2026/5/21
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
幕末という激動の時代において、日本がどこに向かうべきかを最も論理的に描き出した人物は誰か。そう問われれば、私は真っ先に 横井小楠(よこい しょうなん) の名前を挙げます。
坂本龍馬や勝海舟、西郷隆盛といった維新の英雄たちが師と仰ぎ、あるいはその知性に驚嘆した小楠。彼が 1860年(万延元年) に記した国家構想の書、それが 『国是三論(こくぜさんろん)』 です。今回は、この名著から現代の私たちが学ぶべき教訓を考えてみたいと思います。
小楠は、福井藩主の政治顧問として招かれた際、国家が目指すべき指針を三つの項目にまとめました。それが「富国」「強兵」「士道」です。
| 項目 | 『国是三論』における定義 |
|---|---|
| 富国 | 交易を推進し、民衆の生活を豊かにすることで国を潤すこと |
| 強兵 | 道理(義)に基づき、自立を守るための海軍を創設すること |
| 士道 | 広く意見を募る「公議」を行い、政治家の倫理を確立すること |
小楠の考える経済政策は、単なる貯蓄ではありませんでした。彼は 「交易」こそが富の源泉である と説き、閉ざされた国内市場ではなく、世界との交流の中で国を豊かにすることを提唱しました。同時に、政治の目的は 「民を救うこと(仁政)」 にあると断言しています。これは、国民一人ひとりの生活が安定してこそ国家の基盤が固まるという、極めて現代的な視点です。
当時の「攘夷(外国を追い払う)」という感情的な論調に対し、小楠は冷静でした。彼は、盲目的な排外主義を否定し、西洋の優れた技術を取り入れた 近代的な海軍 の必要性を訴えました。しかし、その軍事力はあくまで「道理(義)」に基づくものでなければならないと主張しました。力による支配ではなく、国際的な信義を重視する姿勢は、現代の安全保障を考える上でも示唆に富んでいます。
私が最も重要だと感じるのが、この「士道」です。小楠は、一部の権力者が物事を決めるのではなく、広く意見を募り、道理にかなった議論によって政治を行う 「公議輿論(こうぎよろん)」 を提唱しました。この思想は、後に明治政府の基本方針となる 「五箇条の御誓文」 の第一条「広く会議を興し、万機公論に決すべし」へと引き継がれることになります。
横井小楠の思想の根底にあるのは、自分の利益や藩の利益といった「私」ではなく、日本全体、ひいては世界に通じる「公」の精神です。彼は、アメリカの大統領制を知った際、「これこそが古代の聖人が理想とした政治の姿だ」と評価しました。制度の形式にとらわれず、その本質が 「民のための政治」 にあるかどうかを見抜く力を持っていたのです。
地方自治の現場においても、この「公議」と「実学(現実に役立つ学問)」の精神は欠かせません。特定の利権や古い慣習に縛られるのではなく、今何が市民のために必要なのか、客観的な道理に基づいて議論を尽くすこと。それこそが、小楠が私たちに遺したメッセージではないでしょうか。
横井小楠は明治2年、あまりにも進歩的な思想を持っていたがゆえに暗殺され、その志半ばで世を去りました。しかし、彼が蒔いた種は、門下生であった 由利公正 を通じて新しい国づくりへと結実しました。
私たちが直面している現代の課題も、幕末に劣らぬ困難なものかもしれません。しかし、小楠のように 「世界の中の日本」を俯瞰し、高い倫理観を持って「公」を追求する 姿勢を持ち続ける限り、必ず道は開けると信じています。先人の知恵を胸に、私も真摯に取り組んでまいります。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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