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深作 祐衣 ブログ

【視察】病院と介護の「はざま」で何が起きているのか(若葉会/つづき病院)

2026/9/1

 

横浜市会議員の深作ゆいです。

8月25日(火)、地域の医療・介護を支える医療法人社団 若葉会を視察させていただき、医療機関や介護施設が抱えている課題について、現場のお話を伺いました。

今回、特に強く感じたのは、単に「病院の経営が厳しい」という問題ではなく、物価高や人材不足による経営上の課題に加え、「医療から介護へ」と患者さんの生活の場が移るとき、制度の違いによって新たな壁が生じているということです。

患者さんにとっては一続きの生活であっても、医療、介護、障害福祉などの制度は、それぞれ別々に動いています。その「はざま」に、現場が抱える課題が見えてきました。

 

物価が上がっても、医療は自由に価格を上げられない

まず伺ったのが、医療機関、特に民間の療養型病院を取り巻く厳しい経営環境です。材料費、光熱費、人件費、給食委託費など、さまざまなコストが上昇しています。一方、医療機関の収入の大きな部分を占める診療報酬は、公的に定められています。

一般の企業であれば、原材料費が上がれば販売価格に反映することもできます。しかし、医療ではそう簡単にはいきません。

現場の方からは、「800円のカツ丼を、原材料費が上がっても800円で売り続けなければならないようなもの」という例えを伺いました。

さらに、人材不足も深刻です。必要な人員を確保できなければ、基準を満たせず、病床を十分に稼働させることができません。一方で、人材紹介会社や派遣会社に頼れば、紹介手数料などが経営を圧迫します。病床を持っていても、人がいないために稼働させられない。これは、医療を必要とする方がいる一方で、地域の医療資源を十分に活かせないという問題にもつながります。

また、給食を担う委託事業者の人手不足や撤退によって、従来の院内調理から、セントラルキッチンで調理された食事を提供する方式への変更を余儀なくされるケースもあるとのことでした。

一つひとつは別々の問題に見えても、現場ではすべてが経営を圧迫する要因として重なっています。

コロナ禍で見えた、療養型病院が抱える難しさ

コロナ禍の医療機関への支援についても、現場から問題意識を伺いました。

急性期のコロナ患者を受け入れた病院には、一定の補助金や手厚い支援が届いた一方、療養型病院では、施設の性質上、クラスターを防ぐことを最優先にせざるを得ず、コロナ患者を受け入れる体制を取りにくかったとのことです。その結果、入退院が滞ってベッドが空き、感染対策に取り組むほど経営上の負担が大きくなったというお話でした。

もちろん、感染症流行時の医療提供体制をどう設計するかは、簡単に答えが出る問題ではありません。だからこそ、過去の経験を踏まえ、急性期だけでなく、療養型を含め、それぞれの医療機関が果たした役割を検証し、次の感染症危機に備える必要があると感じました。

人材不足を支える外国人材。その先に必要なこと

医療・介護の現場を支える上で、人材の確保は避けて通れない課題です。今回の視察では、実際に介護の現場で働く外国人材についてもお話を伺いました。人手不足が深刻になる中、外国人材の力は、すでに地域の医療・介護を支える大切な力になっています。一方で、外国人の方に来てもらえば、それで終わりではありません。介護の仕事では、利用者さんとのコミュニケーションが欠かせません。そのため、若葉会さんでは、仕事を教えるだけでなく、日本語を学ぶための支援も事業所が担っているとのことでした。

これは非常に大切なことで、外国人人材を「人手不足を補うための労働力」としてだけ捉えるのではなく、地域の医療・介護をともに支える仲間として受け入れていく。そして、安心して働き続けられる環境をつくる。「受け入れる」だけではなく、「ともに働き、ともに地域で暮らす」ための支援が必要です。

今後、外国人の受け入れがさらに進む中で、日本語支援や生活面を含めた環境づくりについても、行政と事業者が一緒に考えていく必要があります。

「医療から介護へ」のはずが、制度が壁になる

今回、私が特に課題だと感じたのが、急性期の治療を終えた患者さんが、介護施設などへ移行する際の問題です。

国が進めている「医療から介護へ」という流れの中では、急性期病院で治療を終えた方が、老健(介護老人保健施設)などを経て在宅復帰を目指すことも重要になります。

しかし、ここに制度上の壁があります。例えば、急性期病院では、効果の高い高額な薬を使用して治療を行っていた患者さんが、状態が安定して老健へ移る。ところが、老健では薬剤費が施設側の負担となる場合があり、高額な薬を必要とする患者さんを受け入れることが、施設にとって大きな負担になってしまうという課題を伺いました。患者さんからすれば、病院から老健へ移るだけです。しかし制度上は、「医療保険」と「介護保険」という異なる仕組みに切り替わります。

