
1月30日に公開された「選挙ドットコムちゃんねる」では、国政政党11政党の第一声を株式会社カエカ代表でスピーチライターの千葉佳織氏が分析。心を動かす演説の条件を解説します。選挙芸人の山本期日前氏が語る現場の様子も必見です。

千葉佳織氏(以下、千葉氏):高市さんの第一声はいつも通り「責任ある積極財政」という政策面を強調されていましたが、「消費税・食料費2年間ゼロ」というお話は、第一声ではなかったことが印象的でした。
演説を見る時に、「何を言わなかったのか」と「言っているものの割合がどれぐらい多いのか」という点を見ていくのはかなり面白いと思います。
最初の方で印象的だったのが、これまであまり使わなかった「ストーリーテリング」を使っているところでした。例えば「32歳で初当選」とか「奈良県の田舎の普通のサラリーマン家庭で育って」「地盤も看板もカバンもない」とか。いわゆる無党派の方、人柄を見て応援したいという人たちに向けてお話ししている印象を感じましたね。
MC期日前氏:確かに総理が自分の境遇を演説で話すのは少ないですよね。
千葉氏:あとは「新しい」「抜本的」「ガラッと」という言葉が多かった。基本的にこういう言葉が多い時は、自分がやってきたことがこれまでの方とは違うんだということを強調したい時に回数が増えるんですよね。
これまでの方を「やってこなかった」と言うことでもあるので、かなりチャレンジングな言葉の選定だなと思いましたが、それでも今の自分はこれまでと違うんだということを表現されたかったんだなと思いました。
千葉氏:吉村さんの第一声は私も期日前さんと同じ感想で「応援演説だな」と思いました。「維新がアクセル役になります」ということを強調したいところはある。
メッセージを絞っていて、自分のビジョンを体現するような部分はかなり削ぎ落としている。あまり聞いたことないパターンだと思ったんですよね。
MC期日前氏:維新といえば、関東に来てすぐ大阪の話をするのがお馴染みですけど、今回は大阪推しが一切なかったですよね。
千葉氏:なかったですね。あと驚いたのが「責任のない立場で、あれをやれこれをやれと言うのは楽かもしれません。(中略)でも無責任だと思ったんです」とおっしゃられたこと。これまでの維新のあり方を自ら転換しているような、
MC期日前氏:大転換というか、ちょっと国民民主党を意識してるのかなという雰囲気も感じました。
千葉氏:あと、吉村さんは「何々です、皆さん」と問いかけをされますが、これまでは「しがらみのない政治を実現するべきなんですよ、皆さん」と「価値観」を前に置いていた。この価値観が大切なんだと考えさせられた。でも今回は「高市さんなんですよ、皆さん」だった。
MC期日前氏:確かに。
千葉氏:高市さんを推したいのはわかりますが、盛り上がりとしては「価値観」があった方が人は共感しやすい。いつもと違う盛り上げ方だなと思いました。かなり抽象度の高い内容に振り切っている。これが戦略なのか、そうなってしまったのか。

MC期日前氏:続いて、今年の衆院選を賑わせている「中道改革連合」の野田代表。青森の雪の中での第一声でしたが。
千葉氏:野田さんは自分の言葉で、近くの人に寄り添う話し方を指針にされているのかなと思いました。それから、話し方のポイントとして「言葉の止め方」がわかりやすいというのがあります。「覚悟を決めて、結成したのが、中道改革連合」のように止める。自分の気合が入っているワード、覚えてほしいみたいな意思表示が伝わりやすい。
また、この第一声の特徴として、野党がどれだけ与党批判をするかの割合を見ておくのが面白い着眼点かなと。今回は全体の40%ぐらいが公約、60%ぐらいが自民と維新の批判でした。批判と公約が6対4。大体半々ぐらいで、前向きさと危機感を両立させたいんですよね。「批判ばかりだ」と言われないような、代案を作っていく演説だったのかなと思います。
MC期日前氏:野田さんって、批判から入ってだんだん政策に行くという演説のパターンですよね。これって批判と政策を話す順番で印象がかわりますか?
千葉氏:変わりますね。野田さんは最初に共感を求める部分が多い。自分事化させてから具体的な話をして、話が入ってきやすいようにしたいと考えているのではないかと思っています。
ただ、政治に詳しい方だと、公明党への言及や、原発・安保政策のまとめ方をもっと聞きたかったと感じる人もいるかもしれません。
千葉氏:細かいところですが、玉木さんはマイクを持ちながら右や左に動くんです。強調したいときに動くので、問いかけたい・場を盛り上げたいという意思がある方なんだと推察しています
MC期日前氏:僕、玉木さんの下半身だけ動画撮ってたことあります。音ゲーみたいに動いてるんですよ(笑)。思いが乗って動いちゃうんでしょうけど、意識はしてますよね。
千葉氏:それから、「経済後回し解散」「政策実現野党」といった言葉がありました。相手をどう批判するか、自分たちをどう表現するかということについて、ワードを考えて伝えているんじゃないかと想像しました。
印象的だったのが実績を多く語っていることです。今回11人を分析して、明確に実績をわかりやすく語っていたのは国民民主とチームみらい(後述)でした。国民民主って何をした政党なのか、特に無党派層にはわからないと思うんです。なので、改めていうのはすごく重要だったりします。
MC期日前氏:しかもガソリン減税とか178万円の壁とか、二大看板がありますもんね。言いやすいところもあるかもしれませんね。
千葉氏:そして、実績を言う時に「実績+感謝」で語ることをおそらく意識されてます。自分の強みを言うだけだと自慢に聞こえますが、感謝を加えることで自慢を聞いているという感覚は薄らいでいく。これ、ビジネスシーンでも使えます。

