2026/9/12
ハンガリーでの憲法調査において、日本の憲法改正論議にも直結する重要なテーマとして、「緊急事態における国会機能の維持」について議論しました。
ハンガリーの基本法では、緊急事態に関する制度が明確に整備されています。
かつて5つ、時期によっては6つあった緊急事態の類型を整理し、現在は、
① 戦争事態
② 緊急事態
③ 危険状態
の3つに整理されているとのことです。
重要なのは、こうした事態の認定について、国会が重要な役割を担っていることです。
さらに、戦争や重大な緊急事態により選挙を実施することが困難になった場合には、国会機能を維持するため、議員任期を延長することも可能な制度となっています。
これは、スイスで伺った考え方とは対照的でした。
スイスでは、選挙が長期間できなくなった場合の議員任期延長について、憲法上の明文規定はなく、「まず選挙を行う」「必要なら緊急立法等で対応する」という考え方でした。
一方、ハンガリーは、危機が発生した際にも国会機能と民主的統制を途切れさせないため、あらかじめ憲法制度として備えています。
ただし、現地で繰り返し強調されたことがあります。
それは、「何より大事なのは、できるだけ早く選挙を実施することである」という点です。
ここに重要な示唆があります。
議員任期の延長は、議員の地位を守るための制度ではありません。
国民による選挙が物理的に実施できない間も、国会機能を維持し、民主的統制を途切れさせないための非常時の備えです。
日本でも、巨大地震、武力攻撃などにより、広範囲で長期間選挙ができなくなる事態を、現実の問題として想定しなければなりません。
危機が起きてから対応を考えるのか。
それとも、危機が起きる前に、憲法に必要な備えをしておくのか。
スイスとハンガリーという異なる制度を比較したことで、緊急事態における国会機能維持について、日本でもさらに具体的かつ建設的な議論を進める必要性を強く感じました。
今回の調査成果を持ち帰り、憲法審査会での議論につなげてまいります。
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