仲島 ゆうた ブログ

【伊奈町議会】 町の貯金が1年で約5億円減る見込み——「使い方」と「見通し」をただしました

2026/6/18

令和8年6月定例会 一般質問② 持続可能な財政運営について


【3分でわかる まとめ】

  • 町の貯金(財政調整基金)が、令和7年度末の見込み約10億8千万円から、令和8年度末の見込み5億8,177万円へ、1年で約5億円減る見込みです。
  • これは町がこれまで目安としてきた水準(標準財政規模の8〜10%)を下回る可能性があります。
  • 私は「いつ・どの水準まで積み戻すのか」「将来の財政見通しを町民に公表する考えはあるか」をただしました。
  • 町は「年度末までに目安の8〜10%まで積み戻すのが基本」と答弁。一方、中長期の見通しの公表は「一定の効果はある」と認めつつ、「混乱を招く恐れ」を理由に時期は明言せず、まず他自治体の手法を調査研究するとの答えでした。
  • また、ふるさと納税は受入額だけでは増収と言えず、実質はマイナスになりうる点を示し、町から「実質的な財政効果も含めて測る必要がある」との認識を引き出しました。
  • 「積み戻しの方針」と「ふるさと納税の実質効果を測る必要性」は引き出せた一方、「将来見通しの公表」は宿題として残りました

なぜ取り上げたのか

家庭にたとえると、毎年の収入で暮らしが回っている「黒字」と、貯金を取り崩してなんとか帳尻を合わせている「黒字」とでは、意味がまったく違います。町の財政も同じです。その年の収支が合っているように見えても、中身が貯金の取り崩しで成り立っているなら、いつまでも続けられるものではありません。

町の貯金にあたるのが「財政調整基金」です。災害や急な収入減、公共施設の緊急修繕など、不測の事態に備えるためのお金です。この基金が、令和8年度予算で約5億円取り崩される見込みとなり、年度末の残高見込みは5億8,177万円(広報いな令和8年4月号より)。前の年度末の見込み約10億8千万円から、1年で大きく減る形です。

基金を取り崩すこと自体が悪いわけではありません。新庁舎の整備など、必要な事業のために使うべき場面はあります。問題は、「なぜ・どこまで取り崩し、いつ・どの財源で・どの水準まで積み戻すのか」が町民にわかる形で示されているかです。そこを確かめたくて、この質問を取り上げました。

財政調整基金残高の推移グラフ(令和7年度末見込 約10.8億円 → 令和8年度末見込 5.8億円)

何を求めたのか

5つの点に絞ってただしました。要点はこの3つに集約されます。

  1. 目安との関係をはっきりさせること … 令和8年度末見込みの5億8,177万円は、町がこれまで目安としてきた「標準財政規模の8〜10%」(おおよそ7億〜9億円台)を下回る可能性があります。この水準をどう位置づけているのか。
  2. 積み戻しの方針を示すこと … いつまでに、どの水準まで貯金を戻す考えなのか。また、どの水準を下回ったら事業の見直しなどを検討するのか、その基準。
  3. 将来の財政見通しを町民に公表すること … 基金残高・借金(地方債)残高・公債費・公共施設の更新費用などを含む中長期の見通しを、町民が自分で確かめられる形で示す考えはあるか。

「必要な事業を進めること」と「将来への備えを守ること」。この両立のために、町がどんな基準と見通しを持っているのかを問う質問です。

あわせて再質問では、ふるさと納税の「実質的な効果」も取り上げました(資料④)。受入額だけを見れば収入が増えたように見えても、町民税の控除や交付税の補填、返礼品・事務費を差し引くと、収支ではマイナスになりうるからです。実際、令和6年度の受入額2,921万5,000円は、一定の前提で試算すると実質で約1,498万円のマイナスになる可能性があります。財源確保策として説明するなら、受入額と実質効果を分けて町民に示すべきだと求めました。

資料④(受入額だけでは見えないふるさと納税の実質的な財政効果)

 

