2024/11/5
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
今日は久しぶりに薬のお話(解熱鎮痛剤)をしましょう。
ほとんどの人が飲んだことがある薬です。以前「カロナール®」という解熱鎮痛薬について書きましたが、今回は「ロキソニン®」です。
私は、この2つが解熱鎮痛剤の二大巨頭だと考えています。
当ブログ参照:カロナールが市販薬に 【肝毒性に注意】
ロキソニン®の安全性や服用の注意点はあちこちで解説されていますので、ここでは「なぜ効くのか」「どうやって効くのか」を、なるべく平易な言葉で書いてみます。
■ ロキソニン®
ロキソニン®は商品名で、成分名は「ロキソプロフェン」です。ちなみに、かつては“劇薬”に分類されていましたが、現在は一般用医薬品(大衆薬)として市販されており、認知度もかなり高いと思います。

■ エヌセイズ(NSAIDs)
ロキソプロフェンのような鎮痛薬は、医療現場で「NSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性消炎鎮痛薬)」と呼ばれます。
「この患者さんはエヌセイズ禁忌だから…」というような使い方です。
アスピリン、イブプロフェン(イブ®)、ジクロフェナク(ボルタレン®)などもNSAIDsに含まれます。もしロキソニン®で副作用が強く出た場合は、同系統の薬にも注意が必要です。
■ 重要キーワード:COX
NSAIDsを語る上で欠かせないのが「COX(シクロオキシゲナーゼ)」という酵素です。
酵素は「物質AをBに変える」働きを持つ触媒のようなもの。ロキソプロフェンを含むほとんどの解熱鎮痛薬は、このCOXの働きを邪魔します。
例外はカロナール®で、これはCOXに直接作用しないとされています。したがってNSAIDsの仲間には入りません。
【COXの役割】
COXは、細胞の中に存在します。下図だけでは理解が難しいので補足します。

打撲や感染が起きると、細胞膜から「アラキドン酸」が切り出され、それをCOXがキャッチして「プロスタグランジン」という物質に変えます。このプロセスを経て、人間は防御反応として「炎症(腫れ、痛み、発熱)」を起こすのです。
なお、プロスタグランジンには複数の種類があり、役割も微妙に異なっています。
【COXには2種類ある】
さらにややこしいことに…COXには「COX-1」と「COX-2」の2種類があります。
COX-1 : 常に存在し、体の基本的な維持に関与
COX-2 : 炎症が起きたときに一気に増え、痛みや発熱を引き起こす
ロキソニン®を含む多くのNSAIDsは、COX-1もCOX-2も両方を阻害します。そのため副作用が出やすいのです。
一時期「COX-2だけを選択的に阻害する薬」が開発され注目されましたが、心臓への負担が問題となり、研究は下火となりました。
■ 胃への負担
NSAIDsがCOXを抑えると、痛みや発熱の原因であるPGE2(プロスタグランジンE2)が減って症状は楽になって”ばんざーい!”と思っていたら、PGE2は「胃粘膜の血流を保ち、胃のバリア機能を守る」という大事な役割も担っていました。
つまり、悪いヤンキーを退学させたらクラスが平和になったけど、実はそいつが裏で他校からの殴り込みから学校を守ってた…みたいな話です。
だから「解熱鎮痛薬は空腹時に服用しない方が良い」とされます。とはいえ絶対にダメというわけではなく、どうしても必要な場合は水を多めに飲むようにしましょう。
■ ロキソニンの工夫
ロキソニン®は「プロドラッグ」と呼び、肝臓で代謝されて初めて薬効を発揮するのが特徴です。
同じNSAIDsでもボルタレン®のように直接作用する薬に比べ、胃への刺激はやや軽減されます。ボルタレンを試しに空腹時に飲んだら、確かに胃が気持ち悪かったことを覚えています。
ただし、「胃腸障害」程度なら回復しますが、胃や十二指腸に穴が開く「穿孔」は命に関わります。胃薬を併用していても起こり得ますので注意が必要です。

