2026/5/13
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
財務省が発表した2025年度の国際収支統計において、日本の経常収支は34兆5218億円の黒字となり、3年連続で過去最大を更新しました。メディアはこの「過去最大」という数字を華々しく報じていますが、私はこの数字の表面だけを見て喜ぶべきではないと考えています。

多くの方が感じている通り、経常収支がどれほど膨らんでも、一般市民の生活がすぐに潤うことはありません。なぜなら、現在の黒字の主役は、海外投資からの利子や配当を示す「第1次所得収支」だからです。
大企業が海外で稼いだ利益は、その多くが現地での再投資や株主配当、あるいは一部の社員のボーナスに消えてしまいます。企業の内部留保が積み上がっても、私たちの地域の商店街や家計にそのお金が回ってくる構造にはなっていないのです。
今回の速報で最も注目し、かつ重要視すべきなのは、貿易収支が1兆3631億円の黒字に転換したことです。これは5年ぶりの出来事です。
貿易黒字とは、日本でモノを作り、それを海外に売って得た利益です。日本国内に生産拠点があり、そこで多くの人々が働き、原材料を仕入れ、物流が動く。この「国内での生産活動」こそが、雇用の安定と賃金の上昇、そして地域経済の活性化を生む本当の源泉です。
| 項目 | 2025年度 実績 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 経常収支 | 34兆5218億円(黒字) | 15.0%増 |
| 貿易収支 | 1兆3631億円(黒字) | 前年赤字から転換 |
| 輸出総額 | 111兆3451億円 | 3.3%増 |
しかし、手放しで喜べない深刻な課題があります。これまで日本の「稼ぐ力」の象徴だった自動車産業が、世界的な競争の中でその勢いを弱めている点です。
自動車産業は、部品メーカーから整備、販売に至るまで、極めて裾野が広い産業です。そこで働く従業員や関連企業の数は膨大であり、まさに日本経済の背骨と言えます。この背骨が弱くなることは、日本全体の産業力が衰退することを意味します。
一方で、現在の輸出を牽引しているのは半導体や先端技術分野です。これらは高い収益を上げますが、関わる企業や受益者は一部に限定されがちです。自動車産業のような「多くの日本人が関わり、潤う仕組み」を代替できているとは言い難いのが現状です。
私たちは今、デジタルや投資といった目に見えにくい黒字に一喜一憂するのではなく、「日本国内で何を作り、どうやって多くの国民が豊かになるのか」という根源的な問いに向き合う必要があります。
先端技術への投資は不可欠ですが、同時に、広範な雇用を支える製造業の再興や、エネルギー自給率の向上による輸入コストの抑制など、日本全体の産業構造を再設計しなければなりません。数字上の豊かさではなく、地域で働く一人ひとりが実感できる豊かさを追求してまいります。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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