2026/8/9
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
激動の時代を生き抜くための指針として、古くから多くのリーダーや知識人に愛読されてきた書物があります。それが、幕末の儒学者・佐藤一斎が後半生の四十余年をかけて書き書き継いだ随想・語録集『言志四録(げんししろく)』です。
現代でも多くの経営者や政治家が心の支えにしているこの名著には、私たちが今を生きるための智慧が凝縮されています。
『言志四録』は、美濃岩村藩(現在の岐阜県恵那市)出身の佐藤一斎が、その時々の年齢に応じて書き残した4つの書物の総称で、全1,133条の短文から構成されています。
一斎が42歳から82歳までの長きにわたり、自らの精神を磨き、経験を積み重ねる中で紡ぎ出した言葉は、どれも普遍的な説得力を持っています。
| 書物名 | 執筆時の年齢 | 特徴・内容 |
|---|---|---|
| 言志録 | 42歳〜 | 人生の志を立てることや、精神のあり方を説く |
| 言志後録 | 57歳〜 | 自らの経験を踏まえ、より実践的な処世訓が増える |
| 言志晩録 | 67歳〜 | 熟達した境地から、人生の本質や教育について語る |
| 言志耋録 | 78歳〜82歳 | 晩年の深い洞察と、老境における心の持ち方を説く |
佐藤一斎は、江戸幕府の最高学府である昌平坂学問所の総長(儒官)を務めた人物です。彼の門下や、その思想に強い影響を受けた人物には、日本の未来を切り開いたキーパーソンたちが名を連ねています。
佐久間象山、吉田松陰、勝海舟、そして西郷隆盛。特に西郷隆盛は、この『言志四録』から自らの心に響いた101条を自ら抜き出して手記にし、終生座右の書として持ち歩いていたと言われています。
これほどまでに幕末の志士たちの心を揺さぶり、国を動かす原動力となったのが、この書物なのです。
『言志四録』の中には、現代のビジネスや教育の現場でもしばしば引用される名言が数多くあります。その中でも、特に有名なのが『言志晩録』第60条にある「三学の教え」です。
少にして学べば、則ち壮にして為すことあり
壮にして学べば、則ち老いて衰えず
老いて学べば、則ち死して朽ちず
(若いうちに学べば、成人してから社会の役に立つことができる。成人してから学べば、年老いても気力が衰えることはない。年老いてからさらに学べば、死んでもその精神は社会に残り、朽ちることがない)
この言葉は、学びというものが一時期のものではなく、「生涯を通じて続けるべきものである」という真理を教えてくれています。いくつになっても志を持ち、学び続ける姿勢こそが、人間の魅力を高め、社会に貢献し続ける源になるのではないでしょうか。
『言志四録』の本質は、単なる知識の習得ではなく、「いかに生きるか」「いかに自己を修養するか」という実践的な人間学にあります。
変化が激しく、先行きが見通しにくい現代だからこそ、自らの内面を見つめ直し、ブレない軸を確立することが求められています。佐藤一斎が遺した魂の言葉の数々は、今を生きる私たちにとっても、進むべき道を照らす一条の光となってくれるはずです。
皆さんもぜひ、日々の生活や仕事の中で、この古典の智慧に触れてみてはいかがでしょうか。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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