その結果、「医療的なニーズが高い人ほど、介護施設では受け入れにくい」という状況が生まれてしまう可能性があります。

これは、患者さんの状態に合わせて医療と介護をつなぐという本来の目的から考えても、検討すべき課題だと感じました。

病院、老健、特養。それぞれの役割をどうつなぐか

今回のお話を伺い、改めて感じたのは、病院、老健、特養には、それぞれ異なる役割があるということです。老健は、医師やリハビリ職などが関わり、在宅復帰を目指す役割を持っています。特養は、常時介護が必要な方の生活を支える重要な施設です。病院にも、急性期、回復期、慢性期など、それぞれ異なる役割があります。

だからこそ、これらを単純に「高齢者を受け入れる場所」として一括りにするのではなく、それぞれの機能を正しく理解した上で、地域の中でつないでいく必要がありますし、市民も理解を深める必要があります。

また、既存の老健に空床があるのであれば、新しい施設を増やすことだけではなく、今ある地域資源をどう活かすのかという視点も重要です。老朽化した施設の改修や機能維持も含め、地域にすでにある医療・介護資源を活かすことを考えていきたいと思います。

ホスピス型住宅など、新たな課題にも目を向ける

療養病床を取り巻く環境については、ホスピス型住宅やサービス付き高齢者向け住宅などの存在についてもお話を伺いました。療養病床では包括的な支払いの仕組みがある一方、医療保険や家賃など、異なる仕組みを持つ住宅型の施設へ患者さんやビジネスが流れているとの問題意識です。一方で、医療提供の実態や、患者さんの囲い込みなどについては、適切な実態把握や行政による確認が必要ではないかという指摘もありました。

この問題については、施設の形態だけで良し悪しを判断するのではなく、「その場所で、患者さんにとって適切な医療と生活支援が提供されているのか」という視点から、実態を丁寧に見ていく必要があると考えています。

地域で始まる「共生」の取り組み

今回の視察では、課題だけでなく、地域で新しい取り組みを始めようとしているお話も伺いました。10月からは、高齢者と障害のある方が一緒に利用できる共生型デイサービスをスタートする予定とのことです。また、横浜市北部で不足していたメディカルショートステイの受け入れにも取り組み、医療的な支援が必要な方を支えるとともに、ご家族のレスパイトにもつなげようとされています。

医療、介護、障害福祉の中でこれまで制度ごとに分けて考えられてきたものを、地域の中でどうつないでいくのか。こうした現場発の取り組みには、大きな可能性があります。制度に課題があるからこそ、現場が新しい方法を考え、地域のニーズに応えようとしていることを、行政としてもしっかり応援していくべきだと考えます。

 

国で変えること、横浜市で変えること

今回伺った課題の中には、診療報酬や医療保険・介護保険の仕組みなど、横浜市だけでは変えることのできないものもあります。

診療報酬のあり方や、老健における薬剤費の問題、高額医薬品への対応などについては、国に対して制度改善を求めていく必要があります。一方で、横浜市としてできることもあります。既存の老健など地域資源をどう活用するのか。共生型サービスやメディカルショートステイなど、地域の受け皿をどう支えるのか。外国人材を含め、医療・介護を担う人材が安心して働き続けられる環境をどうつくるのかなど。さらに学びを深め、政策として取り組む道を模索して参ります。

「制度」ではなく「暮らし」を中心に

今回の視察を通じて改めて感じたのは、医療、介護、障害福祉、交通を、それぞれ別々の制度として考えるだけでは、これからの地域を支えることは難しいということです。

患者さんにとっては、病院を退院した瞬間に生活が変わるわけではありません。必要な医療が受けられること。必要な介護につながれること。家族が必要な支援を受けられること。地域で働く人が安心して仕事を続けられること。そして、必要な場所へ移動できること。

すべてが、その人の「暮らし」の一部です。

今回、現場の皆さんから伺った声を、国に求めるべきこと、横浜市として取り組むべきことに整理し、政策につなげていきたいと思います。

これからも現場に足を運び、そこで働く方、利用する方、ご家族の声を直接伺いながら、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる横浜を目指して取り組んでまいります。

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