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鎌倉市のオンライン申請利用率が一目でわかる!鎌倉市の行政DXを徹底検証!

2026/8/16

鎌倉市のオンライン申請利用率がひと目でわかる!鎌倉市の行政DXを徹底検証!

こんにちは!育児と介護の二刀流!鎌倉市議会議員の細川まなかです🚃

細川まなか(ホソカワマナカ)|政治家情報|選挙ドットコム (go2senkyo.com)

「市役所の手続きがオンラインになりました」

そう聞くと、便利になったように感じます。

しかし今回、鎌倉市のさまざまな行政手続きを一つひとつ調べてみると、 オンライン利用率が80%を超える手続きがある一方、わずか0.2%しか使われていない手続きもあることが分かりました。

さらに、市民がスマートフォンからオンライン申請しても、その後、市役所の職員が内容を紙に印刷し、別のシステムへ入力し直しているケースもあります。

これでは、本当の意味でのDXとは言えません。

令和8年6月の細川まなかの一般質問では、令和7年度末で廃止となった鎌倉市の「スマートシティ推進事業」を入口に、 行政手続きのオンライン化率、職員の業務削減効果、システム設計上の問題、そして今後の「デジタル市役所」のあり方について、各部局に一問一答で質問しました。

調べていくと、「オンライン化すればいい」という単純な話ではないことが見えてきました。


目次

  1. まず結論。今回の調査で分かった4つのこと
  2. スマートシティ事業はなぜ廃止されたのか
  3. 事業廃止から見えた「EBPM」の必要性
  4. 鎌倉市の行政手続き、オンライン利用率はどのくらい?
  5. 住民票・戸籍・印鑑証明のコンビニ交付
  6. マイナンバーカードによるオンライン転出届
  7. スポーツ施設予約は100%オンライン
  8. ふるさと納税は約80%オンライン
  9. 粗大ごみは53.5%。電話対応職員も削減
  10. 犬の手続きはオンライン化しても利用率3.5%
  11. 課税証明書はオンライン4.14%
  12. 障害福祉は「対面を残す意味」もある
  13. 介護認定のオンライン申請は衝撃の0.2%
  14. 妊娠届と妊婦支援給付はなぜ別申請なのか
  15. 児童手当がオンライン申請できない理由
  16. 保育園申込みは「窓口を廃止」して業務効率化
  17. 就学援助は64.8%。子育て世代とオンラインの相性
  18. 市民にはオンライン、職員は印刷して手入力
  19. 基幹システム標準化で何が変わるのか
  20. 「年間100件以上だからオンライン化」ではダメ
  21. 新庁舎問題がある今こそ「行かなくてもいい市役所」を
  22. 私が進めたいのは「人を減らすDX」ではありません
  23. 行政手続きオンライン利用率一覧

