2026/8/5

子どもの熱中症対策と、避難所の命を守る環境整備。その方針転換は、突然始まったものではありません。
新宿区議会議員の川村のりあきです。
前回の「2018年の提案から全校整備へ」の記事には、多くの反響をいただきました。ありがとうございます。
学校体育館は、授業や部活動、学校行事の場であると同時に、災害時には地域の避難所になります。ところが、新宿区で既存の体育館への空調整備が具体化するまでには、「構造上難しい」「まずは教室が優先」とされてきた長い経過がありました。
今回は、私が2018年に議会で全校整備を求めるまでの前史と、区の方針が大きく転換し、現在の全45施設・設置率100%に至るまでをたどります。
先に結論です
既設6施設に加え、新たに39施設(武道場5施設を含む)を整備し、現在は45施設すべてで空調設備が設置されています。長く「難しい」とされてきた課題も、議会での提案、現場の声、国・東京都の支援が重なり、大きく動きました。
2010年の記録的な猛暑を受け、学校体育館への冷暖房設置を求める声が強まりました。PTAからも要望が出されましたが、当時の区は、既存体育館への後付けには構造上の課題があり、普通教室や特別教室などの整備を優先するという慎重な姿勢でした。
2017年に区がまとめた基本計画への意見回答でも、既存体育館への空調導入は、建物の構造によっては非常に難しく、新築や建て替えの機会をとらえる必要があるとの考えが示されています。
つまり、当時は「必要性はあっても、すぐには実現できない」というのが区の基本姿勢でした。
それでも、猛暑時の体育館をそのままにしておくことはできません。議会では、中央区など、既存の学校体育館への冷暖房整備を先行して進めていた自治体の事例を紹介し、新宿区でも早期に検討するよう求めてきました。
また、恒久的な設備が直ちに難しいなら、スポットクーラーや冷風機、移動式暖房機などを活用できないかという検討も重ねられました。風が競技に与える影響、騒音、燃料費など、課題はありましたが、「できることから前へ進める」ための模索が続きました。
愛日小学校の建て替えでは、冷暖房を備えた体育館の整備方針が示されました。一方で、既存校全体への整備は、なお大きな課題として残っていました。
転機となったのは、2018年の記録的な猛暑です。子どもの熱中症対策に加え、災害時の避難所環境を改善する必要性が、これまで以上に切迫した課題となりました。
私も2018年9月の区議会で、教育環境と避難所機能の両面から、学校体育館への空調整備を求めました。
区は同年8月、体育館で全校給食を行っていた牛込第一中学校を先行調査し、「大規模な改修を行わずに空調設備の整備が可能」との結果を得ました。長く語られてきた「既存校では難しい」という壁を越える、具体的な道筋が見え始めたのです。
さらに同年秋、東京都が区市町村立小中学校の屋内体育施設への空調設置を支援する独自制度を新設。国の財政支援も拡充され、区の負担を抑えながら整備を進められる環境が整いました。
新宿区は2019年度予算で、「屋内運動場の空調設備整備」を新規事業として位置づけ、1億4,162万7千円を計上しました。
当時、空調設置済みだったのは6施設。そこに、新たに39施設(武道場5施設を含む)を加え、2020年度を目途に整備を進める計画です。ここでいう「39施設」は全体数ではなく、新たに整備する施設数であり、既設分を合わせると計45施設になります。
文部科学省の調査では、2025年5月1日時点で、新宿区の体育館・武道場45施設すべてに空調設備が設置され、設置率は100%です。同じ調査で、全国の公立小中学校の体育館・武道場の設置率は22.7%でした。新宿区が到達した水準は、全国的に見ても決して当たり前ではありません。
体育館エアコンの全施設整備は、大きな前進です。しかし、災害時に本当に命を守るためには、「設置した」だけで終わらせず、実際に使える備えへと高めていく必要があります。
・停電時の電源確保や、燃料・設備の点検体制は十分か
・避難所開設時に、誰が、どの手順で空調を稼働させるのか
・高齢者、乳幼児、障害のある方など、暑さの影響を受けやすい方への配慮が具体化されているか
・猛暑時の学校活動で、適切な室温管理と利用ルールが徹底されているか
私は、学校現場や地域の皆さまの声を伺いながら、平時にも災害時にも確実に機能する運用になっているか、引き続き確認し、必要な改善を求めていきます。
2010年頃から続いた議論は、2018年の猛暑と財政支援の拡大を機に大きく動き、全45施設への整備へつながりました。
一度で実現しなくても、先行事例を示し、現場の声を届け、機会を逃さず提案を重ねる。その積み重ねが、子どもの安全と避難所の環境を変えました。
これからも、「難しい」と言われる課題にこそ向き合い、命と暮らしを守る新宿区政を前へ進めていきます。
📌 これまでの歩み
・2010〜2011年頃:記録的猛暑を受けて設置要望が高まる。区は、既存体育館への後付けや整備の優先順位を理由に慎重姿勢。
・2012〜2017年頃:他区の先行事例を示し、簡易・移動式設備も含めて対策を模索。
・2018年8月:牛込第一中学校を先行調査。大規模改修なしでも整備可能との結果。
・2018年9月:川村のりあきが区議会で、教育環境と避難所機能の両面から整備を提案。
・2018年秋:東京都が独自の補助制度を新設。国の財政支援も拡充。
・2019年度:新宿区が新規事業として1億4,162万7千円を計上。新たに39施設を整備する計画を開始。
・2020年度:既設6施設と合わせ、全45施設への整備を進める。
・2025年5月:文部科学省調査で45施設すべて設置済み、設置率100%。
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📖 【体育館エアコン】2018年の提案から全校整備へ―避難所の命を守るために(前回の記事) https://go2senkyo.com/seijika/15271/posts/1456341
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川村のりあき(川村範昭)
日本共産党新宿区議会議員 6期24年
「区民のためなら、あきらめない」
出典・確認資料
・新宿区「新宿区基本計画(素案)及び新宿区第一次実行計画(素案)に関するパブリック・コメントにおける意見要旨と区の考え方」(2017年)
https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000233002.pdf
・新宿区 平成30年第10回定例会資料(牛込第一中学校の先行調査・2018年8月)
・新宿区「屋内運動場の空調設備整備【新規】」(2019年度予算・141,627千円)https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000255247.pdf
・東京都「平成30年度12月補正予算(案)」(区市町村立学校屋内体育施設の空調整備支援)
・文部科学省「公立学校の体育館等における空調(冷房)設備の設置状況調査」(2025年5月1日現在)https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2024/mext_00002.html
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