長田 たくや ブログ

【くすり】 1週間に1回のインスリンだと・・・!? 【アウィクリ®注】

2025/1/4

こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
みなさんもインスリンは聞いたことあると思います。なんと「週に1回だけ打てば良い」新製剤が承認されました。画期的だよというお話をします。

インスリンとはなんぞ?と言う方はこちらの記事もぜひどうぞ。
世紀の大発見
超スピード型への挑戦
なが~く効くために


基礎的な話

■ インスリンとは
身体から出るホルモンです。ホルモンというのは、血流にのって標的部位に作用して反応を起こす伝達物質を言います。インスリン自体は膵臓(すいぞう)から生まれ、各種細胞に作用して、細胞の中に糖(エネルギー)を取り込む役割を持ちます。焼肉のホルモンとは一切関係がない言葉です。

■ 高血糖とは
血糖値が高いという状況は、インスリンが少ないか、その働きが弱っているかで、細胞の中に糖分を取り込めず血管の中にあふれている状態を言います。
人間は糖を貴重なエネルギーとみており、それを最大活用するために腎臓で再吸収するシステムを持っています。しかし、それさえも間に合わない状況になると、おしっこと一緒に糖分が流れ出てきます。これを糖尿病と言います。

■ なぜ注射なのか
血糖値を下げたければインスリンを加えてあげれば良いのですが、インスリン自体は胃酸に弱く錠剤とかで服用ができないのです。そこで、注射の形で体に取り込む必要があります。自分でも打てるように、皮下注製剤が開発されました。インスリンの歴史は結構古いのですが、イノベーションがすごくて、歴史を追うと結構おもしろいんですよ。これはまた別記事で。

本題:1週間1回投与のインスリン

■ 利便性の向上
週1回のインスリンが発売され、その名もアウィクリ®注です。覚えやすいですね。昔は1日3回でしたが、進化して1日1回でOKとなりました。これでも画期的でしたが、週1回投与でさらにユーザーフレンドリーになりました。

■ インスリン イコデク®
なぜ1週間も効果が持続するのか…。
アウィクリ®の成分名は、インスリン イコデクと言います。持続メカニズムについて模式図を作ってみました。

長田作成

初め六量体のインスリンイコデクは、投与されると血管内では単量体にバラけます。そして、血中にあるたんぱく質(アルブミン)にすっぽり入り、フリーのインスリンイコデクだけが反応するのです。アルブミンにくっついたり離れたりができる技術、これが1週間に1回投与が可能となるカラクリです。

このようにアルブミンがキーとなる製剤は、栄養不足や肝臓病などでアルブミンが極端に少なくなると、作用が強く出てしまうことがリスクとして考えられます。インスリンのレベミル®注は良く似たメカニズムをもち、一応の注意喚起がなされていますが、アウィクリ®ではされていませんでした。

■ さらにマニアックに見る
どうすればこうなるのかが気になったので、アウィクリ®の構造を確認してみました。インスリンはタンパク質なので、アミノ酸が数珠上につながっています。GとかIとか、アルファベット1つにつき1種類のアミノ酸が対応。せっかくなので人間のインスリン(=ヒトインスリン)と比較してみましょう。

じっくりヒトインスリンと見比べますと、以下のような違いがあります。
A鎖14番目Y→E(チロシン→グルタミン酸):安定性向上?
B鎖16番目Y→H(チロシン→ヒスチジン):pH変化への対処?
B鎖25番目F→H(フェニルアラニン→ヒスチジン):結晶化への対処?
B鎖30番目T→×(トレオニン削除):分解酵素のターゲット回避?
B鎖29番目K(リシン)にごちゃごちゃした構造物がくっついている

このごちゃごちゃした構造物が、アルブミンとの結合に必要となってきます。これをするとインスリン受容体との結合力が弱くなります。1日1回タイプで、よく似たメカニズムの「インスリンデテミル」のデータでは、ヒトインスリンと比べて16%程度しか結合力がないとされ、アウィクリでは算出さえできなかったそうです。

つまり、受容体への結合力を弱くすることでアルブミンの中にじ~っとくっついたままとなり、気まぐれで離れて受容体に反応する程度だからこそ、1週間もの効果の持続ができると考えられます。そのようなメカニズムからも急激な低血糖も起こりにくいのではないかと予測されます。

一方、インスリン本体までいじっているのは、インタビューフォームにも詳細な理由までは書かれていないのですが、体内に存在し続けるための安定性向上だと思われます。このようにインスリンの構造をいじくりまわす製剤を、インスリンアナログ製剤と呼びます。

■ 最後に
少々マニアックになりましたが、アミノ酸1つ変えるだけで反応が変わってくるので、インスリンはおもしろいなぁと感じます。週に1回となれば、失敗や打ち忘れの影響も大きくでますが、基本的には福音となるんじゃないかなと思います。特に遺伝病である1型糖尿病患者さんには、意義が大きいと思います。


アウィクリ注®は今年の1月30日から発売されるようですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
ご意見・ご感想はこちらまで↓
takuya_nagata_1026@yahoo.co.jp
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
各種SNSもフォローを宜しくお願いします。
X(旧Twitter)
Facebook
インスタグラム
LINEオープンチャット(ニックネームで参加可能)
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•

この記事をシェアする

著者

長田 たくや

長田 たくや

選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
選挙区

川西市議会議員選挙

肩書 参政党の市議会議員で薬剤師でもあります
党派・会派 参政党

長田 たくやさんの最新ブログ

ホーム政党・政治家長田 たくや (ナガタ タクヤ)【くすり】 1週間に1回のインスリンだと・・・!? 【アウィクリ®注】

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode