4月19日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では「創価学会・連合・医師会…一番の黒幕は？」と題して、参院選全国比例区での勝敗に大きな影響力を持つ、団体や組織が意図的にまとまって投票するいわゆる「組織票」を取り上げます。各党と組織・団体の関係性や距離感、そして影響力が強い組織とは？MCの鈴木邦和氏とゲストの平河エリ氏が過去のデータを振り返りながらわかりやすく解説します。

参院選の全国比例区は「候補者名」か「政党名」いずれかで投票可能。候補者名票も政党票として合算され、得票数に応じて議席が配分されます。当選順位は候補者個人の得票数で変動し、議席数に応じて上位から当選する「非拘束名簿方式」が採用されています。

参院選全国比例について詳しく知りたい方はコチラ→〈関連記事〉今から知っておきたい！参院選2025の全国比例の仕組み

参議院議員選挙の全国比例代表は全国どこからでも投票できるため、労働組合や宗教団体などの特定の団体・組織が支持する候補者や政党へ団体の構成員がまとまって投票する「組織票」が重要な意味を持ちます。組織票によって組織側には自分たちの代表を国会に送り込み、政策に影響を与えることができます。候補者や政党の側にとっても組織票は安定した支持基盤となり、選挙戦を有利に進める上で欠かせない要素となっており、組織と政党は互いにメリットを得る”持ちつ持たれつ”の関係にあると言えます。

また、組織・団体の関与は集票だけでなく、選挙運動の実働部隊としても機能しています。都議選への立候補経験があるMC鈴木も「選挙に慣れている即戦力で、票以上に政治家にとっては頼れる存在でした」と振り返り、その動員力や選挙活動における貢献度の高さを指摘。その分、政治に与える影響力も強くなる、との見方を示します。

2022年参院選を例に、日本で代表的な組織票の種類と得票数を見ていきましょう。

最も票数が多いのが創価学会から公明党への票で、600万票を超えており、「他とは比べものにならないほど大きな影響力を持っている」（平河氏）状況です。さらに、平河氏は学会票は投票先が公明党に絞られている上に、各候補者にも配分される仕組みをとっているため、他の政党や候補に流れない固い票と言えるのが特徴です。

また、自民党を支持している全国郵便局長会や日本医師会による働きかけも底堅いものがあります。特に郵便局長会は、全国的に各地域の住民への働きかけを通じて候補者を強力に後押しする存在で、全国的に支持候補が上位当選を果たしてきました。日本医師会も献金額が多額で、政治家への影響力を持つ団体の一つです。

一方で、こうした組織や団体活動は弱体化しているのが実態です。特に若年層においては、従来の組織的な政治活動への関与が薄れ、インターネットを通じた情報収集や個人の価値観に基づく投票行動が広がっていると分析。2022年参院選では漫画家の赤松健氏が組織候補を上回る得票で自民党の全国比例当選を果たしたのが象徴的だったと振り返ります。

平河氏は今後、政党が多党化して主義・主張が明確になっていくのに伴い、その政党の支持者やファンが新たな「組織票」となる可能性にも言及しました。これからの組織票の動向や変容は、今後の選挙結果を左右する重要な要素と言えるでしょう。

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