2024/5/26
こんにちは。兵庫県川西市議会議員の長田たくや(ながたく)です。
せっかくなので薬剤師としてお話しをしようと思います。
2024年1月にカロナール®が一般薬(ドラッグストアで購入できる)になったとニュースがありました。
今日の話では「カロナール(アセトアミノフェン)」をお話です。
参照:解熱鎮痛薬「カロナールA」を新発売
■ 新発売♪…っじゃないよ
カロナール®は商品名で、化学成分名は「アセトアミノフェン」と呼ばれています。実際には、カロナール®は1984年から医療用として販売されている薬で、コロナ禍でもよく処方されました。インフルエンザウイルスによる発熱に対しても、安全性を考慮してカロナールが処方されるのが一般的です。
実はタイレノール®もカロナールと全く同じアセトアミノフェンを含んだ薬で、ずっと前から「一般薬(ドラッグストアで買える薬)」として販売されています。アセトアミノフェンは多くの解熱鎮痛薬に配合されており、薬の箱を見れば「アセトアミノフェン○○mg」と記載されていることがよくあります。
つまり、新発売♪じゃないんですよ^^;

■ いまだに謎…
解熱鎮痛薬といえば、バファリンAやイブ、ロキソニンなどありますが、カロナールはその仲間に入りません。
解熱作用や鎮痛作用がありますが、炎症(腫れや熱感)は抑えないのです。このメカニズムについて未だに詳細不明です。
医薬品としては1893年から使われているようですが、未だにわかっていない。科学とはそういうもんです。
■ 副作用が少ない
アセトアミノフェンは、妊婦や子供にも比較的安全に使えることで知られています。胃に対する影響も少なく、空腹時に服用しても問題ありません。アスピリン喘息(解熱剤による喘息症状)にも関与しないため、喘息がある方でも服用が可能です。
■ 肝臓への負担が問題
日本では、アセトアミノフェンの最大服用量は1日1500mgでしたが、現在は4000mgまで服用可能とされています。アメリカではさらに多く服用されることもあります。服薬量を増やさねば効果が薄い薬なのですが、その分、肝臓への副作用リスクが増加したのです。
胃や腎臓に対しては、他の解熱鎮痛薬よりは問題とならないのですが、肝臓への負担があります。
特に「カロナールの大量服用+飲酒」で最悪死に至るケースもあります。もともと肝臓が弱い方は気を付けたほうが良いでしょう。
(ただ、短期間に服用する分にはたいてい問題となりません)
1999年には埼玉県本庄市で、アセトアミノフェンを使った殺人事件がありました。
参照:かせ薬とアセトアミノフェン中毒
なぜそうなるのか、を少々難しいかもしれませんが解説します。
■ 構造式と名前の由来
カロナール(アセトアミノフェン)の化学構造式です。

アセトアミノフェンの化学構造はシンプルで、フェノール環にアミド基が結びついています。アメリカ圏では「アセトアミノフェン」と呼ばれ、イギリスでは「パラセタモール」と呼ばれています。(海外旅行好きな人はしっておいて損はない)
(名前の由来)

フェノールの-OH基の正面向かい側にーNHがついています。
向かい側の位置のことを、パラ位(p-)といいます。
アミド基(NH-C=O)がついていて、その先端に-CH3(1個)があるのでアセトアミドとなります。
ひっくるめて、パラ-アセトアミド-フェノールとなります。ここから「パラセタモール」と命名されました。
アセトアミノフェンという名前も由来は構造式からですね。双方いまだに呼び方を譲り合っていません笑。
■ なぜ肝機能障害を起こすのか
肝機能障害を引き起こすメカニズムは明確にわかっています。
アセトアミノフェンを服用すると、90%は消化管から吸収され、一旦肝臓を通過するのでそのときに1/4程度が分解されます。残りが体を巡って薬効を示し、最終的には肝臓にて代謝を受けます。それを図にしたものが以下のとおり。

95%程度が安全な代謝経路で尿と一緒に排泄されますが、その処理能力を超えると、CYP2E1(チトクローム)による代謝が起こります。
すると、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)が生まれます。NAPQIの構造を見ていただくと、六角形の中の線が2本しかありません。これは3本ないと化学的に不安定なのです。線を3本にしようと周りの細胞から電子を奪うことで、肝臓の細胞を死に至らしめます。
ただし、もともと人間には安全装置のように解毒機能が備わっていて、通常は速やかに無毒化されます。
■ なぜアルコールがダメなのか
大量に飲酒をすると、肝臓内の酵素(CYP)が増加し、アセトアミノフェンが過剰に代謝されてNAPQIを生成してしまいます。あまりにNAQPIが多いと安全装置である解毒が間に合わないのです。このため、アルコールとアセトアミノフェンを一緒に摂取することは非常に危険とされています。
中毒症状には、吐き気、嘔吐、腹痛があり、肝不全に至ることもあるため注意が必要です。
治療では、活性炭やアセトシステインを投与して、血中のアセトアミノフェンの増加を防ぎます。
少し難しかったかも知れませんが、たまにはこんなのもいいでしょうってことで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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