2026/1/24
| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員
韓国の学校給食は、世界的に見ても非常に特徴的です。なぜなら、給食が単なる教育現場の話にとどまらず、地方自治体の選挙や国政の争点として正面から議論されてきたからです。
無償給食、国産食材、有機農産物、給食調理員の労働環境。これらは韓国では「学校運営の細かい話」ではなく、明確な公共政策として扱われています。韓国の給食は、なぜここまで政治化したのでしょうか。
韓国の学校給食の最大の特徴は、無償給食が原則となっている点です。多くの自治体で、小中学校の給食費は家庭の所得に関係なく公費で賄われています。
重要なのは、これが単なる貧困対策として導入された制度ではないという点です。韓国では、給食は福祉ではなく、教育の権利を保障する制度と位置づけられています。
家庭の経済状況によって昼食の質や有無が左右されること自体が、教育の不平等である。この考え方が、韓国の給食政策の出発点です。
韓国では、無償給食の是非が地方自治体選挙で繰り返し争われてきました。これは単なる財源論争ではありません。
「国家や自治体は、子どもの生活にどこまで責任を持つべきか」。この問いそのものが、給食を通じて政治の場で問われてきたのです。
都市部と地方、富裕層と中低所得層の格差が大きい韓国社会において、給食は社会の分断を緩和する象徴的な政策として位置づけられてきました。
韓国の給食政策でもう一つ際立つのが、国産食材や有機・低農薬農産物への強いこだわりです。
多くの自治体では、国産農産物の優先使用、低農薬・無農薬食材の導入、遺伝子組換え作物への慎重姿勢が明文化されています。
これは健康志向だけが理由ではありません。給食を通じて国内農業を支え、国家としての食料主権を守るという政策意図が明確に存在しています。
韓国の給食を語るうえで避けて通れないのが、給食調理員の労働問題です。
大量調理、長時間労働、高温環境といった厳しい労働条件が、健康被害や過労として社会問題化しました。
その結果、献立の簡素化、半加工品の導入、外部委託の是非などが政治的に議論されるようになります。給食はここでも、単なる学校運営ではなく、労働政策・公共サービスの問題として扱われています。
韓国の学校給食は、無償、平等、国産志向、労働者保護といった要素が強く組み合わさった制度です。
その背景には、分断国家としての歴史、急激な経済成長による格差、そして「国家が社会を積極的に支えるべきだ」という価値観があります。
給食は、韓国において国家の思想を最も分かりやすく可視化する政策の一つなのです。
韓国の給食は、国家が前面に立ち、思想や価値観を強く制度に反映させたモデルと言えます。一方で、別の民主社会では、異なるアプローチが取られています。
次回は台湾の学校給食を取り上げます。台湾では、給食は政治的スローガンではなく、食品安全と透明性、市民による監視を軸に設計されてきました。
同じ東アジアでも、給食の姿はここまで違います。
| 小森さだゆき|参政党所属/高槻市議会議員
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