まず結論。今回の調査で分かった4つのこと

複数の行政手続きを横断して調べたことで、大きく4つのことが見えてきました。

① オンライン化すれば利用されるわけではない

オンライン利用率が80%近い手続きがある一方、0.2%しか使われていない手続きもあります。

対象となる市民の年代、代理申請の有無、郵送物の必要性、マイナンバーカード認証などを考えずにシステムを作っても、利用は広がりません。

② 市民側だけオンラインになっても意味がない

市民がオンラインで入力した情報を、市役所の職員が紙に印刷し、別の庁内システムへ入力し直している手続きがあります。

これは言ってみれば「入口だけDX」です。

③ オンラインを「足す」だけでは職員の仕事が増える

窓口、電話、郵送にオンラインを追加するだけでは、受付方法が増え、かえって職員の仕事が複雑になることがあります。

一方、スポーツ施設予約のように、オンラインへ一本化したうえで、操作が難しい人だけ職員がサポートすることで大きな効率化につながっている事例もあります。

④ DXの目的は「人を減らすこと」ではない

単純な入力や受付などをデジタルに任せることで、相談、福祉、子育て支援など、 人にしかできない仕事へ職員の時間を振り向けることが重要だと考えています。

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スマートシティ事業はなぜ廃止されたのか

鎌倉市は2022年3月、「鎌倉市スマートシティ構想」を策定しました。

背景には、急速なデジタル化、少子高齢化、人口減少など、複雑化する社会課題があります。

AIやIoTなどの先端技術やデータを活用しながら、市民生活の利便性を高め、新しい行政サービスのあり方を模索することが目的でした。

鎌倉ならではの歴史や文化を次世代へ引き継ぎながら、「人に優しいテクノロジー」を活用して、誰もが安心して暮らせる共生社会を実現するという構想です。

スマートシティで何をしてきたのか

鎌倉市では主に、

  • 市民参加型共創プラットフォーム
  • データ連携基盤
  • スマートシティ官民研究会

の3本を柱として取り組んできました。

具体的には、

  • 住宅地での外出促進に向けたシェアサイクル実証事業
  • 避難所運営のDX化
  • 西鎌倉地域での住民主体の地域課題解決プロジェクト
  • 市民参加型の政策形成

などです。

市民参加型プラットフォームの登録者は1,054人

市民がインターネット上で意見を投稿できる「市民参加型共創プラットフォーム」は、現地の説明会などへ参加できない方からも意見を集められるというメリットがあります。

一方、令和7年度末時点の登録者は1,054人でした。

9つのテーマについて1,792件の投稿があり、新たな総合計画、人権施策推進指針、子ども計画などの策定過程で活用されています。

しかし、人口約17万人の鎌倉市に対して1,054人です。

私は、市公式LINEの登録者約3万5,000人や、X(旧Twitter)のフォロワー約1万人など、 すでに多くの市民が使っている媒体も活用した方が、より広い層から意見を集められるのではないかと指摘しました。

そして令和7年度末で事業を廃止

スマートシティ推進事業は、令和7年度末で廃止となりました。

市は、令和4年度から令和7年度までの「インストール期」を総合評価した結果、

市民にとって有用な事例の創出や具体的なサービス展開まで至ることが難しく、今後取り組みを継続しても、見込まれる成果がコスト負担を上回らない 

と判断したと答弁しました。

つまり簡単に言えば、

「かける費用に対して、市民に返ってくる効果が十分ではなかった」

ということです。

一方、成果が認められた「市民参加型プラットフォーム」や「シェアサイクル実証事業」は、各担当部署へ引き継ぎ、個別事業として継続していくとのことでした。

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事業廃止から見えた「EBPM」の必要性

私は、スマートシティ事業の廃止そのもの以上に、 ここから何を学ぶのかが重要だと考えています。

全国でも、スマートシティやDXという言葉が先行し、

「何の課題を解決するのか」
「そのためにどのデータが必要なのか」

が曖昧なまま、データ連携基盤やシステム整備が先行するケースがあります。

行政が目指すべきなのは、「新しいシステムを作ること」ではありません。

何の課題を解決したいのか。
どの施策が本当に効果を上げているのか。
投入した税金に対して十分な成果が出ているのか。 

これを数字で検証する必要があります。

そこで私は、スマートシティ事業がなくなった後も、 EBPM(Evidence Based Policy Making=客観的なデータや根拠に基づく政策立案)を推進するべきだと求めました。

政策部長からも、政策を効果的・効率的に進めるためには、勘や経験だけではなく、客観的なデータやエビデンスに基づいて政策を立案・実施・検証するEBPMの考え方が極めて重要であり、今後もデータに基づく政策展開を行っていくとの答弁がありました。

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鎌倉市の行政手続き、オンライン利用率はどのくらい?

