2026/5/23
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員

カフェやレストラン、あるいはご家庭の食卓で、同じ空間にいるのに全員が下を向いてスマートフォンを操作している。そんな光景を見かけることが当たり前になって久しい現代社会です。
今回は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の社会学者であるシェリー・タークル教授の名著『一緒にいてもスマホ』(原題:Alone Together)をベースに、便利さと引き換えに私たちが失いつつあるコミュニケーションの本質について考えてみたいと思います。
本書の原題である「Alone Together」は、「一緒にいるのに、一人」という現代の矛盾した状態を実に見事に表現しています。私たちはSNSを通じて、24時間いつでも誰かと「つながる(Connection)」ことができるようになりました。
しかし、タークル教授は、それは細切れの情報交換に過ぎず、人間の共感能力を育むリアルな「会話(Conversation)」とは根本的に異なると指摘しています。
対面での会話や電話には、言い間違えたり、一瞬の沈黙に気まずさを覚えたりする「リスク」が伴います。一方で、SNSのメッセージは送信前にじっくりと「編集」や「推敲」ができ、都合が悪ければ返信を遅らせることも可能です。
現代人は、人間関係で傷つくことを恐れるあまり、テクノロジーによってコントロールされた「リスクのない安全なつながり」に逃げ込んでいるのではないか。著者はそう警鐘を鳴らしています。
スマートフォンの登場以降、私たちはほんの数十秒の「退屈」や「孤独」すらも我慢できなくなりました。信号待ちの間、エレベーターの中、少しでも隙間時間があれば画面を開いてしまいます。
しかし、自分一人で静かに過ごす「健全な孤独」の時間こそが、自己の内省を深め、他者への本当の共感を生み出す土台となります。孤独を恐れて常に誰かとつながろうとすると、皮肉にも他者を「自分の寂しさを埋めるための道具」として消費してしまうことになりかねません。
ここで重要なのは、タークル教授は「テクノロジーを完全に悪として排除せよ」と言っているわけではない点です。大切なのは、デバイスに使われるのではなく、主体性を持って主導権を取り戻すことです。
日常の中で、以下のような小さなルールを意識してみるだけでも、人間関係の質は大きく変わるかもしれません。
| 場面 | 具体的なアクション |
|---|---|
| 食事やだんらんの時間 | スマートフォンを視界に入らない場所(カバンや別室)に置く |
| 大切な相談や対話 | テキストのやり取りで済ませず、直接会うか声を聴いて話す |
| ちょっとした隙間時間 | すぐに画面を見ず、あえてぼんやり周囲の景色を眺めてみる |
デジタルツールは私たちの生活を格段に便利にしてくれましたが、人の体温や表情、言葉のニュアンスから受け取る「非言語のメッセージ」に勝るものはありません。地域のつながりや家族の絆を守るためにも、まずは目の前の人との「リアルな会話」を何よりも大切にしていきたいものです。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>小森 さだゆき (コモリ サダユキ)>シェリー・タークル『一緒にいてもスマホ』