2026/6/10
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
「送金」と聞くと、多くの人は「お金がインターネットや電線を伝って物理的に移動する」イメージを持つかもしれません。しかし、その実態は「情報の移動」であり、本質的には「帳簿の書き換え」に過ぎません。
今回は、一見すると対極にある「正規の銀行制度」と、法を潜り抜けて運営される「地下銀行」が、実は全く同じロジックで動いているという、経済の興味深い裏側についてお話しします。
銀行間の取引において、最も重要な工程が客観的事実としての「クリアリング(清算)」です。
例えば、A銀行からB銀行へ100万円の振込があり、同時にB銀行からA銀行へ80万円の振込があったとします。このとき、実際に200万円近い現金をトラックで運ぶのは非効率です。そこで、差額の「20万円」だけを最終的に決済します。これが清算の仕組みです。
驚くべきことに、不法な送金ルートとして知られる重要な点である「地下銀行」も、全く同じ原理を利用しています。
地下銀行(ハワラなど)では、日本にいる仲介者が現金を預かり、海外にいる協力者が現地の通貨で受取人に支払います。このとき、国境を越えて現金が運ばれることはありません。
仲介者同士は、後日「逆方向の送金依頼」と相殺したり、貿易代金の決済を装いたりして、帳簿上の貸し借りを整理します。つまり、彼らもまた独自のネットワーク内で「帳簿上の相殺(ネッティング)」を行っているのです。
| 比較項目 | 正規の銀行(クリアリング) | 地下銀行(ハワラ等) |
|---|---|---|
| 資金移動の仕組み | 中央銀行を介した帳簿振替 | 仲介者間の帳簿相殺 |
| 信頼の根拠 | 法律、ライセンス、中央銀行 | 血縁、地縁、個人的信用 |
| 透明性・監視 | 厳しい規制(AML/CFT) | 完全にブラックボックス |
正規の銀行制度は、テロ資金供与やマネーロンダリングを防ぐために、非常に厳格な本人確認や規制を設けています。その結果、「コスト(手数料)」と「時間」が増大しています。
一方で、地下銀行はこうした規制を無視するため、圧倒的に安く、早い送金を可能にします。皮肉なことに、「正規のシステムが高度で複雑になればなるほど、シンプルで信用に依存した地下システムに経済的合理性が生まれてしまう」という側面があるのです。
銀行制度も地下銀行も、やっていることは「帳簿の書き換え」です。違いは、その書き換えられた情報の正しさを「国家」が保証するか、「個人の繋がり」が保証するかという点にあります。
送金の仕組みを理解することは、現代社会のマネーの流れ、そして地域社会の課題を考える上で欠かせない視点です。
| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員
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