ここからは、実際に鎌倉市の行政手続きがどの程度オンライン化され、どの程度利用されているのかを見ていきます。

今回、複数の部署に同じように、

  • オンライン利用率は何%か
  • 導入して業務は減ったのか
  • 市民の利便性は上がったのか
  • どのような課題があるのか

を質問しました。

すると、手続きによって驚くほど大きな差があることが分かりました。

行政手続き利用率主な課題・効果
住民票等のコンビニ交付31.1%窓口混雑緩和。利用増に伴う手数料負担が課題
オンライン転出届30.4%繁忙期の窓口混雑緩和
スポーツ施設予約100%オンライン一本化+窓口サポートで業務削減
ふるさと納税ワンストップ特例約80%システム連携により職員の再入力なし
粗大ごみ申込み53.5%電話対応職員を1日7人→5人。オンライン決済が課題
飼い犬登録15.4%郵送料負担・代理申請への対応が課題
狂犬病予防注射済票3.5%獣医師による代行申請のオンライン化が課題
課税証明書4.14%紙交付・郵送が必要で急ぐ人は窓口へ
精神障害者保健福祉手帳約21%対面による支援との両立が必要
自立支援医療費(精神通院)約49%記入漏れ抑制、窓口時間短縮
タクシー料等助成約21%制度によって利用率に差
要支援・要介護認定約0.2%代理申請と本人認証のミスマッチ
紙おむつ支給申請約9%介護分野全体でオンライン利用が低い
高額介護サービス費約0.09%ほぼ利用されていない
妊娠届47.2%事前入力で窓口時間短縮
保健師面談24.7%来庁困難な妊婦の負担軽減
保育園入所申込み約22%専用窓口廃止で相談・利用調整へ人員をシフト
小中学校の就学援助約64.8%夜間・土日の利用が多い
高校生の就学助成金約53%直近の申請では80%超

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住民票・戸籍・印鑑証明のコンビニ交付は31.1%

住民票や戸籍、印鑑証明などのコンビニ交付は、令和7年度の利用率が31.1%でした。

前年度の26.1%から5ポイント上昇しています。

市役所へ行かなくても証明書を取得できるため、窓口の混雑緩和にも一定の効果が出ています。

一方、利用件数が増えれば、コンビニ事業者へ支払う手数料も増えます。

今後は、市民の利便性と市が負担するコストとのバランスも検証する必要があります。

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マイナンバーカードによるオンライン転出届は30.4%

マイナポータルを利用したオンライン転出届は、令和7年度で30.4%

前年度の19.9%から約10ポイント上昇しています。

転出手続きは春の繁忙期に窓口が混雑しやすい手続きです。

自宅から好きな時間に申請できることで、窓口での待ち時間短縮にもつながっています。

市としては、さらに利用率を高めるため、引き続き周知が必要とのことでした。

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スポーツ施設予約は100%オンライン

今回、非常に興味深かったのがスポーツ施設の予約です。

予約は100%オンラインで行われています。

紙や電話を残しながらオンラインを追加したのではありません。

原則として予約方法そのものをオンラインへ一本化しました。

では、スマートフォンやパソコンの操作ができない人はどうするのでしょうか。

各施設の窓口に予約用端末を置き、職員が操作方法を説明しながら予約をサポートしています。

これまで大きなトラブルもなく、窓口や電話対応の負担も大幅に軽減されているとのことでした。

私はここに重要なヒントがあると考えています。

一般的なオンライン化では、

窓口
+電話
+郵送
+オンライン

と、受付方法を「足し算」してしまいがちです。

しかし、それでは職員は4つの入口に対応しなければならず、かえって業務が複雑になります。

スポーツ施設のように、

オンラインへ一本化し、困る人だけ人がサポートする。

という「引き算のDX」は、今後ほかの行政手続きでも検討できるのではないかと考えています。

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ふるさと納税は約80%オンライン。職員の再入力もなし

ふるさと納税のワンストップ特例申請は、令和7年度で約1万8,000件。

そのうち、スマートフォン等によるオンライン申請は約1万4,000件で、 約80%がオンラインです。

しかし、私が注目したのは利用率だけではありません。

この手続きでは、申請者が入力した情報が、そのままシステムに連携されます。

そのため、

職員が同じ情報をもう一度入力する作業がありません。

これは非常に重要です。

多くの行政手続きでは、

市民がスマホで申請

職員が申請内容を確認

紙に印刷

別の庁内システムへ手入力・コピー&ペースト

という作業が残っています。

市民から見るとオンラインでも、役所内部ではアナログ。

ふるさと納税の仕組みは、オンライン申請と内部システムがつながっている、 行政DXが目指す一つのモデルだと考えています。

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粗大ごみは53.5%。電話対応職員も7人から5人へ

粗大ごみの回収申込みは、令和6年10月に新しいシステムを導入しました。

令和7年度は全37,134件のうち19,865件がオンライン申込み。

利用率は53.5%です。

そして、オンライン申込みが増えたことで、電話対応を行う会計年度任用職員を、

1日7人から5人へ削減

することができました。

これは、オンライン化によって実際に業務削減効果が出たことを数字で確認できる事例です。

でも、結局シールを買いに行かなければならない

一方、まだ大きな課題があります。

鎌倉市では、オンラインで粗大ごみを申し込んでも、処理手数料を支払うためにコンビニなどで専用のシールを購入しなければなりません。

つまり、

「スマホで申請できたのに、結局シールを買いに外へ出る」

ことになります。

葉山町や横浜市ではオンライン決済を導入し、受付番号などを書いた任意の紙を粗大ごみに貼って回収してもらう仕組みがあります。

私は、鎌倉市も申込みだけではなく決済までオンライン化し、 「家で最後まで完結する粗大ごみ申込み」にするべきだと求めました。

なお、現在のシステムでは、利用者自身が申込み内容の変更やキャンセルをオンライン上でできないことも課題となっています。

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犬の手続きはオンライン化しても利用率3.5%

一方、システムを作ってもほとんど利用されていない事例があります。

令和7年度からオンライン化された犬に関する手続きです。

  • 飼い犬登録:97件/629件 15.4%
  • 狂犬病予防注射済票交付:250件/7,228件 3.5%

かなり低い利用率です。

なぜ使われないのか

オンラインで申請すると、鑑札などを郵送してもらうためのレターパック代を申請者が負担します。

一方、窓口へ行けばその場で受け取れます。

そのため、

「オンラインの方がお金もかかり、受け取りにも時間がかかる」

という逆転現象が起きています。

また、犬の手続きの約6割は獣医師による代行申請とのことです。

ところが、個人事業主が多い獣医師のオンライン代行申請が十分に進んでいません。

これは、

「オンラインシステムを作る前に、実際には誰が申請しているのかを把握する必要がある」 

ことを象徴する事例です。

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課税証明書はオンライン4.14%。なぜ窓口が93%なのか

課税証明書の申請についても調べました。

令和7年度は全体11,843件のうち、

  • 窓口:約11,026件 93.1%
  • オンライン:490件 4.14%

でした。

オンライン利用率はわずか4%ほどです。

オンラインなのに、結局すぐ受け取れない

一つの理由は、オンライン申請システムと証明書を発行する基幹システムが連携していないことです。

そのため、市役所内部で一部手作業が発生します。

さらに、金融機関などの提出先が改ざん防止のため「紙の証明書」を求めることが多く、オンラインで申請しても証明書自体は郵送になります。

急いで必要な市民にとっては、

「オンライン申請して数日待つより、市役所へ行った方が早い」

ということになります。

オンライン化は、「申請ボタンを作ること」だけでは不十分です。

申請から交付まで、一連の流れ全体を考える必要があります。

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障害福祉は「対面を残す意味」もある

障害福祉関係のオンライン利用率も確認しました。

  • 精神障害者保健福祉手帳:約21%
  • 自立支援医療費(精神通院):約49%
  • タクシー料等助成:約21%

オンライン化によって、書類の記入漏れが減ったり、窓口での手続き時間が短くなったりする効果があります。

一方、精神障害者保健福祉手帳の申請では、窓口で職員が入力をサポートするケースも含まれています。

私は、ここについてはオンライン利用率だけを高めればいいとは考えていません。

福祉の手続きでは、本人の状況を把握したり、必要な支援につなげたりするため、 行政と本人が直接接点を持つこと自体に意味がある場合があります。

すべての手続きを一律にオンライン化するのではなく、その制度の目的や利用者の状況に応じて判断する必要があります。

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介護認定のオンライン申請は衝撃の0.2%

今回調べた中で、最も衝撃的だった数字の一つです。

要支援・要介護認定のオンライン申請は、9,993件のうち24件。約0.2%です。

ほとんど使われていません。

ほかにも、

  • 紙おむつ支給申請:約9%(36件/1,693件)
  • 高額介護サービス費:約0.09%(10件/1,086件)