千葉氏:参政党の神谷さんは、スピードが非常に早いのが特徴です。11人の中で一番早い。早いと勢いがある、強いという印象を持たれやすいと思います。あと、よく言われる批判を先にご自身で言っておくというお話のされ方が多かったと思いました。
批判してくる人に対して「私はわかってる」と。「でも違うんだよね」って落ち着かせるためのクッションとして使っている。
MC期日前氏:マスコミがいくら批判しても、この手法を使うことで演説の中に組み込みやすくなっているんですよね。前回の参院選でも盛り上がったポイントだと思いますが、今回も存分に使われているんですね。
千葉氏:批判されればされるほど、その分エピソードができるので、神谷さんのペースのなかに言葉が入れやすくなるというのはあるかもしれませんね。
それから語尾にかけて止まってから一気に声を張り上げるのも特徴的です。「ありま、せん!」のように。あとは引用することで自分以外の人も同じ意見であることを強調したりする話し方をしていましたね。
MC期日前氏:神谷さんは怒りの時に声を張り上げる印象があります。それって有効なんですか?
千葉市:そうですね。高くなればなるほど強調されるんですよ。気合が入っているように聞こえます。ただ、中道の野田さんのように強調するときに下げるパターンもあります。
千葉氏:大石さんは、山本太郎さんが大切にしているところをかなり踏襲しています。冒頭から自分の名前を名乗らないのもその1つです。「日本を守る、とはあなたを守ることから始まる」という予定調和を崩すスタイルです。れいわの語り方の基礎中の基礎だとおもっています。ほかの人よりビジョナリーであって、個性を出すという意思表示ができる。
MC期日前氏:あ、じゃあ「この度立候補いたしました、誰々です」って言ったら、もうれいわ新選組の候補者じゃないと(笑)。
千葉氏:あと音声の特徴として、大石さんは声の密度が高く強さがある感じなんです。逆に日本共産党の田村さんは声の息の量が多い。声の性質と息の量で強く聞こえるのかしっかり優しく聞こえるのか変わってきます。
MC期日前氏:山本太郎さんは切り抜かれたりも多かった。大石さんは山本さんみたいに動画で拡散されやすい特徴はありますか?
千葉氏:大石さんは「ぶっ壊れています」「庶民を騙す」といった強い単語を使います。
MC期日前氏:全部目に浮かぶ単語です。
千葉氏:使う単語の強さによって動画で切り抜かれる可能性は高いと思います。山本太郎さんのは抽象的なビジョンを畳み掛けるところが多く切り抜かれていた気がしていて、そこは2人の違いはあると思います。
MC期日前氏:2人のパターンが違うから、どう転ぶかはまだわからないってことですね。大石さんの強みをどう生かすのかですね。

