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高槻の水道水とPFAS(有機フッ素化合物)について

2026/5/10

高槻の水道水とPFAS(有機フッ素化合物)― 数値で見る現状と、市民として注視すべき将来課題

| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員

先日の市政報告会で質問のあった案件の詳細を調べましたので、ブログにまとめました。

高槻市の水道水のPFOS・PFOA(有機フッ素化合物)は、すべての検査地点で国の暫定目標値(50ng/L)を下回っています。市内の給水栓(蛇口)における最高値は令和6年度で18ng/L、目標値の約3分の1の水準です。

ただし、「目標値以下だから何もしなくていい」という話ではありません。地下水源の井戸ごとに値のばらつきがあること、国の規制が今後厳格化される見通しであること、対策には大きな投資が必要になりうること ― 市民として知っておくべき論点を整理してお伝えします。


PFASとは何か

PFAS(ピーファス)は、水にも油にも溶けやすい性質から、撥水剤、紙の防水加工、泡消火剤、フライパンのコーティングなど、私たちの身の回りで広く使われてきた人工化学物質の総称です。1万種類以上あるとされ、その代表格がPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)です。

問題は、これらが「環境中で分解されにくい」「体内に蓄積しやすい」ことです。海外では発がん性や免疫機能への影響を指摘する研究もあり、欧米では日本より厳しい規制が進んでいます。日本では現在、水道水中のPFOS・PFOAの合算値で「50ng/L以下」が暫定目標値とされています。

高槻市の水道水 ― 給水栓(蛇口)での測定値

市内の蛇口で測られた最高値は、過去5年間で次のように推移しています。

年度 最高値(単位:ng/L)
令和2年度 23
令和3年度 22
令和4年度 19
令和5年度 19
令和6年度 18

いずれの年度も目標値50ng/Lを大きく下回り、しかも年々わずかに低下傾向にあります。この点は、まず安心材料としてお伝えできます。

大冠浄水場の井戸水 ― 井戸ごとに値が違う

高槻市の水道水の大きな特徴は、深井戸からの地下水を主な水源としていることです(大冠浄水場系統)。淀川などの表流水を主水源とする多くの自治体と異なり、地下水を中心に使うため、井戸ごとの水質管理が重要になります。

高槻市は令和6年4月から、各井戸で毎月PFAS検査を実施。これは全国でも珍しい徹底した監視体制です。

最新の令和8年1月の測定結果(井戸別、PFOS+PFOA合算値、単位:ng/L)

1号井:9 3号井:15 4号井:17
5号井:26 6号井:16 7号井:ポンプ故障停止中
8号井:29 11号井:16 13号井:23
15号井:21 16号井:16 18号井:29
19号井:10 20号井:15  

全ての井戸で目標値50ng/Lを下回っています。最も高い8号井・18号井でも29ng/Lで、目標値の6割弱の水準です。

ただし、注視すべきポイントがあります

① 18号井の動きに要注目

令和6年度の審議会(令和7年1月開催)では、18号井のみ明らかな上昇傾向が報告されていました。

令和6年9月:33ng/L
令和6年10月:34ng/L
令和6年11月:31ng/L
令和6年12月:39ng/L

12月時点で目標値の約8割まで達していたため、事務局は「今後も上昇するのであれば、監視を強化し、原水の中に取り込むのか否かの判断をしなければならない」と説明していました。

直近の令和8年1月時点では29ng/Lまで低下しており、ひとまず落ち着いた値に戻っています。ただし、なぜ一時的に上昇したのか、原因は特定されていないとの説明でした。地下水は流れが緩やかで、一度汚染源が入ると影響が長期化しやすい性質があります。継続的な監視と、上昇傾向が再発した場合の対応方針を市として明確にしておくべき論点です。

② 国の規制が厳格化される方向

国は令和6年12月、PFOS・PFOAを「水質管理目標設定項目」(努力目標)から、水道法上の「水質基準項目」(守らなければならない法的基準)へと格上げする方針を示しました。令和8年度中にパブリックコメントを経て正式決定される見通しです。

問題は目標値の数値そのものが今後どうなるかです。欧米では日本の50ng/Lより一桁厳しい基準を採用しつつあり、日本もその影響を受ける可能性があります。

仮に基準が30ng/Lや20ng/Lに引き下げられた場合、現在「目標値以下」とされている井戸の一部が基準を超える可能性があります。8号井・18号井の29ng/L、5号井の26ng/Lあたりは、規制次第で対応が必要になる水準です。

③ 大冠浄水場の更新事業が「一時凍結」されている

これが最も重要な財政課題かもしれません。大冠浄水場では、老朽化した浄水処理施設の更新事業が予定されていましたが、現在計画されている更新内容ではPFAS除去ができません。

PFAS除去には活性炭処理または膜処理が必要ですが、現計画にはどちらの機能も含まれていない。さらに、新たに処理施設を設置するには敷地に余裕がないとの説明もありました。

このため市は、国のPFAS規制方針が固まるまで更新事業を一旦見合わせる判断をしています。老朽化した施設をいつまでも放置できないのも事実であり、国の基準次第で「現計画どおり更新」か「PFAS処理施設を含む大規模再設計(用地取得を含む)」か、今後数年で大きな分かれ道が訪れます。

市民負担の観点 ― 水道料金との関係

高槻市の水道事業は、令和7年10月に料金改定を実施し、令和8年4月~9月には基本料金の無償化を実施します。一方で、現在の収支見通しでは令和12年度に赤字転落・資金残高ゼロが見込まれています。

ここにPFAS対策の追加投資という新たな圧力が加わる可能性があります。審議会では参考事例として、ヒ素の水質基準が厳格化された際に人口4万人の自治体で7〜10億円規模の追加投資が必要になった例が紹介されました。高槻市規模(約34万人)の場合、PFAS処理設備の導入には桁違いの投資が必要になりえます。

水道料金は、施設の維持・更新コストを利用者が分担して支払う構造です。PFAS対策が必要になる場合、国費・府費の確保、企業団水(淀川水源)の活用、利用者負担の最適化をどう組み合わせるかが、今後の議論の中心になります。

まとめ ― 今、市民にお伝えしたいこと

現時点での飲用上の安全性は確保されています。市内給水栓の最高値18ng/Lは目標値50ng/Lの約3分の1で、毎月の井戸別検査という全国でも珍しい体制で監視されています。

一方で、以下の点は市民として知っておくべき論点です。

1. 18号井の一時的な上昇のように、地下水ゆえのばらつきがあること
2. 国の規制が厳格化される方向で動いていること
3. 大冠浄水場の更新事業が国の方針待ちで凍結されていること
4. PFAS対策投資が水道料金の将来負担に影響しうること

私は市議会議員として、井戸別データの推移、国の規制動向、大冠浄水場更新事業の方針、そして水道料金への影響を継続的にチェックし、市民の皆さまにお伝えしてまいります。安全な水を安心して飲み続けられること ― これは市政の最も基本的な責務の一つです。

ご意見・ご質問はいつでもお寄せください。

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