2026/1/25
| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員
台湾の学校給食(學校午餐)は、理想論として「子どもに良いものを」だけで回しているのではなく、国(教育部)が補助金と運用の枠組みを用意し、現場が回る形に落としている点が強みです。特に目立つのは、食材の質、人材、遠隔地の供給、透明性までを、一つの政策パッケージとして組み立てているところです。
偏郷(遠隔地)では、各校がバラバラに小規模調理をするよりも、中央キッチン(中央廚房)を整備して周辺校へ供給する方式を国が後押ししています。設備投資への補助により、衛生・工程・大量調達を統一しやすくなり、学校間の品質格差を縮める狙いがあります。
この方式は「理想の献立」より先に、まず供給の土台を揃える発想です。遠隔地ほど、調理員確保や設備更新が難しく、結果として格差が出やすいからです。
給食は、献立表だけ立派でも、人がいなければ回りません。台湾では、栄養師や廚工(調理員)の人件費を補助する仕組みが示されており、たとえば一定規模(例:40クラス以上)で栄養師1人を補助といった基準が明記されています。これは「配置すべきだ」という精神論ではなく、自治体・学校が確保できるように現実の設計を入れている、ということです。
偏郷向けの給食では、調理の質だけでなく「配送の安全」がボトルネックになります。台湾の計画説明では、配送のルートや時間、温度をクラウドとGPSで追跡し、温かい昼食の提供と食品安全の透明性を高める方向性が示されています。
給食は『作った瞬間』ではなく『子どもが口に入れる瞬間』までが安全管理です。配送を制度の中に組み込む視点は、日本でも議論する価値があります。
台湾では「吃在地,食當季(地元のものを食べ、旬を食べる)」を掲げ、偏郷での食材費を国が補助して底上げする方針が示されています。さらに、学校が献立を作る際の参照となるガイド(菜單指引)を整備し、栄養師・調理現場と一緒に「子どもが食べやすく、栄養も確保できる」方向へ寄せています。
日本の給食議論は、「無償化」や「オーガニック」など“良い目的”が先に立ちやすい一方で、現場の人員不足・設備老朽化・物流や監査の弱さが置き去りになりがちです。台湾のやり方は、目的論より先に、人・設備・供給網・透明性を先に制度化して、格差を縮める順番がはっきりしています。
次回(第4回)では、日本が「理想を語る前に、何を制度として押さえるべきか」を、財源と実務(人材・調達・監査)から整理します。
| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員
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