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天然ガス(LNG)輸入の危機と備蓄の限界

2026/3/10

〜ホルムズ海峡リスクが直撃する日本のエネルギー安全保障〜

| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員

私たちの日常生活を支える「電気」。スイッチ一つで明かりが灯るのは当たり前だと思われがちですが、その舞台裏にあるエネルギー供給が今、かつてないリスクに直面しています。今回は、日本の電力供給の主役である天然ガスの実態と、意外に知られていない備蓄の脆弱性について、最新の国際情勢を交えてお伝えします。 


日本の電力は何で作られているのか:天然ガスへの高い依存度

日本の電力構成において、現在もっとも大きな割合を占めているのが天然ガスです。これを液体化した「LNG(液化天然ガス)」が、日本の発電量のおよそ35〜40%を占めています。 つまり、日本の電力供給は実質的に「天然ガスに依存している」状態です。しかし、日本はこの天然ガスをほぼすべて海外からの輸入に頼っています。

日本の天然ガスの主な輸入先(2026年最新情勢)

日本のLNG輸入先は、特定の国々に集中しています。以下の表は、主な供給国とその特徴をまとめたものです。

輸入先国 シェア(概算) 現状と地政学的リスク
オーストラリア 約40% 最大の供給国。ただし国内優先政策による輸出制限の議論が進行中。
マレーシア 約10-15% 老朽化による生産減の課題があり、以前ほどの余裕はない。
カタール・UAE 約10-12% 供給安定性は高いが、ホルムズ海峡の地政学的リスクに直結。
ロシア 約9% サハリン2からの供給。国際情勢により供給停止のリスクを常に孕む。
アメリカ 約5-8% パナマ運河の通航状況や世界的な争奪戦により価格が不安定。

特にオーストラリアからの輸入が最大で約4割を占めていますが、同国内のガス不足を背景に輸出制限の議論が出るなど、安定供給に不透明感が増しています。

ホルムズ海峡リスクと日本のエネルギー安全保障

中東のカタールやUAE(アラブ首長国連邦)からの供給は重要ですが、これらはすべて「世界のエネルギーの動脈」と呼ばれるホルムズ海峡を通って運ばれてきます。 現在、中東情勢の緊迫化により、この海峡の航行リスクがかつてないほど高まっています。もし海峡が封鎖されるような事態になれば、日本への天然ガス供給は即座に停滞し、深刻な電力不足を招く恐れがあります。

石油と天然ガスの決定的な違い:備蓄の弱点

ここで最も注目すべき点は、石油と天然ガスの「備蓄量」の違いです。 日本はオイルショックの経験から、石油については国家備蓄と民間備蓄を合わせて、およそ200日分以上の備蓄を維持しています。これに対し、天然ガスは事情が大きく異なります。 天然ガスは液体で保存するために巨大な冷却設備が必要で、長期保存が難しいエネルギーです。そのため、日本のLNG備蓄はおよそ2〜3週間程度しか持たないと言われています。供給が止まれば、比較的短期間で私たちの生活に影響が出始めます。

緊急時に「原発再稼働」で対応できるのか?

「ガスが止まったら原発を動かせばいい」という意見もありますが、現実はそう簡単ではありません。原発の起動には数週間から数ヶ月の厳格な安全確認とプロセスが必要です。 備蓄が2週間しかない中で、供給が止まってから再稼働を判断しても、電気が届く頃には手遅れになっています。原発は有事の「即効薬」ではなく、平時から動かしておくことでガスの消費を抑えるための「防衛線」なのです。

私たちの生活への影響:高槻市の現場から

天然ガスが不足、あるいは国際価格が高騰すると、まず直撃するのが電気料金です。高槻市議会議員として地域の声を聞く中で、エネルギー価格高騰が市民の生活や地元企業の経営を圧迫している状況を重く受け止めています。

直面する3つのリスク

  1. 家庭用電気・ガス代の上昇による家計負担の深刻化
  2. 製造業や物流コストの上昇に伴う、食品や日用品のさらなる値上げ
  3. 供給不足時の節電要請や、産業活動への制限

エネルギー問題は、単なる経済議論ではなく、私たちの地域の暮らしと命を支える基盤そのものの問題なのです。

これからのエネルギー政策に求められる視点

国際情勢がこれほどまでに不安定化している今、日本はエネルギー構造の抜本的な見直しを迫られています。 輸入先の多様化はもちろん、安全性を確認した上での既存の発電施設の有効利用、そして長期的なエネルギー自給率の向上など、特定の電源に依存しすぎない「エネルギー主権」の確立が急務です。 国際情勢に翻弄されるのではなく、自らの足で立てるエネルギー政策を。高槻市としても、また国全体としても、この「備蓄の弱点」を直視し、現実的な対策を議論していく必要があります。

| 小森さだゆき | 参政党 / 高槻市議会議員

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