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『半透明のトロイの木馬』からの脱却!リベラル勢力の立て直しに必要なことは?【山尾志桜里×今野忍×水内茂幸】

2026/3/5

選挙ドットコム編集部

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3月4日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、元衆院議員の山尾志桜里氏をゲストに迎え、衆院選での野党・リベラル勢力の衆院選総括と立て直しに向けた展望についてMCの政治ジャーナリスト・今野忍記者と産経新聞編集長の水内茂幸記者と徹底討論!山尾氏は中道改革連合の敗北について、旧民主党時代から続く「外圧頼み」の変革が招いたとし、今リベラルに必要なのは時代を読み切り支援者を信じる勇気だと指摘します。

半透明のトロイの木馬!?旧民主党時代から続く『外圧』による変革

MC今野忍記者(以下、MC今野記者):山尾さんはもう「希望の党騒動」の時も経験されてますね。

山尾志桜里氏(以下、山尾氏):あの時、2017年は私は無所属です。

MC今野記者:だからあの時とまた違うんだけど、現象としてはまた野党が分裂して、一強多弱になっちゃったっていう。そっから少しずつ大きくなって立憲は148(議席)までいったんだけど(2026年衆院選で中道改革連合が)49(議席)になっちゃったので、またあの頃と一緒で多弱状態になっちゃった

山尾氏:やっぱりね、私はこれまでの立憲民主党なるものの歩みっていうのは、結局「他力本願」だと思うんですよ。まず選挙では共産党にある意味で『寄生』をして、一本化してもらいたいからこそ、選挙の前になるといつも安全保障もエネルギーも「玉虫色」になっていく

MC今野記者:そうなんですよね。あの頃からなんですよね。共産党と選挙をやるようになって、どうしてもね。その前に安保法制で「野党共闘」みたいになったから。

水内茂幸記者(以下、水内記者):市民連合が集まるには、そこだということですよね。

山尾氏:で、今回は、その相手の共産党が公明党に変わっただけで、公明党という『外圧』を使って、自分たちは安全保障を現実的に転換しようとした。いつも『外圧頼み』なんです。確かに今回は、公明党が来ることで、立憲民主党の一部の方は「自分たちは変われるかもしれない」、ちょっと肩の荷が下りて「変えてもらえる」みたいなことを思ったんだと思うんですよね。

でもやっぱり、結局自分で変わらないと本当には変わらない。『外圧』で公明党が言っている、もう選挙も間近で党内議論の時間もない。そういう状況を逆手にとって、「安全保障を現実的にする」「原発の再稼働を認める」みたいなことを言って、選挙の前に『衣替え』してみても選挙が終わったら必ず「地金が出る」と思って、私は「トロイの木馬になるんだ」っていうことを当時から言ってたんです。

MC今野記者:そうですよね「トロイの木馬」っていうつぶやきが非常に言い得て妙というか、核心を突いてますよね。

山尾氏:結局、公明という『木馬』の中に隠れて、「自分たち中道に変わりました」って敵基地に行くんだけれども、結局選挙が終わってその蓋を開けてみたら、やっぱり「私たちオールド左翼です」「私たちの考え何も変わってません」っていう人たちがバッジつけてゾロゾロ出るっていう、予想をしたんですけど、その予想は半分当たって半分外れた訳ですよね。要するにバッジがつかなかった。

水内記者:その人たちがゾロゾロ、ゾロゾロ落ちていったという。

MC今野記者:もっと言っちゃえば、その木馬は半分透明でしたよね。要は、原発は「私はこれからも中で反対を続けていきます」とおっしゃる方がいたり、安全保障は言うけど、安住(淳)さんが辺野古について「現実的」って言ったら、沖縄県連の立憲が怒っちゃって、結局「辺野古は選挙終わってから決めます」と。米軍基地の移設は日米同盟の根幹じゃないですか。それを「選挙終わるまでは決めません」って言っちゃった。だから「トロイの木馬」に隠れることさえできなかった。

山尾氏:だから選挙が始まって期待が続かなかった。中道の候補者の人たちがXなんかで、「いや、私は何も変わってません。でも選挙に受からないと何もできません」っていう「宣言」を、あの一人二人三人とゾロゾロとしていった訳ですよね。

