2025年の通常国会で、公職選挙法(以下、公選法)の一部を改正する法律が成立しました。選挙ポスターの表現に関する「品位保持規定」が新たに設けられたほか、選挙でのSNS利用や「2馬力問題」、ネット上での収益化など、選挙とインターネットの関係をめぐる課題が議論の俎上に載せられました。
3月11日に公開した「選挙ドットコムちゃんねる」では、自民党の選挙制度調査会で事務局長代理を務め、与野党協議の実務を担った鈴木英敬衆院議員にインタビュー。改正の背景、論点、今後の課題までをQ&A形式で整理しました。
A.(鈴木氏)
昨年の東京都知事選で選挙とは無関係な営業や広告とみられるポスターとして多数掲示された問題を受けて、「品位を損なう内容は記載してはならない」という新たなルールが設けられました。
最大のポイントは、候補者に対して有権者に訴える内容をポスターに載せるという自覚を促すことです。そして、有権者にも品位に欠ける表現は違法であることを知ってもらい、投票の判断材料にしてもらうことです。
「品位」の具体的な定義はしていません。「こんな行為は✕」みたいに細かく厳格に決めすぎることによって”抜け道”を作り出す恐れもありますから。想定外の事態に対してイタチごっこ、モグラたたきのようにならないようにしていこうとしています。
ただし、営業・広告と明確に判断される場合には、100万円以下の罰金という罰則も新たに設けました。他の法令や条例などの運用とも合わせて実効性を確保しています。
A.(鈴木氏)
違法と判断されるタイミングは限定していません。選挙期間中であっても選挙後であっても、規定が活かされる機動的な運用をしてきたいと考えています。
A.(鈴木氏)
選挙では一般的に他候補の政策批判や不祥事追及が行われますが、それらを過度に規制することで有権者の判断材料にならなかったら意味がありません。したがって、こうした発言がただちに名誉毀損に該当するということはありません。
ただし、事実に基づかない悪質な誹謗中傷については、別途対応が必要です。表現の自由と健全な批判のバランスが大切です。
A.(鈴木氏)
自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党の7党が共同で法案を提出し、さらに日本共産党も賛成に回り超党派での合意が実現しました。
背景には、都知事選を受けた「選挙の公平性・公正性・信頼性への危機感」が、与野党共通の認識としてあったことが挙げられます。
協議の過程では、行為類型を具体的に示すか、あるいは表現の自由に配慮して抽象的な規定にとどめるかといった論点や、実効性の確保に関する議論が特に多く交わされました。れいわ新選組や有志の会はより細かい規定を求めて法案には反対しましたが、規制そのものには否定的ではありませんでした。
今回は論点が多岐にわたる中で、まずはポスターに関する早急な対応から着手し、SNS規制や“2馬力”問題、報酬や掲示板の在り方などは今後の検討課題として「附則」に明記することで合意しました。「これで終わりではなく、議論を継続していく」という意識を各党と共有できたことが、協議の前向きな進展につながったと感じています。
A.(鈴木氏)
SNSを利用したネット選挙の健全化に向けて、次の3つの視点が重要だと考えています。
さらに、収益化された“選挙ビジネス”の問題、フェイクニュース・誹謗中傷の広がりなども含め、プラットフォーム側との連携や規制の在り方を検討していく必要性があります。
A.(鈴木氏)
健全に発展させていくためにはルールとモラルを育てていくことが大事です。
個人的には、ネット選挙を肯定的に評価しています。新人や若手候補者にとって認知度を上げるには非常に効果的で、ビハインドを克服するために活用できるツールになるからです。これは政治を担う人材の新人代謝を促す効果もあります。
このためには、法律のような「ハードロー」と、柔軟に運用できる「ソフトロー」の整備と組み合わせて、テクノロジーの進化や現場の声を反映しやすい仕組みにすることでルールを整え、実効性を確保していくことが必要です。そして有権者・候補者双方のモラルとリテラシーの育成が欠かせなません。
国政でも地方でも、新しい人材が次々と登場するような、健全な民主主義の選挙を生み出していきたいです。
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