という状況でした。

なぜ介護認定オンライン申請は使われないのか

介護認定の申請は、本人自身が行うとは限りません。

全国では、申請の78.4%がケアマネジャーなどによる代行申請です。

ところが、現在鎌倉市が利用している国の「ぴったりサービス」では、本人のアカウント作成と本人名義のマイナンバーカードによる認証が基本となっています。

ケアマネジャーが利用者のマイナンバーカードを預かって申請するわけにはいきません。

つまり、

「実際に申請している人」と「システムが想定している人」が違う。

これが大きなボトルネックです。

市からは、代理人用のアカウントを設定する機能もシステムに用意されており、 代理人が自身のマイナンバーカードで認証して申請できる仕組みについて、他自治体を参考に活用を進めていくとの答弁がありました。

そもそも「何のための本人認証」なのか

ここでもう一つ疑問があります。

窓口で紙による介護認定申請をする際には、現状、オンラインと同じような厳格なマイナンバーカード認証を求めていません。

それなのに、

オンラインになった途端、本人のマイナンバーカードが必要になる。

オンライン化の目的は、市民の利便性向上と行政の業務効率化です。

システムの都合によって、紙よりオンラインの方が不便になってしまっては本末転倒です。

私は、

「何のためにこの認証が必要なのか。本当に法律上必要なのか」

というところから整理し、使いやすい仕組みに変えるべきだと求めました。

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妊娠届と妊婦支援給付はなぜ別申請なのか

妊娠届のオンライン利用率は、年々上昇しています。

令和7年度は47.2%です。

事前にオンラインで情報を入力することで、窓口での手続き時間を短くする効果があります。

保健師面談も24.7%がオンライン

母子健康手帳は、クーポン券の交付やヒアリングなどがあるため原則対面での手渡しですが、代理人や郵送にも柔軟に対応しています。

さらに、保健師による面談は、LINE通話などを活用し、 24.7%がオンラインで実施されています。

つわりが重い、体調が悪い、上の子を連れて市役所へ行くことが難しいなど、来庁が負担になる妊婦にとって大きなメリットがあります。

妊娠届を出したのに、5万円のためにもう一度申請

一方、私は疑問に感じている手続きがあります。

妊娠届を提出し、市はすでに妊娠していることを把握しているにもかかわらず、 妊婦支援給付の5万円を受け取るためには、改めて別の申請が必要です。

市の説明では、

  • 妊娠届:母子保健法
  • 妊婦支援給付:子ども・子育て支援法

と根拠法令と目的が異なるため、別々の申請が必要とのことでした。

しかし、市民から見ればどちらも「鎌倉市への手続き」です。

行政内部の法律や担当部署の違いを、そのまま市民側の手間として残してよいのか。

一度提出した情報を、行政内部で適切に連携し、 同じ情報を何度も書かせない仕組みを考えていく必要があります。

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児童手当がオンライン申請できない理由

児童手当は、多くの子育て世帯が利用する代表的な行政手続きです。

しかし、鎌倉市ではオンライン受付を実施していませんでした。

理由を聞いたところ、市のオンライン申請システム「e-kanagawa」では、 夫婦2人分のマイナンバー情報をシステム上に取り込めないという制限があり、慎重な運用からオンライン対応を見送ってきたとのことでした。