水内記者:「当選してから党内で変えます」と言って、なんなんだこれってちょっと驚きましたけどね。

MC今野記者:彼らの立場になってみると気の毒だったんですよね。党名も、党と党の合流もトップダウンで決まっちゃったから。誰も議論してない訳でしょ。

『新しい出会い』に踏み出せないリベラルの問題点

水内記者:(中道公認で落選、元朝日新聞記者で水内記者も旧知の)山岸(一生)君が確かXで、戦争にすぐなっちゃうなんて言っちゃってすいませんでしたと言ってたと思う(※編集部補足:2月11日投稿の山岸氏のポスト「『高市さん、自民党に投票すると戦争になる!』と煽った選挙言論は、反省、改善すべきだと思っています。」)。根本的に、リベラルの人がずっとそれにこだわりすぎてたじゃないですか。なんかあの『病』ってもう20年ぐらい前にずっと卒業しなければいけなかったのに、なんでずっと続いているんですかね?中国とかロシアとか北朝鮮とかの動きを見れば当たり前のようにね、丸裸になれば相手も自分たちのことを信じてくれてみんなで幸せさなんて、残念だけどやっぱり厳しいじゃないですか。もうずっと昔からのイデオロギーの問題はあったけれども、この20年、特に中国の動きなど見てみるといい加減にこれはどうやっても危ない。平和を守るためだったら、むしろ抑止力を作ることが平和になるんだっていうのはリベラルの人たちももっと真剣に考えて変わっていかなきゃいけなかったのに、ここまで来てしまったのは何が原因だと思いますか?

山尾氏:立憲民主党の中で言うと、2パターンあると思っていて。特に中堅・ベテラン勢は分かってる訳ですよ。

水内記者:分かってるんですか?

山尾氏:分かってますよ、分かってますよ。それはやっぱり民主党政権の時の辺野古の失敗も経験している訳だし。いわば、理想的平和主義ではこの国の舵取り取れないっていう審判を突きつけられた人たち。しかも、昨今の状況もあって「自分の国を自分で守らない国を助けてくれる国はない」っていうことも分かってる人たち。だから、野田(佳彦)さん始め枝野(幸男)さんですらこの1年、2年、安保法制の違憲部分廃止は廃止したいみたいに一議員としては言い続けてきたじゃないですか。だから分かってるし、党内をまとめる立場にはあるのに、でもまとめきれなかった中堅・ベテランの責任がある。

ただもう一方、若い方、経験が少ない方なんかを見ると、民主党政権の失敗後、立憲民主党が共産党との野党一本化に走った中で政治家としてのスタートを切っているので、その方たちの中には『覚醒』してない人すらいるんだと思います。

MC今野記者:2009年の経験もないしね。

山尾氏:そう、そう、2009年の経験ないから。政治家としての礎に共産党支援者の声が最初の段階から入っていて、私も最初の頃なんか思い返すと、その支援者の方の声と自分の政治家としての考え方が呼応していくというか、こだまのように響き合っていく。今もなお、すごく昔ながらの「9条があったからこそ日本は戦争に巻き込まれなかったんだ論」にまだ足踏みしてる人たちも間違いなく、立憲の中にはいた。この2パターンがあったんだと思いますね。

MC今野記者:そうだね。だからそれが結局、よくReHacQの高橋(弘樹)さんがおっしゃるんですが、「保守は一つに固まってる。リベラルが仮に同じ人数だとしても、リベラルは結局、安保法制とか憲法9条の空想的な平和の方に行く人たちと、現実的安保の人たちに割れちゃうから。そうすると、割れてると、今で言ったら多分『中道』の一部の人たちと国民民主党が現実的な人たちですよね。

そうすると、これで戦うといわゆる「資本家・経団連系・保守・自民」対「労働者側代表の旧民主党系」に分かれて、「安保現実論」「安保非現実論」で戦うと割れてるから「2分の1 対 4分の1 の戦い」になって負けるっていう図式ですよね。これ希望の党騒動の時に、希望の党と立憲に割れてからずっとそうですよね。で、やっと今少しずつ一つになりかけたけど、またそこがあれしちゃったと。

水内記者:そこね、もう1個今の話を引き継いで言うと、その労働系の、特に50代以下の人たちだって、無条件に「空想的平和主義」の方に行くかと言うと、その人たちもすごく色々学ぶようになってきてる。そのパイ自体がものすごく減っちゃってて、やっぱりそういう人たちですら「ちゃんと最低限の備えだけはしなきゃいけないよね」って今なってきているから、この今回の衆院選の結果になったんじゃないのかなって気も僕はするんですけど。