■ 腎臓への負担
NSAIDsの胃への負担はなんとなく有名ですが、見落としやすいのが腎臓への負担です。
腎臓は細かい血管の集合体で、血流調整にプロスタグランジンが関与しています。NSAIDsでCOXを阻害すると血流が減り、腎機能が低下します。近年、AKI(急性腎障害)というのが注目されています。

【腎臓へのトリプルパンチ】
特に日本の高齢者は、多くの降圧剤を飲まされており、急性腎障害へのリスクが高いのです。
参照:【医療】 血圧基準値大戦争 【仁義なき戦い】
・利尿剤で体液量が減る
・腎臓の入り口がNSAIDsの影響で狭くなってしまう
・腎臓の出口は降圧剤によって広げられてしまう
これらが合わさって、腎臓の中の血液が少ない状態=腎障害となります。
【腎機能が悪い場合】
腎機能が悪い人は解熱剤の量を減らすのか?と言えば、それはNOです。
実はCOXを抑えるにはある程度の量が必要となるので、腎機能が落ちていても減らして服用しても意味がありません。それよりは、1日3回の薬ならば2回に。2回の薬ならば1回に、というように服用頻度を減らすのが良いとされています。
■ NSAIDsを上手に利用
痛い時や熱でしんどい時に、解熱鎮痛剤を服用するのは大丈夫です。胃や腎臓にそこまでの影響を与えません。微熱が続いている時や、がん患者さんのように常に炎症が起こっている状態であれば、COXも多く存在しているので大丈夫なのです。
しかし、「なんとなく安心するから」と常用するというパターンが一番危険です。
ロキソプロフェンによる副作用症例はネット上で確認できます。
参照:PMDA症例一覧
■ まとめ
NSAIDsは「痛いときだけ」使うのが鉄則です。
痛みは体からの「ちょっと休め!」のサインであり、それを薬で抑えて動きすぎれば悪化につながります。発熱も本来は免疫反応の一部で、むやみに下げるべきではありません。
ただし、夜中に熱や痛みで眠れないときは、薬を飲んで休む方が体に良いのです。
薬は「依存」するものではなく、「上手に利用する」ものです。
おまけ1:ステロイド薬にも胃腸障害あり
NSAIDsは「非ステロイド性消炎鎮痛薬」と訳しますが、「ステロイド性消炎鎮痛薬」はあるのでしょうか。それが俗に言う「ステロイド」です。炎症を抑えるので、アトピー性皮膚炎などに使用されるのです。
違いは作用点で、ステロイドは「アラキドン酸の生成自体を抑える」ため、最終的にはNSAIDsと同じようにプロスタグランジンが減り、副作用も似てきます。したがって、ステロイドも空腹時に飲むのは避けるべき薬となります。
おまけ2:ロキソプロフェンがCOXをどうやって阻害しているの?
COXの正体はタンパク質です。COXは洞窟みたいな構造になっていて、そこにアラキドン酸がすっぽり入ることで、プロスタグランジンなどに変化させます。ロキソプロフェンなどのNSAIDsは、この洞窟にフタするのです。
COXの中に、アルギニンというアミノ酸があります。ロキソプロフェンの=Oの部分がそこにくっつき、対岸側もくっつくことで、アラキドン酸を通せんぼするのです(このためNSAIDsは横長の構造式をしています)。

NSAIDsは、詳細なメカニズムが解明している分、多くの化合物・医薬品が開発されています。人間はそれだけ痛みをなんとかしたい願望と、副作用は減らしたい希望があるのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
ご意見・ご感想はこちらまで↓
takuya_nagata_1026@yahoo.co.jp
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
各種SNSもフォローを宜しくお願いします。
X(旧Twitter)
Facebook
インスタグラム
LINEオープンチャット(ニックネームで参加可能)
•━━━━━━• ∙ʚ🐤ɞ∙ •━━━━━━•
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>長田 たくや (ナガタ タクヤ)>【くすり】 ロキソニン®は何故効くのか 【痛み止めの代表格】