一方、デジタル庁からは、写真添付などの方法による対応も可能との見解が示されています。

市からは、安全性を確保したうえで、 児童手当についてもオンライン受付を可能にする方向で整理と準備を進めるとの答弁がありました。

「システムの制限があるからできない」で終わるのではなく、 ほかの方法で実現できないかを検討することが重要です。

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保育園申込みは「窓口を廃止」して業務効率化

保育園入所申込みについては、従来設けていた対面の専用窓口を廃止し、基本的に郵送とオンラインで受け付けています。

利用割合は、

  • オンライン:約22%
  • 郵送:約66%
  • やむを得ない窓口対応:約11%

でした。

オンライン率だけを見ると決して高くありません。

しかし、重要なのは行政内部の業務がどう変わったかです。

専用窓口を廃止したことで、職員が窓口で待機する必要がなくなりました。

その結果、

個別の困難な利用調整や、丁寧な相談対応に時間を使えるようになった

とのことです。

これは、オンライン率が高いか低いかだけでは測れないDXの効果です。

一方で、オンライン申請を紙に印刷

ただし、ここにも課題があります。

オンラインで受け付けた保育園申請も、市役所内部では紙に印刷して処理しています。

つまり、市民側はオンラインでも内部処理は紙です。

完全なペーパーレス化、データ連携には至っていません。

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就学援助は64.8%。子育て世代とオンラインの相性

小中学生向けの就学援助と、高校生向けの就学助成金についても利用率を確認しました。

  • 小中学校の就学援助:約64.8%
  • 高校生の就学助成金:約53%

高校生の就学助成金については、直近の5月末時点では80%を超える申請がオンラインだったとのことです。

特徴的なのは、夜間や土日に申請する方が非常に多いことです。

仕事、育児、家事などがある保護者にとって、

「市役所が開いている時間に合わせなくていい」

というメリットは非常に大きいと考えています。

また、行政側も、記入漏れなどの不備確認や審査時間を短縮でき、事務効率化につながっています。

こうした子育て世代のように、スマートフォン利用率が高く、24時間申請できることのメリットが大きい層は、 オンライン化との親和性が非常に高いと言えます。

一方、先ほどの介護や障害福祉のように、代理申請や対面支援が重要な手続きもあります。

だからこそ、すべて同じ基準でオンライン化するのではなく、 誰が使う手続きなのかを考える必要があります。

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市民にはオンライン、職員は印刷して手入力

今回、各課のオンライン化を横断的に調べて、最も大きな構造的課題だと感じたのがここです。

オンライン申請の「入口」は増えています。

しかし、その先にある市役所内部の基幹システムとつながっていない手続きが多くあります。

そのため、

市民が入力した情報を、職員が紙に印刷し、もう一度入力している。

ということが起きています。

私はこれを、

「入口だけDX」

だと考えています。

オンラインの入口を作るだけでは、行政DXは完成しません。

市民が入力したデータが、そのまま内部処理へ流れ、職員の再入力がなくなって初めて、本当の意味での業務効率化につながります。

政策部長も、オンライン化しても個別の業務システムと連携できず、職員の転記作業が発生していることは大きな課題だと認めました。

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基幹システム標準化で何が変わるのか

この問題を解決する鍵の一つが、現在国を挙げて進められている 自治体基幹業務システムの標準化・共通化です。

国は当初、令和7年度末までの移行を目指していましたが、一部で遅れています。

鎌倉市では、

令和10年1月末の完了

を目途に準備を進めているとの答弁でした。

標準化が進み、オンライン申請システムと基幹システムを自動連携できるようになれば、

  • 紙への印刷
  • コピー&ペースト
  • 手入力
  • 転記ミスのチェック

などの業務を大きく減らせる可能性があります。

ここは今後の行政DXにとって非常に重要なポイントなので、引き続き進捗を確認していきます。

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「年間100件以上だからオンライン化」ではダメ

今回の一般質問で私が特に求めたのが、 デジタル戦略課による「横串」の分析です。

オンライン化する手続きを、単純に「年間申請件数が多いから」という理由だけで選んではいけません。

例えば、

  • 利用する人の年代
  • スマートフォンとの親和性
  • 本人申請が多いか、代理申請が多いか
  • マイナンバーカード認証が必要か
  • 郵送で返さなければならないものがあるか
  • 対面すること自体に福祉的な意味があるか
  • オンライン化した後、職員の業務が本当に減るのか
  • 内部システムとデータ連携できるのか

まで含めて判断する必要があります。

今回の数字を見ても、

「なぜこの手続きは80%使われているのに、こちらは0.2%なのか」

を分析することが重要です。

政策部長からは、

これまではオンライン申請の「入口の整備」、つまり量の拡大に重点を置いてきたが、今後はデジタル戦略課が主体となって、 各手続きの利用率の推移や実務上の課題を継続的に把握・分析するとの答弁がありました。

また、庁内の成功事例や他自治体の先進事例を共有しながら、全庁的な見直しと改善を進めるとのことです。

これは今回の質問で引き出した、非常に重要な答弁の一つだと考えています。

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新庁舎問題がある今こそ「行かなくてもいい市役所」を

鎌倉市では、新庁舎整備について財政面を含めた大きな課題があります。

だからこそ私は、

建物としての市役所だけではなく、「行かなくてもいい市役所」をオンライン上に作ることを本格的に考えるべき

だと市長に質問しました。

今後、日本では少子高齢化がさらに進みます。

同時に、行政を支える職員の確保も難しくなっていきます。

そのような時代に、

紙を受け取る。
数字を入力する。
コピーする。
別のシステムへ入力する。

といった定型作業に多くの職員を配置し続けることはできません。

松尾市長からは、

少子高齢化や労働力不足が進む中、持続可能な行政運営を行うため、行政DXは不可欠であり、 「便利な市役所」「いかなくてもいい市役所」を実現したいとの答弁がありました。