山尾氏:うん。いや、本当にそうだと思います。だから、実際はもう分かっている野田さんを始めとした人たちが、自分は分かってるけど、多分支援者の人たちはまだ分かってないっていう誤解の中にまだいるんだと思うんですよね。私から見ると、本当にもう野田さん的な分かってる人たちは、もっと支援者を信じて、むしろそっちに手を伸ばすことによって新たな出会いが絶対あるはずなのに、それに気づいていない、心底そう思えていない。だからこそ、結局選挙の中盤になったら、「安全保障は現実的に行くんです」っていうこととは全く逆で、「高市政権になったら戦争が始まるんです」っていう方にあっという間に時計の針が巻き戻ったじゃないですか。あれ、びっくりしちゃって。やっぱりこの逆バネの強さっていうのが、残念ながら分かってはいるけれども、時代を読み切ってないというか、「もう時代もそこにいるんだ、むしろ時代の方がもう先に行ってるよと取り切れてない。奇しくも、泉(健太)さんが選挙が終わった後、野田さんに対して「駅でチラシを配って喋るのもいいけれども、ネットのコメントも読んでくれ」と。

MC今野記者:そうですね。ま、野田さんも不器用というか無骨な方なんでね。地道に選挙やられてたのは、すごい尊敬すべき方だと思うんですけど。やっぱちょっと不器用というか、そこが対応できてないのは間違いないよね。

水内記者:産経の矩をこえると、どこまでが産経のなのかちょっと分からないけど。

MC今野記者:どういうこと?(笑)

水内記者:こうやって言うと、現実的な安全保障を求めるような人たちだって、高市政権はちょっと強権すぎるんじゃないかとかね。内政のものとかで「税だってもっとちゃんと規律を持った方がいいんじゃないか」とか、そういう色々な対立軸を求める人たちもいる訳じゃないですか。でも山尾さんが今おっしゃったように、そこをもう一括りにしちゃって、古い感覚に戻って、さらにそれを信じてどんどんどんどん先祖返りしていくような。選挙戦で、(自民党が)300(議席)行っちゃうんじゃないかとか中道にとって悪いデータが出れば出るほど「戦争になっていいんですか?」っていう声の方がどんどん大きくなってたんですよ。あれを見て、申し訳ないけど中道の人たちって「何も考えてない、何でもいいのか」みたいな風に思っちゃったんですよね。

山尾氏:もう完全に「易きに流れた」というか、不安だったんでしょうね。新しいお客さんを信じることができなかったので、古いお客さんに急いで戻ったんだと思うんですよ。

MC今野記者:結局最後そうなっちゃいましたよね。前半、中道がいくって言ってたけど「ママ戦争止めてくるわ」が典型で。コメントした人は全然いいと思うんだけど、野党第一党としてそのコメントに乗っちゃう。

今更なんですけど、一応大前提とし、僕ら中道や野党をディスりたい訳じゃないです。もうとにかく野党第一党って大事なんですよ。イギリスだったら、「女王陛下の野党」といってね、野党第一党には交付金入りますから。それぐらい重要で大事なのに、また「希望の党」で分裂して一強多弱になってずっと来て、また同じような状況になっちゃったから。この危機感というか問題意識からもう一回、野党第一党が再生してほしいっていう思いからこれやってるんだってことは、一応言っとかないとね。別に、3人集まってひたすらディスりたい訳じゃない。

水内記者:やっぱりちゃんとした自民党に対抗しうる勢力がないと、自民党だって政治とカネみたいな問題がまた出てきたりとかもするかもしれないし、シャッキリしないじゃないですか、政治に緊張感を持たせるっていうのは絶対大事なので。そういう意味では、中道の罪は大罪だと思ったんですよね。

山尾氏:「現実路線で行きたいけれども、高市自民には乗れないよ」っていう人たちの受け皿争いとして、本来ならまず中道があり、そして国民民主党があり、そしてもしかしたらチームみらいがあるという中での良い『試合』が本当は行われるべきはずだった。本来なら『野党第一党の準決勝』みたいな期待できる構図だったんだけれども、まず中道がその準決勝から撤退してしまって、選挙始まったら中道なの?社民党なの?共産党なの?みたいな別のリーグに行ってしまったっていうことはすごい感じていました。そうすると結局、日本維新の会が与党にいった今回の選挙で言うと、本当にその受け皿って国民民主党なの、チームみらいなのって。国民民主党は若干新鮮味に欠けた時に新しく出てきたチームみらいが受け皿となってさっと持ってったっていう。 私にはそういう風に見えます。

MC今野記者:持ってったと言っても、ただ野党が弱い多弱になっただけですよね。

山尾氏:より細かく、破片になっていった選挙だったと思うんですよね。

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