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第53回 地方自治経営学会 研究大会 報告 (その1)

2022/2/12

基調講演:片山善博(慶應義塾大学法学部教授・元総務大臣)
「地域政策と議会への期待」

・学校現場の課題
 まずは議員が現場を見る。問題山積の現地を直接見る、直接聴き取る。首長の出来不出来は選んだ住民の責任。しかし教育委員の人選は議会との共同責任。教育行政はだれがやるのか。大津市のように悲惨な事件があった時に、大津市だけでは無いが、教育委員会には「本業が忙しくて…」と言い訳する人ばかりだったりする。選んだのは首長でも、議会にはそんな人に太鼓判を押した責任がある。
 学校経営の責任者は教育委員会。現場を知らない教育委員があるとすれば、これは保護者や生徒にとって大きな不幸。例えば不登校が多ければ、メンタルケアの専門家を置くとか、学校現場が本当に望んでいる事がなんなのか、自分の後援者・支援団体ばかり回っていてはわからない…議員が生の声を聞かなくてどうするのか。私も公務員をやっていましたが、どこの職員も、うまくいってない事は、本当の事は、言いません。役所の職員の言葉だけが真実ではありません。ぜひ、公聴会などを利用して、それが出来なければ自らの足で現場をたずねて、実際のところを聞いてみて下さい。
 なぜ教育委員会の品質に問題があるのか。子どもたちの教育環境を整備する事に情熱を持っているのか?最低でも週に一回集まって、会合にでれるのか?選任同意の前に文教委員会で見識を述べてもらい、ちゃんと質疑しましょう。「あなたは週一度の会議に出れますか?」それをきちんと問いかける事を保護者は求めています。それが本当の議会改革です。

 正規の教員と非正規の教員の比率を調べて下さい。97〜100%の正規雇用率をみたしていますか?小泉改革で国庫負担金の割合が変わった。県の財政の不都合で一種のネコババが行われている・・・そんな時は県に対して文句を言いに行ってもらいたい。100%は東京都だけですよ、中教審のデータでは。そんな事も議員は知らない。市教委は県が怖くて言えないんですよ。

・雇用と地域経済の自立
 移出と移入の問題。鳥取県のエネルギー自給率は10%くらい。県の経済からいうと自立できていない。大幅な移入超過です。移入超過の部分を、高齢者が多いので、年金財源とか国庫負担の部分でお金が中央からきます。それで県の経済が回っているんです。
 だから、県の雇用が少ないのは当たり前です。ではどうすればいいのか。答えは簡単で、実行は難しいのですが・・・移入を減らして行く。自前で供給できるよう地元の産品を育てて行く。給食でも地元で調達出来れば、少しだけ地元の雇用が増えます。県ではペレットストーブを導入しました。貴重なお金をアラビアやら千葉県の精油所へ、千葉県が悪い訳じゃないんですが、持っていかれていたのを、わずかながらでも、地元の中山間地域に還元する事を考えました。
 鳥取県の主要産業はなんですか? 公共事業です(笑)本当は農業とか電気機械産業なんですが。
 公共事業ではそのほとんどが地代に消えます。それが雇用に回るかと言うと、だいたい銀行預金に積まれてしまう。
 鳥取でも冷静に分析してみたんですが、儲かるのは都会に本社を構えた大手さんとか製鉄会社ばかりで、下請けさんはギュウギュウ絞られて、地域経済に波及しにくい。地代となった貯金が残るからいいんじゃないかと言われますが、残念ながら皆さんそのうちお亡くなりになります。山陽銀行に積まれていた貯金が、相続によって何時の間にか東京の銀行預金に積まれてしまう。
 大都市の人は耳を塞いでいていいんです。地域の地元の雇用の創出にちょっとでも地元に残るように、そう言う事につながるんであれば、公共事業にも意味がある。そこで、鳥取県では「ガードレール」に地元産の木材を使用する事を考えた。
 地域交通でもそうなんです。マイカーをなるべく使わないで、みんなが公共交通を使うようになれば、富の流出を止められます。みんながバスを使うようになれば、バスの路線網も充実します。良い方に回り始めます。

・議会の役割と責務

 今までのやり方でうまくいかなければ変えてみる。議員間討議を導入してみる。市職員に聞いてもうまくいっていない事は白状しません。議員間討議が出来ないのは目的意識が無いからです。

・質疑応答
Q「財政のところをもう少し伺いたい」
A:今年の四月から借金のルールが変わってます。起債一件ごと議会の管理が必要です。最近、荒っぽい事をやらなければ官僚なんて変わらないわよ・・・なんて言ってる人がいますが、そんな事は無いんです。ちゃんとやれば出来るんです。ルールが変わったのですからやればいいんです。

Q「教育委員の任命については首長の専権事項だと思っていたのですが・・・」
A:首長の提案したものを否決する事に躊躇いがあってはなりません。案なんですから。是々非々でNOと言ってもいいんです。案なんですから完璧なはずがないんです。悪意を持ってはいけませんよ。でもそんな事で人間関係は壊れません。議会には議会の役割があります。

Q「鳥取の日立撤退問題など、いい知恵があればお聞かせ願いたい」
A:一つ一つのパーツを増やして行く。安易な企業誘致ではうまくいかない。少しづつ地域の地力を増やして行く。 
 例えば指定管理と言う制度があります。図書館の民営化、自前の施設を自前で経営しようとしないで、残るのは低廉な雇用ばかりです。

(2012.11.8)

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著者

鈴木 こうじ

鈴木 こうじ

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肩書 一級建築士 政策学修士
党派・会派 無所属
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