さらに、定型業務を徹底的に効率化し、

「真に職員にしかできない、人に寄り添う対面業務」

へ人員をシフトしていきたいとの考えも示されました。

私は、この方向性を単なる理念で終わらせず、具体的な行政サービスとして実現していく必要があると考えています。

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私が進めたいのは「人を減らすDX」ではありません

行政DXというと、

「窓口を全部なくすの?」
「高齢者が置いていかれるのでは?」
「人を減らすためのデジタル化なの?」

と思われる方もいるかもしれません。

しかし、私が進めたいDXはそうではありません。

介護、障害福祉、子育て、生活困窮などの分野では、困っている方の話を聞き、状況を把握し、その人に必要な支援を一緒に考えることが行政に求められます。

こうした仕事は、人にしかできません。

一方で、

申請書を受け取る。
数字を入力する。
コピーする。
同じ内容を別のシステムへ入力する。

こうした仕事は、できる限りデジタルに任せることができます。

そうすることで、

職員が「人にしかできない仕事」に、もっと時間を使える市役所にする。

私は、それが行政DXの大きな目的だと考えています。

そして、市民の生活スタイルもさまざまです。

仕事をしている人。
子育て中の人。
家族を介護している人。
障害や病気によって外出が難しい人。

「平日の市役所が開いている時間に来られる人」だけを前提とした行政サービスでは、これからの社会に対応できません。

生活スタイルが違っても、必要な行政サービスにつながることのできる鎌倉市へ。

そのために必要なのは、新しいシステムを導入すること自体を目的にするDXではありません。

市民にとって本当に便利になったのか。
職員の仕事は本当に減ったのか。
かけた費用に見合う効果が出ているのか。
その分、人に寄り添う仕事を増やせたのか。 

こうしたことをデータで検証しながら、行政サービスを改善していきたいと思います。

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今回分かった主な行政手続きのオンライン利用率

行政手続き利用率主な課題・効果
住民票等のコンビニ交付31.1%窓口混雑緩和。利用増に伴う手数料負担が課題
オンライン転出届30.4%繁忙期の窓口混雑緩和
スポーツ施設予約100%オンライン一本化+窓口サポートで業務削減
ふるさと納税ワンストップ特例約80%システム連携により職員の再入力なし
粗大ごみ申込み53.5%電話対応職員を1日7人→5人。オンライン決済が課題
飼い犬登録15.4%郵送料負担・代理申請への対応が課題
狂犬病予防注射済票3.5%獣医師による代行申請のオンライン化が課題
課税証明書4.14%紙交付・郵送が必要で急ぐ人は窓口へ
精神障害者保健福祉手帳約21%対面による支援との両立が必要
自立支援医療費(精神通院)約49%記入漏れ抑制、窓口時間短縮
タクシー料等助成約21%制度によって利用率に差
要支援・要介護認定約0.2%代理申請と本人認証のミスマッチ
紙おむつ支給申請約9%介護分野全体でオンライン利用が低い
高額介護サービス費約0.09%ほぼ利用されていない
妊娠届47.2%事前入力で窓口時間短縮
保健師面談24.7%来庁困難な妊婦の負担軽減
保育園入所申込み約22%専用窓口廃止で相談・利用調整へ人員をシフト
小中学校の就学援助約64.8%夜間・土日の利用が多い
高校生の就学助成金約53%直近の申請では80%超

こうして横並びにすると、オンライン化率だけでも大きな差があることが分かります。

しかし、本当に見るべきなのは数字の高低だけではありません。

「なぜその数字になっているのか」
「オンライン化によって、市民と職員の双方にどんな効果があったのか」

まで検証していくことが、これからの鎌倉市の行政DXには必要です。

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著者

細川 まなか

細川 まなか

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