2026/8/21


私の要望も経て、自衛隊への個人情報提供に関する「覚書」が新宿区のホームページに掲載されました。しかし、書面上の約束と実際の運用は別問題です。
新宿区議会議員の川村のりあきです。
新宿区が、18歳になる区民の氏名・住所を印字したタックシール(宛名シール)を、本人の事前同意を確認せず、自衛隊東京地方協力本部へ提供する問題。
新宿区と自衛隊との間で交わされた「覚書」は、2026年4月の常任委員会に資料として提出され、区役所本庁舎1階の区政情報センターで閲覧できる状態にはなっていました。
しかし、区のホームページには掲載されておらず、区民の皆さまが容易に内容を確認できる状況とはいえませんでした。
そこで私は、覚書をホームページに掲載し、広く確認できるようにすることを担当課へ要望しました。
私の要望も経て、8月3日、覚書が新宿区のホームページに掲載されました。
これまで区政情報センターまで出向かなければ確認できなかった覚書を、自宅などから確認できるようになったことは、一歩前進です。
しかし、ホームページへの掲載はゴールではありません。
本当に問われているのは、覚書に書かれた約束が実際の運用で確実に守られているのか。そして、区民の皆さまや議会が、その運用を検証できるのかということです。
覚書には、次の事項が記載されています。
個人情報の秘密保持
情報を取り扱う職員の限定
募集事務以外への使用禁止
個人情報の複写禁止
返戻された郵便物の返還
事故発生時の報告
区が自衛隊へ口頭で確認したところ、情報を取り扱うのは、自衛隊東京地方協力本部の出張所長と広報担当者2人とのことでした。
しかし、私が委員会で、その確認内容を公文書として区民が確認できるのかと質問すると、区は、口頭でのやり取りであり、特にメモは作成していないと答弁しました。
覚書をホームページに掲載したことは重要です。
一方で、「覚書があります」と示すだけでは、実際の運用が適切だったことの証明にはなりません。
誰が個人情報を取り扱ったのか
複写されていないことを、どのように確認するのか
返戻されたはがきを誰が、どこで保管したのか
いつ、どのような方法で返還・廃棄したのか
区が実際の運用を確認した記録が残っているのか
こうした点まで検証できなければ、実効性のある個人情報保護とはいえません。
覚書では、宛先不明などで返戻されたはがきは、速やかに新宿区へ引き渡すことになっています。
それでは、実際に返戻されたはがきは何通あり、どのように扱われたのでしょうか。
私はその後も、返戻はがきの取扱状況について、担当課に繰り返し確認を求めてきました。
8月18日(火)時点で担当課に確認したところ、返戻はがきが実際にどうなったのかについては、まだ確認できておらず、あらためて確認したうえで報告するとのことでした。
委員会では、覚書に基づき「速やかに区へ引き渡す」「確実にやっていく」と答弁していました。
それにもかかわらず、覚書に定められた返戻物の取扱状況を直ちに説明できなかったことは、大きな問題だと考えます。
書面上の約束と実際の運用は別問題です。
担当課から報告を受け次第、次の点を精査し、区民の皆さまへお知らせします。
返戻されたはがきは何通あったのか
いつ自衛隊から新宿区へ返還されたのか
返還まで、どこで誰が保管していたのか
宛名シールはどのように処理・廃棄されたのか
複写や二次利用がないことを、どのように確認したのか
こうしたなか、熊本日日新聞は8月17日、陸上自衛隊中央情報隊の部隊による個人情報収集をめぐり、部隊関係者が公益通報していたと報じました。
報道によれば、日本人研究者などについて、愛国心、自衛隊への姿勢、性的指向などの情報が収集され、個人情報を含む文書が行政文書として適切に登録・管理されていなかった可能性が指摘されています。
少なくとも数千人分の個人情報が収集された可能性も報じられています。
現段階では報道に基づく内容であり、違法性が確定したものではありません。
しかし、国の機関が収集した個人情報について、誰が、どのような目的で利用し、どこに保管し、いつ廃棄するのか。それを外部から検証できないとすれば、極めて重大な問題です。
▶ 熊本日日新聞「陸自部隊の個人情報収集、部隊関係者が『違法』と公益通報」
陸自情報部隊によるとされる情報収集と、新宿区が自衛官等の募集事務として行う個人情報提供は、目的も制度上の位置付けも異なります。
両者を、そのまま同一の問題として扱うべきではありません。
しかし、個人情報について、
利用目的を限定できているか
複写や二次利用を防止できるか
取扱いの記録が残されているか
不要になった情報が確実に返還・廃棄されるか
外部から実際の運用を検証できるか
という問題は共通しています。
一度提供された個人情報は、区役所の直接的な管理を離れます。
だからこそ、区民の個人情報を自衛隊へ提供した新宿区には、提供後の管理まで確認し、区民の皆さまへ説明する責任があります。
覚書が新宿区のホームページに掲載され、区民の皆さまが確認しやすくなったことは、一歩前進です。
しかし、本当に大切なのはここからです。
私は引き続き、次の点を求めていきます。
自衛隊との確認や協議を口頭だけで終わらせず、記録に残すこと
提供人数、除外申出数、返戻数、廃棄数を公表すること
複写や二次利用がないことを新宿区が確認すること
返戻はがきの返還・保管・処理・廃棄記録を残すこと
対象者一人ひとりへ直接通知すること
本人の事前同意を確認する制度へ改めること
「覚書を交わしているから大丈夫」
「国の組織だから大丈夫」
「渡したら終わり」
という対応にはさせません。
まずは、担当課が確認すると回答した返戻はがきの取扱いについて、報告内容を精査し、区民の皆さまへお伝えします。
2026年4月
常任委員会に、新宿区と自衛隊との「覚書」が資料として提出。区役所本庁舎1階の区政情報センターで閲覧可能に
2026年8月3日
私の要望も経て、覚書が新宿区ホームページに掲載
2026年8月18日
担当課へ返戻はがきの取扱状況を確認。具体的な状況はまだ確認できておらず、あらためて報告するとの回答
「自衛隊への個人情報提供はやめてほしい」
「自分が対象になるかどうか、直接通知してほしい」
「除外申出の方法を、もっと分かりやすく知らせてほしい」
皆さまの身近な疑問やご意見を、ぜひお寄せください。
皆さまの声が、区政を動かす一番の原動力です。
川村のりあき(川村範昭)
日本共産党新宿区議会議員・6期24年
「区民のためなら、あきらめない」
▶ 【緊急追究】陸自「市民の思想調査」報道と、新宿区が繰り返す「同意なき個人情報提供」の危うい共通点
新宿区と自衛隊東京地方協力本部との「覚書」(2026年4月常任委員会提出資料、同年8月3日新宿区ホームページ掲載)
常任委員会における質疑と担当課長答弁
2026年8月18日、担当課長への返戻はがきの取扱状況に関する確認
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