町はどう答えたのか

町の答弁は、おおむね次のとおりでした。

  • 積み戻しについて 予算編成や補正のタイミングで一時的に目安を下回る時点はあるものの、年度末には予算額と決算額の差額の積戻しなどで、目安である8〜10%を確保するよう運営している。年度末までに8〜10%まで積み戻すことを基本としている。
  • シミュレーションについて 新庁舎、ごみの広域処理施設、北部地区の消防分署など、多額の事業費がかかる事業や公共施設・インフラの更新費用を含め、今後15年間の見通しを内部で試算している。ただし国の制度や補助金の変動など不確定な要素が多いため、あくまで参考として扱っている。
  • 公表について 公表は「財政状況の可視化や現状認識の共有という点で一定の効果がある」と認めつつ、不確定要素による試算と実態の乖離が「かえって混乱を招く恐れ」もあるとして、作成・公表の時期は明言せず、まず他の自治体の手法を調査・研究するとの答えでした。
  • ふるさと納税について 受入額だけでなく、町民税の控除や交付税の補填、事務費なども含めて実質的な財政効果を測る必要があると認め、寄附の使途や決算状況、財政効果を含めて町民にわかりやすく説明・発信することを検討する、との答えでした。

前進した点・残った課題

前進した点

  • 「年度末までに目安の8〜10%まで積み戻す」という方針を、町が議場ではっきりと言葉にしました。これは町民に対する一つの説明責任の基準として記録に残ります。
  • 町が15年間の財政シミュレーションを内部で行っていることが、答弁で公になりました。「見通しの材料はすでにある」ことが確認できた意味は小さくありません。
  • 公表についても、町が「可視化・現状共有の点で一定の効果がある」と効果自体は認めました。「他自治体の手法を調査研究する」との答えとあわせ、ゼロ回答ではなく、検討の入口に立たせることができました。
  • ふるさと納税は「実質的な効果も測る必要がある」と町が認めました。受入額の大きさだけが強調されがちな中で、町民にとっての本当の手取りを分けて説明する——その方向の言質を引き出せたことは、大きな前進です。

残った課題

  • 肝心の「町民への公表」には踏み込まれませんでした。試算は手元にあるのに、町民が将来の財政リスクを自分で確かめられる状態にはなっていません。
  • 「どの水準を下回ったら、何を見直すのか」という判断の基準が、まだ町民に示されていません
  • 「混乱を招く恐れ」という理由づけは、裏を返せば「示し方しだいで混乱は避けられる」ということでもあります。すでに公表している自治体がある以上、できない理由ではなく、どう示すかの工夫が問われる段階です。

今後どうフォローするか

この財政運営の問題は、一般質問で一度取り上げて終わりにはしません。継続して追いかけます。

  • 総務建設産業常任委員会を継続フォローの場とし、「調査研究」が言葉だけで終わらないよう、進み具合を折にふれて確認します。
  • 私が示した阪南市など、すでに中長期の財政見通しを公表している自治体の実例を具体的に突き合わせ、「示せない」ではなく「いつ・どんな形で示すか」を問い続けます。
  • ふるさと納税については、受入額と実質効果を分けた説明が実際に行われるかを確認し、町民が「本当の手取り」を判断できる発信を求めていきます。
  • 財政調整基金の残高は、今後も決算のたびに数字で点検し、このブログや議会だより、SNSでそのつど見える形でお伝えします

町のお金は、町民のみなさんのお金です。使うべきところに使い、備えるべきところに備える。その判断の根拠が、専門家でなくても確かめられる形で開かれていること。それを引き続き求めてまいります。


本記事は、令和8年6月定例会で行った一般質問の成果報告です。 
読み原稿の全文は公式ホームページに掲載しています。あわせてご覧ください。 
公式HP(読み原稿の全文) https://x.gd/Cfr9d

■ 一般質問の他のテーマ 
・① シルバー世代の活躍の場づくり   https://go2senkyo.com/seijika/185832/posts/1413849
・③ 南小学校通学路の交通安全対策 https://go2senkyo.com/seijika/185832/posts/1413817

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著者

仲島 ゆうた

仲島 ゆうた

肩書 総務建設産業常任副委員長、議会運営委員 
党派・会派 日本維新の会

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