2025/12/9
先日、「オーガニック給食とまちづくり研究会視察研修」として、東洋ライス株式会社リンクウ工場を視察してきました。
いま日本では、米の消費量が減り続けています。同時に、医療費は増え、環境問題も深刻さを増しています。こうした状況の中で、「主食である米をこれからどう位置づけ直すのか」は、単なる食の話にとどまらず、健康づくりや環境政策、そして自治体の財政運営にも関わる大きなテーマだと感じています。
東洋ライス株式会社は、1961年の創業以来、
「無石米」で石混入の問題を解決し、
「BG無洗米」でとぎ汁を出さずに環境負荷を減らし、
「金芽米」で栄養とおいしさの両立を実現してきた企業です。
今回の視察では、そうした技術開発の歩みを紹介していただくと同時に、工場の実際の現場を見学させていただきました。
なかでも印象に残ったのは、金芽米についての説明でした。
金芽米は、玄米の糠層のうち、栄養とうま味が集中する「亜糊粉層」という部分を残すように精米したお米です。
その結果、白米に比べてビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含みながら、甘みやうま味はむしろ白米以上だといいます。炊き上がったときに粒が大きくふくらむため、同じ重さのお米でも摂取する糖質量を抑えられるというお話も伺いました。
さらに、保育園や企業の食堂などで金芽米を導入した実証事例では、インフルエンザやコロナへの罹患率が低下し、医療費が三〜四割程度減少したという報告もあったそうです。日々の食事の質を高めることが、そのまま健康づくりや医療費の抑制に結びついていく。その当たり前のようでいて、実際にはなかなか数字で示されることの少ない関係性が、具体的なエビデンスとしてもご紹介いただいたことは、非常に示唆に富む内容だったと感じています。
後半は、リンクウ工場の中を実際に歩いて見学しました。原料の投入から精米、選別、包装に至るまでの工程が高度に自動化されており、少人数で工場全体を運営している様子を間近に見ることができました。従来は二十分ほどかかっていた原料の切り替え時間が約三十秒まで短縮されていること、虫の侵入を防ぐための衛生管理が徹底されていること、多品種・少量生産でも米が混ざらないようライン設計が工夫されていること、そして遠隔で状態を監視できるシステムが整っていることなど、限られた人員でも高品質・高効率な生産を続けるための知恵が随所に詰まっていました。
人口減少と人手不足が進む日本において、こうした省人化と高度な品質管理を両立する工場運営は、米の加工産業だけでなく、今後の産業政策や雇用政策全体を考えるうえでも重要な示唆を含んでいると感じました。単に「効率化されている工場だった」という印象にとどまらず、「国内で産業を維持しながら、人件費やエネルギーコストの上昇にどう対応していくか」という重要な課題を解決していくための形を示すものであるとも感じています。
今回の視察を通じて、金芽米やロウカット玄米といった精米技術は、単なる付加価値商品ではないことを改めて認識しました。環境負荷を減らし、国民の健康を守り、医療費の増大を抑え、米を作る農業を持続可能な形で支える。その複数の政策目的を同時に満たし得る手段の一つとして、米のあり方を見直す必要があります。
自治体で学校給食用のお米や災害備蓄用の米、福祉施設で使うお米を検討するとき、価格だけを基準にするのでは不十分です。栄養価や医療費削減への寄与、環境への負荷、現場の炊飯の負担などを総合的に評価しながら選んでいく視点が求められていると感じました。
次回、同じ研修のなかで伺った泉大津市・南出賢一市長の講演をもとに、「米」と「給食」をまちづくりの中心に据えようとする先進事例を紹介したいと思います。
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ナカニシ ユウタ/40歳/男
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