千葉氏:田村さんは音声の特徴として息の量が多いので、全体的に音声が綺麗でしっかり聞こえます。
MC期日前氏:元々合唱をやっていたからですかね。
千葉氏:だからですね!若干鼻濁音も入っていて、音声とか歌とかどう語るかっていうところに関心をお持ちなのかなと想像してました。
MC期日前氏:たまに街頭演説で歌われたりもしますもんね。
千葉氏:声を聞いて想像したのは当たってましたね(笑)。第一声の内容としては、「アベノミクス」「安倍」っていうワードが多かったので、対立構図を作りたいんだなというところもよくわかりましたね。
あとは、田村さんの演説は数分おきに「比例は日本共産党」と区切りを入れています。自分の話を全て聞いてもらえないことを前提に、リズムを作っている。
また、党首討論の話が多くて、田村さんから見える党首討論での高市さんの発言の引用は多かったですね。田村さんは党首討論の中でも、高市さんから演説で伝えられそうなワードを引き出したいんだろうと思います。党首討論の話ってアップデートされ続けるので、その分演説もアップデートできると考えている可能性があると思います。
MC期日前氏:毎回演説をオリジナルで作るのは難しいけど、この仕組みなら党首討論のたびに中の引き出し変えればそれができるってことですね。選挙の後半で追加のバージョンを出したりすることもできますね。
千葉氏:百田さんは、百田さんらしさ全開の第一声でしたね。政治家らしいというよりは自由に話している感覚が強かった。
百田さんは批判相手の与党や野党だけでなく、国民に対しても強い言葉を使うという特徴があります。「太陽光が良いと思ってる人は帰ってください、そんなバカはおらんと思いますけどね」と言えてしまうのがすごく百田さんらしい。
MC期日前氏:普通の政治家は絶対やらないですよね。でも最後の一言でオチをつけることでマイルドさも出してますよね。
千葉氏:そう。強くて怖いというよりは笑いを起こすエッセンスも入っていると思います。他の方にはない部分ですね。あとはお母様やご自身のことなど個人的なお話をされたりして、演説というよりは雑談しているみたいな感じがしますね。
MC期日前氏:トークライブのような演説をされているのが特徴なんですね。そのスタイルが生で聞きたいと思わせるところがあるんですよね。
千葉氏:福島さんはジェスチャーが印象的です。テンポがいいですし、手を結構動かす。なので躍動感を出したり、自分のパワフルな印象を表現したりしているなと感じました。あと、マイクをよく握り直しています。15秒ぐらいで右から左へ、また戻す。これは珍しいです。以前だと公明党の山口(那津男)さんはやってることがあったんですが、それでもそこまで頻繁ではなかった。
MC期日前氏:玉木さんとはちょっとちがう動き方ですよね。
千葉氏:上半身が動いているイメージですね。
MC期日前氏:福島さんは「日本で一番、手を振るスピードが早い党首」なんですよ(笑)。多分手首がめちゃくちゃ強いですね。
千葉氏:だから表現豊かなんですね。「戦争なのか、平和なのか」「国民が苦しみを味わう社会なのか、国民の生活を大事にする社会なのか」といったようにと同じ言い回しを繰り返して最後にオチを持っていく語り方が多い。話の語尾を活用してリズムを作ることを大切にされているのかなと思いますね。

千葉氏:安野さんは感謝から入り、「着実に成果を上げ始めております」という言葉で実績を具体的に語っていました。それによって「1人で何ができるの?」という懸念を払拭しようとする意図を感じました。それから私が注目したのは「優先順位を考えながら取り組みます」という言葉や、減税の仕組みをポイント制で説明していたところですね。政治歴の長い方はこういう言い回しをしない印象があります。
ビジネスで使われることが多い言葉を使うのは、おそらくチームみらいを応援してほしいと思っている層に言葉を合わせたのではないかと想像しましたね。
MC期日前氏:安野さん、都知事選から2年で演説がめちゃくちゃうまくなりました。
千葉氏:間の取り方、強調するところ、言葉の選び方もすごく考えていらっしゃるんだろうと思います。カエカも使っていただいたことがあるんですよ。
夫婦でお二人ともコメンテーターで出演されたりと活躍されているので、表現するというところに長けてらっしゃると思うんですけど、努力量がすごく伺える演説ですよね。
千葉氏:原口さんは、声の高さがあまり変わらないのが特徴です。11人の党首の中で最も高低の差が少ない。落ち着いていて自然体に近い印象ですね。熱量を示すというところとは相反する表現ですが、素朴に思っていることを伝えたいという意思を感じます。
MC期日前氏:政党としての演説というよりも、個人としての演説みたいな素朴さが出ている感じなんですかね。
千葉氏:まさに個人的な話は多かったですね。「長いものに巻かれた方がよかったですか」とか、新進党・希望の党の話もされていました。
MC期日前氏:これはもう文字起こしもされてますね。これ河村たかし共同代表だったら文字起こし大変ですよね。
千葉氏:今はすごく便利で、YouTubeの自動生成とAIを使えば、いい感じで演説原稿を抽出してくれるんです。
MC期日前氏:川村たかしさんの「だぎゃー」もAIでいけますかね?(笑)。
千葉氏:「だぎゃー」は無理かもしれないですね(笑)。
MC期日前氏:各党第一声の分析を伺いましたが、この動画を見てからまた衆院選中に各政党の党首の演説を見てほしいですね。
千葉氏:話し方って人柄が現れるものだと思うので、言葉や政策だけでなく色々な情報を感じ取りながら投票先を選ぶのは楽しいことだと思います。この動画を見て新たな視点で見ていただけたらと思います。
この詳細は、ぜひ動画本編でご確認ください!
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