5月8日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、今夏の参院選に向けて日本の宗教団体と選挙の関係についてゲストのライター・平河エリ氏に解説していただきます。参議院選挙の全国比例区では、様々な宗教団体が候補者を擁立したり、特定の政党を支援したりすることで、その影響力を示しています。
主要な宗教団体と選挙の関係は以下の通りです。
目次
日本の宗教団体の中で最も選挙への影響力が大きいとされるのが創価学会と公明党です。創価学会は元々、日蓮正宗という仏教宗派の講でしたが、平成の初期に破門されて独立した宗教団体です。公明党は創価学会を支持母体とする政党で、創価学会よりも歴史が長く、戦前・戦中には国からの弾圧も経験しています。
創価学会は日蓮の教えに基づき、かつては国家と宗教がある程度一致する「政教一致」を目指していた歴史がありますが、現在は政教分離の原則に沿った活動を行っています。初期の思想には、邪教を打ち伏せることを重視する強い論争的な側面がありました。
選挙における創価学会・公明党の強みは、その組織力と「的確な得票の割り振り」(MC中山智貴)にあります。公称の信者数は800万とされますが、実際の信者数は200万〜300万という試算もあり、衆議院選挙では600万票を下回ったという言及もあります。しかし、地域ごとに非常に緻密な活動を行っており、熱心な会員が選挙運動を支えています。特に高齢の会員の活動が活発であるとされます。
全国の神社を包括する神道系の団体です。主に自民党の組織内候補を支援しており、有村治子氏や山谷えり子氏といった候補者が毎回20万票前後を集めています。
神社の宮司などで構成されており、地域に根差した存在として影響力を持っています。神社の掲示板に候補者のポスターが貼られることもあります。積極的な選挙活動というよりは、保守的な思想を背景としたバックアップという側面が強いようです。
日蓮系の新宗教ですが、創価学会とは対立関係にあるとされます。新宗教の中では創価学会に次ぐ規模を持ち、数十万人の信者がいると言われています。
立正佼成会は、創価学会と距離のある新宗教団体が複数集まった新宗連(新日本宗教団体連合会)という連盟を通じて、候補者を支援しています。過去には民主党系の候補者(白眞勲氏、藤末健三氏など)を支援した例があります。
大川隆法氏が設立した仏教系あるいはGLA系の新宗教です。規模は他の宗教団体より小さいとされますが、財務体質がしっかりしており、お堂やビルなどの資産を持つという特徴が挙げられます。比例区で候補者を立てていますが、当選には至っていません。
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)なども選挙に関与することがありますが、単独で比例区候補者を当選させるほどの規模はありません。しかし、選挙活動を担う人員や資金を提供できる点、および選挙のノウハウを持つ人材がいる点が政治家にとってはメリットとなり、票数以上に影響力を持つ場合があります。
このほか、かつては「オウム真理教(現アレフ)」や「支持政党なし」といった団体も選挙に関わったことがあります。
宗教団体が選挙で影響力を持つのは、組織的な選挙運動力(人員、資金、ノウハウ)と、組織に従う一定数の信者による「確実な票田」としての期待があるためです。信者名簿による票の見込み把握も強みです。
平河エリ氏「確実に、どこの地域からどれだけ票が出るのかが見えるのは大きい。単純な信者数や票数だけじゃない非常に大きな影響力があります」
団体側のメリットは、政策反映、選挙活動を通じた信者の熱量維持、団体の保護が挙げられます。近年、日本の新宗教は信者減少と高齢化が進み勢いを失いつつあり、2025年参院選では公明党の票数維持、池田大作氏死去の影響、組織の高齢化が注目されます。新たな宗教団体の候補者擁立も焦点です。宗教団体と選挙の関係は、票だけでなく組織力や思想的影響力など多面的であり、比例区の動向を理解する上で重要です。
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