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【衆院選2026】140円と826円。あなたの1票の値段を知っていますか?(原口和徳)

2026/2/3

原口和徳

原口和徳

衆議院議員総選挙(以下、衆院選)が2月8日に投開票日を迎えます。解散から投票までの期間が戦後最短という、有権者にとって投票先を選ぶのがいつもよりも難しい選挙となっています。そんななかでも、「投票に行こう」という呼びかけは様々な形、内容で行われていますが、1つの選挙区で十何万人と投票する中で「私の1票」はわざわざ投票に行くほどの価値、影響力をもっているのでしょうか。一票の値段を確認してみませんか。

「あなたの1票」が、政治家への年間145円の課金(応援)になる

政治家や政党の立場からすると、あなたの1票には①政党交付金の金額を決める力と②当選を左右する力があります。

政党交付金の算出方法

図表1の計算式にあるように、政党交付金の半分(得票数割)は、過去の国政選挙において獲得した票数に応じて配分されます。得票数割は、衆院選の結果と参議院議員選挙(以下、参院選)の結果で構成されています。

政党交付金(2025年)の総額は年間約315億円(2025年)ですので、このうちの1/4にあたる約78.8億円が衆院選での得票数に応じて、政党へと分配されます。衆院選は小選挙区と比例代表それぞれで支給額を算出するのですが、両者の総票数は約5400万票とおおむね同一です。

そのため、政治家(政党)は、あなたの1票を得ることで、「 78.8億円 ÷ 5,400万 ≒ 約146円」(小選挙区と比例代表で約73円ずつ)の政党交付金を受け取れるようになります。 

政党交付金をもらえるかどうか、ギリギリの政党も

また、政党交付金は一定の資格を満たした政党しか受け取ることができません。ここでも、あなたの1票が影響してきます。

政党交付金の変更を知らせる報道発表

国政選挙が終わると、総務省は図表2のように選挙の結果を踏まえた政党交付金の支給額の再計算を行います。2025年の参院選の結果、チームみらいが新たに政党交付金を受け取る資格を得たことがわかります。

政党交付金を受け取るためには、①政党所属の国会議員が5名以上となるか、②国会議員が1人以上且つ国政選挙での得票率の要件(直近の衆院選・参院選、前々回参院選のいずれかの得票率が2%以上)を満たす必要があります。そのため、所属する国会議員数が少ない政党にとっては、あなたの1票は年間1億円を超える政党交付金をもらえるかどうかを左右する票になっています。

例えば、所属する国会議員が2名の社民党は、前回衆院選では政党交付金を受け取る資格を満たすことができず、参院選の結果によって政党交付金の受給要件を満たしています。前回参院選(比例区)での社民党の得票率は2.06%でした。この時、あと3.4万票ほど得票数が少なければ、得票率は2%を下回っていました。ちなみに、現在、基礎自治体(市区町村+23区)は1,747団体(出所:e-Stat「市区町村数を調べる」)ありますので、各地で均等に割り振ってみると、1つの自治体であと20票ずつ社民党に投票する人がいなければ、社民党は得票率の要件を満たすことができなくなっていたことになる規模です。

このように、小政党にとっては、あなたの1票が政党交付金をもらえるかどうかを左右する票になっています。

小選挙区の1割弱は「有権者の1%」の行動で結果が変わる

もちろん、あなたの1票には、金額的なこと以外にも、選挙結果を左右するという意味での影響力もあります。近年の衆院選では、小選挙区の1割程度は、その選挙区の有権者の1%程度の差で当選者が決まっていますし、比例代表ではすべての選挙区で有権者の1%以内の差で結果が変わります。(詳しい内容は、以下のリンク先を参照ください)

参考記事:有権者の1%で1割弱の小選挙区は結果が変わる!知っておきたい1票の影響力(2023年9月28日、選挙ドットコム掲載記事)

また、前々回衆院選(2021年)では、れいわ新選組が比例代表(東海選挙区)で議席を得る権利を得ておきながら、有効な候補者がいなかったために、次点の公明党に議席を譲るということもありました。れいわ新選組は、小選挙区との重複立候補者を擁立していたものの、小選挙区での得票数が比例代表候補者としての条件(重複立候補の場合、小選挙区で有効投票数の1/10を確保しておく必要があります)を満たすことができなかったために生じた事態でした。

この時、れいわ新選組の上位であった候補者があと2179票、自身の選挙区の有権者の0.50%の票を得ていれば、比例代表において、れいわ新選組は議席を獲得することができていました。

衆院選にかかる費用は855億円。有権者一人当たり約826円

また、私たち有権者が政治的な意思を表明するための手段でもある選挙は、「ただ(無料)」で行えているわけではありません。今回の衆院選を実施するために、政府は855億円の支出を決定しています。

有権者の数は1億352万人ですので、有権者一人当たり約826円を費やしたことになります。言い換えると、投票によって政治的意思を表明する権利を、私たちは一人当たり826円のお金(税金)を払って購入していることになります。そんなのほしくないよ、という人もいるかもしれませんが、購入を辞退することはできません。

投票に行くための最後の後押しは、投票当日の行動を予め考えておくこと

「よし、今度は投票に行ってみよう」と思っても、残念ながら投票できなかったということもありえます。海外の調査では、投票しそびれた際の原因は「忘れていた」というものが最上位であったというものもあります。

「投票日は電車に乗って出かける前に投票に行こうと思っていたけど、朝、忙しく準備をしていたらもう駅のホームで電車に乗るところだった。引き返す余裕もなく、そのまま投票に行けなかった」なんていうこと、確かにありそうですよね。

そこで、ポイントになるのが、以下の条件を満たす計画、想像をしておくことです。

  • 何月何日の何時に投票所に行くのか。
  • どこから投票所に向かうのか(自宅から? 職場や学校から?)
  • 投票所に出かける前は何をしているのかを想像する(友人とランチ、部活やサークル、など)

できるだけ具体的に考えておくことが、計画とその実行を忘れないために重要です。

この記事を読んでくださった方はご自身の投票所がどこに設置されており、どのようにアクセスできるのかをご存じですか。よかったらまずはそこから調べてみませんか。


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原口和徳

原口和徳

けんみん会議/埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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