選挙ドットコム

鈴木 こうじ ブログ

富士・富士宮地域における中小企業の経営姿勢調査 -人を大切にする経営と企業業績は比例するか-

2022/2/11

人を大切にする経営学会発表2017

(環太平洋大学経営学部・前常葉大学経営学部) 安達明久
(2014年法政大学大学院政策創造研修科終了政策学修士 富士市議会議員) 鈴木幸司

1.はじめに
 本研究は、法政大学研大学院政策創造研究科坂本研究室卒業生で現在富士市議会議員である鈴木幸司の発案のもと、2017年1月に常葉大学経営学部安達明久研究室、および法政大学政策創造研究科坂本光司研究室が共同し、富士商工会議所、富士宮商工会議所の協力を得て実施した「富士・富士宮地域における中小企業の経営姿勢に関するアンケート調査」の回答結果を分析整理したものである。同アンケート調査の実施にあたっては、調査票の作成送付回収、および回答内容のデータベース化、整理などの主要作業を、鈴木幸司、および安達研究室所属の学生4名(藤田奈央、深澤辰哉、森真咲、大沼優美子)が担当した。

2.研究の目的と意義
 本研究は、法政大学政策創造研究科坂本光司教授が提唱する「人を大切にする経営」が、現実の中小企業経営においてどの程度実際に取り入れられているのか、また、その様な経営姿勢が企業業績に対して本当にプラスの効果をもたらしているのかという点について、アンケート調査等による定量データに基づいて明らかにすることを目的として実施したものである。
 「人を大切にする経営」の有効性については、坂本教授らがこれまで多くの実際個別事例を紹介することによって論証しているものの、定量データに基づく統計的な検証の面では必ずしも十分な取組みが実施されて来なかった様に考えられる。鈴木幸司、および安達明久は、「人を大切にする経営」をビジネス文化・経営理念の一環として捉え、日本における普及実態と有効性について関心をもち、坂本研究室と共同して調査研究を行うこととした。 
 地域的な限定等の制約はあるものの、「人を大切にする経営」の実態、有効性を統計的な手法で明らかにした初めての試みとして学問的な意義を有していると考える。 

3.研究方法
 本研究は、この様な問題意識の下、中小企業の集積が比較的進んでいる静岡県富士市および富士宮市に本社を置く中小企業を対象として、「人を大切にする経営」の実態とその有効性について、アンケート調査と企業データベースを活用する方法により、統計的な検証を行った。 

・アンケート調査対象企業数:418社
・同回答企業数:111社(回答率27%)
・質問項目数 : 21項目(坂本研究室が設定した人を大切にする経営指標100項目より学生アンケートを基に選定)

 アンケート調査にあたっては、回答率の改善を図る等の観点から、富士商工会議所、および富士宮商工会議所から多大のご協力を頂いた。また、アンケート対象企業の抽出作業、および企業業績の把握等にあたっては、(株)東京商工リサーチの企業データベース(TSR)を基礎情報として利用している。

4.アンケート分析結果
 アンケート回答結果等から、次の4点が明らかとなった。

①経営姿勢に関する質問項目(全21項目)に対し、「十分該当する」と回答した企業の割合は、21項目平均で37%、「どちらかと言えば該当する」を含めると72%に達する。
②21項目のうち、下記の6項目については、当該項目に「十分該当する」と回答した企業の「業績」が比較的良好、ないしは安定していることが統計的に確認できた。
・過去5年以上サービス残業なし
・過去5年以上一方的コストダウン要求をしていない
・取引依存度70%以上の仕入れ先や協力企業が黒字
・経営者は経営理念の体現者としての言動ができている
・経営者は誰よりも勉強家・努力家である
・中長期的経営ビジョンは定期的チェックシステムがあり機能している
③さらに、これら6項目については、その実現に積極的に取組む経営姿勢が、企業業績に対してプラスの影響を与えるという「因果関係」が存在することも、今回調査において統計的に確認された。
④他方、残念ながら「過去5年間リストラなし」「障害のある社員に応じた様々な雇用形態がある」「出産や子育て・入院の独自の支援がある」など、さらに一歩踏み込んだ項目については、5年程度の期間でみた場合、企業業績には必ずしもプラスの効果をもたらすとは言い難いこと、また、これら項目に配慮した経営を実施している企業も依然少数に留まっていることも今回調査によって判明した。

5.研究の社会的意義
 前述④が示すように、「人を大切にする経営」は必ずしも高業績に直ちに結びつくものばかりではないことを、今回のアンケート結果は客観的事実として示している。
 したがって、「人を大切にする経営」をさらに普及促進する観点からは、今後の中小企業に対する政策的支援の在り方として、「リストラの回避」「高齢者・障害者雇用への配慮」「子育てやキャリア形成への支援」等に重点をあて、これらの項目に配慮した経営が企業業績にもプラスの効果をもたらす仕組み、社会的環境を整備創出することが必要であると考える。

6.今後の課題
 本研究は、調査対象が富士・富士宮地域に限定されており、アンケート調査項目も21個に限定されている。今後は、調査対象地域や質問項目の拡大を図ることが必要である。
 さらに、「人を大切にする経営」が、何故業績や企業の継続性に好影響を及ぼすのか、その理由、仕組み、メカニズムについて科学的な根拠に基づいた理論の提示が必要であると言えよう。とりわけ、「人を大切にする経営」は、経営理念を構成するミッション、ビジョン、価値観などのビジネス文化と深くリンクしていると考えられ、この観点から「人を大切にする経営」が企業業績にどの様に影響するのかを分析することが重要ではないかと思料する。

7.まとめ
 本研究によって、坂本教授が提唱する「人を大切にする経営」が、富士・富士宮地域においては、既に過半の企業で一定の項目について試みられており、さらに、「一方的コストダウンを要求しない」といった6つの項目については、そのことが企業業績にも良い効果をもたらしていることが統計的に確認できた。
 他方、残念ながら、「人を大切にする経営」の全てが、直接的短期的に企業業績を改善するとは限らないことも、本件研究が示しているところである。しかし、そのことが、「人を大切にする経営」の推進のため、政策的な支援を行う必要性が高いことの論拠ともなり得ると考えられ、これを定量的に示した点で本研究の意義があると思料する。

この記事をシェアする

著者

鈴木 こうじ

鈴木 こうじ

選挙 富士市議会議員選挙 (2027/04/30) - 票
選挙区

富士市議会議員選挙

肩書 一級建築士 政策学修士
党派・会派 無所属
その他

鈴木 こうじさんの最新ブログ

ホーム政党・政治家鈴木 こうじ (スズキ コウジ)富士・富士宮地域における中小企業の経営姿勢調査 -人を大切にする経営と企業業績は比例するか-

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode