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2024年8月31日に公開された動画のテーマは「自民党総裁選 ちょっと気が早い新総裁予想」
昨日の動画では、自民党総裁選に向けての各陣営の駆け引きを語っていただきました。続いて、総裁に近い候補者を大胆予測?産経新聞デジタル報道部政治担当デスクの水内茂幸氏と、朝日新聞の前政治部長の林尚行氏のお2人は「気が早すぎる」とぼやきつつ、総裁選の動向を左右する変数を読み解きました。
【このトピックのポイント】
収録日(8/29)時点で立候補が取り沙汰されている方々はこちら。この中でも立候補というスタートラインに立てるのは8人、という予想がありました。
水内茂幸氏「大混戦ですよねえ」
林尚行氏「大混戦なだけに、ちょっと気が早いですよ」
外れる前提でお願いしたいと苦笑する、ゲストのお2人です。
総裁選は次のステップで進みます。
水内氏は「決選投票になる可能性は9割9分。過半数を集められるほどカリスマ性のある方は申し訳ないけれどいらっしゃらない」とコメントします。
林氏が、数字をもとに補足します。
国会議員票の367票の分配
8人立候補とすると……推薦人だけで160票、本人を入れて168票。
残りの200票を8人で分け合い、かつ過半数を獲得するためには、ひとりで100票以上を集めなければならない
林尚行氏「党員票も367票ありますが、ひとりだけ図抜けて党員票が集まる人がいるんですかと。世論調査を見ただけでも上位が並んでいるということは分散している。水内さんが言われる通り、9分9厘決選投票」
決選投票に残るのは上位2名。
決選投票では、国会議員367票プラス都道府県47票(1次投票で都道府県内で最多票を集めた候補に、自動的にカウントされる仕組みです)。
誰が決選投票に残るのかが非常に大事になると、水内氏は解説します。
8月の世論調査結果は次の通りです。
右側の列が自民党支持層に限ったデータです。(左側は調査対象者全体)今回は党員を対象とした選挙ですので、右側にご注目ください。
議員でも党員票でも大きな差が出なかった時、注目されるのは党員票になります。直近の各社世論調査は、おしなべて同じ傾向があり、上位2名は小泉氏と石破氏、少し離れて高市氏、一桁台で河野氏、上川氏、小林氏と続いています。
林氏「小泉氏と石破氏のワンツーが緩んでいない印象。上位2人しか決選投票には進めないので、この2人が強いなというのが、現時点での印象。変数が推薦人にならない国会議員票。200票の中から2位に入る候補が現れるか」
MC伊藤由佳莉「今回は党員票のほうが読みやすいんですか?」
水内氏「前は都道府県単位で集計していたんですけれど、全国に集めてドント方式にするんですよね。こうなってくると、比較的世論調査の数字の通りに数字が出やすいんです」
以前はある県で総取りしたりするなど、都道府県ごとの特徴が出たこともあったそうですが、現在は全国で平準化されてしまうのだそうです。
林氏「世論調査とマーケットが一緒なんですよ。似たような傾向が出る可能性は一定程度あるんじゃないかなと」
ここから、「パッケージ(立候補者+推薦人リスト)販売」がカギになる、という話につながります。第1ラウンドと第2ラウンドを見据えた動きは?
林氏「自民党の陰と陽、2つの顔を見れるかもしれないと思っています」
林氏は、第1ラウンドは党員票が世論調査と同じ傾向になると思った上で投票するが、「第2ラウンドは、1位、2位になった人をどうやって次の総理に押し上げるか、合従連衡になる可能性がある」と説明します。
林氏「第1ラウンドは民意がより反映された『新しい自民党』になる可能性が高い。一方、第2ラウンドは昔ながらの派閥的な合従連衡で決まる。新しい自民党と『古い自民党』のせめぎ合いになるので注目したい」
水内氏「第2ラウンドになった時は、1次で敗れ去った候補と支持層を決選投票に残った候補に載せるから、俺たちのおかげで政権ができたのだからとポスト配分をアピールすることができる」
林氏「要するに、ばら売りよりはセット売りのほうが高く買ってもらえる。次の決選投票で1位になるためには、セット売りをしてくれる人を高く買うせめぎ合いが水面下であるかもしれないし、それを取り回すキーパーソンは誰なのかというと……昔の自民党っぽくないですか」
水内氏「陣営によっては、こういう取引を投票前日までにやっておくのかな、と思うんですよね」
林氏は「党員の人たちの票は、世論調査の結果をひっくり返してくれてもいい」と、党員票の可能性を指摘します。
林氏「本当に自民党が危機で生まれ変わらせたいのなら、議員票の変数に有無を言わさないような、党員票の出し方をみんなでしちゃう、とかですね」
水内氏も、世論調査の数字はあくまでも今の段階の数字であると強調します。
水内氏「今回、自民党総裁選の期間が長いわけですよ。ハプニングなり素性が割れるなり、次から次へと起きていくと、今のこの数字が変わることは十分ある」
