を補うことも考えられます。
ただし、当然ながら民間事業者が参入するのは、事業として採算が取れる場合です。
さらに、その土地を単純に貸したり売却したりした場合と比較して、本当に市にとって有利なのかという検証も必要です。
庁舎や公共施設の中に、コンビニ、カフェ、レストラン、クリニック、コワーキングスペース、保育・一時預かり、子どもの遊び場などの機能を入れる方法です。
市が自らこれらを運営する必要がないため、設備費や人件費を抑えることができます。
さらに、民間事業者からテナント料や使用料を得ることができれば、公共施設の維持管理費の一部を補うこともできます。
また、子どもの遊び場など、それ自体が大きな収益を生まなくても、
人が集まる
→ 滞在時間が長くなる
→ カフェや店舗の利用が増える
→ テナントの収益性が上がる
という相乗効果も考えられます。
これは単に「民間に任せる」というより、民間のサービスを入れることで公共施設そのものの利便性や価値を高める方法です。
一方で、カフェやコンビニなどから得られる賃料だけで、庁舎全体の建設費を大きく削減できるわけではありません。
コスト削減というよりは、維持管理費の一部を補いながら、市民サービスを向上させる手法と考えた方が分かりやすいと思います。
逆に、駅前の商業施設やオフィスビルなど、民間が持つ建物の中に行政窓口や図書館、子育て支援機能などを入れる方法もあります。
この場合、市は土地を取得し、庁舎を一から建設する必要がありません。
必要な床面積だけを借りることで、建設費、大規模修繕費、設備更新費などを抑えられる可能性があります。
人口減少やオンライン手続きの拡大によって、将来必要となる庁舎面積が変化する可能性を考えると、必要な面積だけを借りるという柔軟性もメリットです。
一方で、長期間賃借し続ければ、最終的な賃料総額が庁舎を所有するより高くなる場合もあります。
また、災害時の利用や契約終了時の対応など、公共施設ならではの課題もあります。
こうして見ると、「民間活用」という一言の中にも、全く異なる方法が含まれています。
①は建設・運営コストを下げる方法、
②は市有地から収益を生み出す方法、
③は公共施設の維持費を補いながらサービスを高める方法、
④はそもそも市が建物を持たないことで初期投資を抑える方法です。
単純に「民設民営だから財政負担が軽くなる」と判断することはできません。
重要なのは、建設費だけではなく、
建設費
+金利
+維持管理費
+修繕費
+運営費
-土地の貸付収入
-テナント収入
-その他の民間活用による収入
まで含めて、30年、50年という長期間で市の実質的な負担がいくらになるのかを比較することだと思います。
また、財政面だけでなく、市民サービス、防災、将来の人口変化への対応なども含めて判断しなければなりません。
議題2では、今後の進め方について協議しました。
次回以降は、
を進める予定です。
現在示されているスケジュール案では、
10月 第2回
評価軸の検討・先行事例調査
11月 第3回
評価軸の検討・先行事例調査、整備手法比較へ
1月 第4回
整備手法の比較
3月 第5回(最終回)
答申
という流れで進む予定です。
今回、市の資料では、「官民連携手法(民設民営)が最も合理的」という説明がありました。
一方で、この検討会議はまさに、これから先行事例を調査し、評価軸をつくり、様々な整備手法を比較するための会議です。
本当に民設民営が最も市民負担を抑えられるのか。
民間事業として成立するのか。
災害時にも公共施設としての役割を果たせるのか。
市民にとってどのようなメリット・デメリットがあるのか。
こうした点を一つずつ、数字と先行事例で検証していくことが重要だと思います。
これから何十年もの鎌倉市の行政、防災、財政、そして深沢のまちづくりを左右する大きな事業です。
今後も検討会議を追いながら、議会でもしっかりと確認していきたいと思います。
参考:鎌倉市「新庁舎等整備手法検討会議(鎌倉市本庁舎等整備委員会)」
第1回会議の資料は鎌倉市ホームページで公開されています。議事要旨は確定後に公開予定です。
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