2026/9/11
スイスにおける憲法調査において、海外調査ならではの実務的な議論ができたのが、スイス民主主義の根幹ともいえる「国民投票」です。
スイスの憲法改正にかかる国民投票では、政府が賛否の立場を明確にした上で、賛否双方の主張や詳細な資料を国民に示し、国民自身が直接判断する仕組みとなっています。
日本では、憲法改正の条文案の作成に政府は関与せず、国会議員の発議により、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票により国民の承認を得ることとされています。
まさに、国民主権の最大の発露といえます。
今回、私が特に印象を受けたのは、スイスの国民投票に関する資料に「政府はこの案に反対」と明確に示されていたことです。
一方で、スイスの国家運営の原点ともいえる国民投票制度も、決して万能ではありません。
近年は国民発議の件数が増え、政党や利益団体などが組織的に議題を設定するケースも増えているとのことです。
また、署名集めに多額の資金が投入される問題、偽造署名、電子投票の信頼性など、新たな課題も生じています。
それでも興味深いのは、国民投票が単なる「多数決」に終わっていないことです。
提案が否決されても、その過程で社会の問題が顕在化し、国民的な議論が起こり、政治が動く。
国民投票そのものが、民主主義の議論を深める役割を果たしているのです。
これは、日本にとっても重要な示唆です。
憲法改正について最後に判断するのは、主権者である国民です。
だからこそ国会には、国民が判断できる具体的な選択肢を示す責任があります。
スイスで得た知見と問題意識を持ち帰り、これからの日本にふさわしい憲法のあり方について、国民の皆さまに具体的な選択肢を示せるよう、憲法審査会の議論をさらに前へ進めてまいります。




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