「このためには、まず立候補することがすごく大事」とゲストの2人は強調します。
林氏「立候補しておけばまくれるかもしれない。まくれるとすればどんなムーブメントがあるのか、それがその国の総理大臣にふさわしいのかといった動きがあるのか」
水内氏は、さまざまな政策に関して骨太な議論ができるならば、どこまで知っているか、熱意はどのくらいなのかがにじみ出てきて、構図が変わる可能性があると指摘します。
水内氏「増税・減税のように生活の根幹に関わることを骨太に議論した結果、化けの皮が剥がれることは十分あるんだと思う」
林氏「候補者の目線でいうと、論争というのは失速と加速の両方なんですよね。この7,8人がどうなっていくか、非常に見所がある」
水内氏は、メディアの側もイメージに偏重してはいけないと自戒します。
水内氏「これから人間ドラマの素性が出てくるところを、先入観を持たずにやることが大切。受け取り方にしても、人が、この人がいいな、悪いなと思うポイントには、ちょっとした身のこなし方というのもある。思わぬことで支持率がぐっと悪くなることもある」
ネット配信も始まると、よくも悪くもいろいろなところが見えてしまいます。東京都知事選では、YouTubeがかなり作用しました。
林氏「そういう意味では、このメンバーに石丸さん的なムーブメントを起こす可能性のある人は、いるんですかね?」
今のところは、ぼちぼちと発信する場を設け始めたといったところでしょうか。論戦を深める方向に作用すればいいのですが……
ただ、今回の有権者は誰かというと自民党員です。林氏は、「党員は、とくに次の4つの政策をどう語るかを見ている」と指摘します。
水内氏「(立候補者)全員、憲法改正はやると言っているが、熱意の度合いは違う。憲法改正を党是としている自民党員に、しっかり値踏みされるのではないか」
林氏は解散総選挙の可能性についても指摘します。
林氏「解散総選挙がありそうだとみんな思っている。無党派層に響くような論戦ができたかどうかを加味しなければならない。自民党が変わるかもしれないという総裁選で、言っていることもやっていることも変わらないと思われては、新しい総裁が生まれても勝てない可能性がある」
上位3名(石破氏、小泉氏、高市氏)の論戦はどうなるでしょうか。
水内氏は総理大臣を選ぶ選挙であるという前提に立ってコメントします。
水内氏「石破さんと高市さんは国家観をしっかり持ち、これまでの総裁選でも明確にビジョンを示すタイプ。小泉さんは初陣ということもあるが、どういう国の形にしたいかをまだ発信していないせいもあって、わかりづらいところがありますよね」
若いなりの新しい国家の形を考えているのかもしれない。国の形をどうするのかのメッセージがもう少し欲しい、とリクエストします。
林氏「本格的な政権本が、小泉さんにはまだない。石破さんと高市さんは総裁選の経験もあり、網羅的な政策を見せることができるが、小泉さんは全体的な政策をどう見せるかは、最初の関門で最大の焦点」
同じく初陣となる上川さん、小林さんも?
水内氏「小林さんは選挙ドットコムに出演された時も骨太、保守的な考え方に基づいて、でも経済では財政出動中心。上川さんは、外交では一歩秀でているが、他の部分がわからない」
興味のある論戦は?
水内氏「小泉さんvs茂木さんとか……」
林氏「茂木さんや林さんは政策に通じているし実務能力もきわめて高い。その2人との論戦をきちんとやり取りできる小泉さんであれば、加速する材料になる」
「立候補者がどういう組み合わせで論戦をするかが、非常に重要」とコメントします。
林氏「私は高市さんvs小泉さんのやり取りを見てみたい」
水内氏「見てみたいですよね」
動き方とすれば、党員票が先?
1回目の投票で党員票にかなりの偏りが出るような時は、2回目も多少の影響が出ると言われていますが、
水内氏「これだけ候補が出て、いろいろ権謀術数の限りを尽くして、この先のポストがあるとなると、さっき林さんがおっしゃったような、次をにらんだパック売りのような戦いになってしまうのかな」
林氏「論戦を通じて、メディア各社も情勢調査もすると思うんですよね。2回目を含めた議員票に影響を与えると思います。なぜなら、すぐ先に解散選挙があるからです」
高く売って自分がいいポストを得ても、選挙に落ちたら……国会議員たちは帰ってこなければいけないという考えで動いていく、と推測します。
水内氏「自民党がただでさえ、支持率が低い中での総裁選。各議員はお尻に火が付いている。どうしても落ちるかがどうかが気になるので、そういう面の強い候補だけ押し出されてしまう」
林氏「衆議院は小選挙区なので……立憲民主党の盛り上がり具合も、誰が決まるか、立憲がどれだけ盛り上がったのかも27日の判断に必ずつながる」
注目ポイントが多すぎて、「気が早いんです」と訴えるゲストのおふたり。長い選挙戦、これからの動きにぜひご注目ください!
自民党総裁選、現役政治記者による「だいぶ気の早い」予想内容は?!
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