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2024年8月30日に公開された動画のテーマは「自民党総裁選に続々立候補表明 展望は?」
産経新聞デジタル報道部政治担当デスクの水内茂幸記者と、朝日新聞の前政治部長の林尚行氏が初登場。野党時代の自民党・谷垣総裁時代に番記者としてご一緒されたお二人は、「立候補は7〜8人」という読みで一致します。水面下の争いについて、阿吽の呼吸で解説いただきます!
【このトピックのポイント】
9月12日に告示、9月27日投開票の自民党総裁選。収録時点ですでに会見を開いた方が4名、ほかにも会見予定が示されています。
水内茂幸氏「かつてないぐらいの人数の多さですよね。これまで最高に立候補したのが5人だったので、明らかにそれを超えるでしょう」
はっきり出馬を宣言する場合と、「出馬に意欲があります」では段階が違う、ということに注意を示す水内氏。
水内氏「出馬しますという場合は、20人の推薦人をきっちり集められていて、明日告示日でも大丈夫だと言うパターン」
MC伊藤由佳莉「意向を表明しているか、出馬を表明しているか、一言入るかで段階が全然違うんですね」
取材からも、小林鷹之氏、石破茂氏、河野太郎氏は、推薦人20人を確実に集めているだろうと予想する水内氏。これから会見するグループでも、小泉進次郎氏、茂木敏充氏はほぼ確実と見立てています。
MC伊藤「推薦人が確保できているか、判断基準はどう違うものですか?」
林尚行氏は「いくつかのフェーズがあって」と切り出します。
林尚行氏「一つは本人が集まっていると言い張っている。続いて周りで実際にその人を担ごうとしている人が、人集めをしている人からの情報。それらを総合的に各社の政治部が判断して、(人数が集まっていると)認定する人は、これから会見組に入ってくることになります」
水内氏が例に挙げたのは、産経新聞の読者に期待が高いという青山繁晴氏。青山氏が出馬表明済みのグループに入っていくためには、「推薦人を了承している人が、取材の中できっちり浮かびあがってくる」と解説します。
林氏は、茂木氏を例に補足します。
林氏「茂木さんは会見の日程が入っていないですよね。水内さんが大丈夫っていうのは、茂木さんの推薦人になるであろう人たちからも取材をしていて、大丈夫だという感触が、20人を積み上がっていた結果」
20人確保できていると言っている人たちは、その人数が動かない確証が得られるものでしょうか。
林氏「だといいんですけれど、それが世の中の常というもので。固まったと思いきや、気付くとまたごめんなさいできませんでした、というケースがけっこうあるんですよ」
総裁選の告示の12日までの2週間、まさに「引き剥がしとか乗り換えとかが水面下で起きている」フェーズだと林氏は解説します。
水内氏「上川陽子さん。一時期20人をゆうに超える方が協力してくださるという話をされたあと、やっぱり引き剥がしがあった模様。陣営が苦労しているという事態になっているという話を伺っています」
林氏「新しい自民党って言ってるじゃないですか。でも水面下の見えないところで、昔ながらの推薦人の引っ張り合いとか、削りあいをやっている。それが彼らの権力闘争なんですね」
派閥がない選挙と言われていますが、損得勘定が働きやすいのでしょうか。
水内氏は、「議員個人でも推薦人になったら、自分の名が表に出る」という点を指摘します。自分の推した候補が選ばれなかった時は、非主流派になりかねず、ポストを干されるといったリスクがあります。
決選投票を見越した動きもあります。
水内氏「もう少し大きいかたまりでいうと、このグループでこの人を推す、ダメだとしても決選投票になったらこの人を推したと言う力を働かせられれば、これはこれで複数のポストを取れるといった道具にも」
「いま永田町を歩いていて、決選投票にならないという人はいないですね」と林氏。
林氏「水内さんが言うように、離合集散している中で、だんだんかたまりが出て、かたまりを、決選投票に出られない人はどう高く売るかというところまで考えて、それで推薦人集めまで動いている」
林氏は、「推薦人に名前を載せることは、箱の中に入ること。20人をひとパックにして売りに出るという強みになる」と指摘します。
林氏「一人一人の名前がどうなるか、その名前を出す人は、候補者のグループにいることで高く買ってもらえるのかどうか、そういうことを考えながら動いている」
選挙が2回あるという前提に立ち、推薦人を分散させ、決選投票で回収しようなどと考えている部分があるのだそうです。
まさに、日々出馬表明が行われるようになっています。収録時の8月最終週では、台風の影響で会見を延期した人もいました。表明時期が変わったことによる影響は?
小林鷹之さんは知名度が低いので、早く立候補してメディアへの露出を増やし、知名度を高めたいのではないかと推察します。ただ、
水内氏「長く出れば出るほど、メディアが突っ込んでくることもありうる。そのへんの損得を考える部分がある。茂木さんは表明が遅そう」
林氏「出馬を表明しちゃうと、誰が支えるんだというところが見えて来たりもするんですよね。そうなると、あの人はこの人の色だと見えてしまい、リードタイムが長いと攻撃の対象になる」
旗幟鮮明にするタイミングが早すぎたり遅すぎたりすると、自分たちの支持者である党員にも説明しなければならない時間が変わります。長い方がいいのか短いほうがいいのか、いろいろな思惑が入り乱れ、発表のタイミングが変わるのだと林氏は説明します。
水内氏「(知名度があれば)最後に出てどかんと全部さらっていこうという」
林氏「後出しじゃんけん」
ちなみに、前回総裁選では、岸田氏が一番に出馬を表明し、現職の菅総裁にプレッシャーを与えたそうです。
MC伊藤「すでに会見を開き、政策も発表している人がいる。立候補表明をした3名の戦略などは、垣間見えるものですか?」
「会見で議員24人を同席させた小林鷹之氏にはびっくりしましたね」と話し出す水内氏。
水内氏「この24人であれば推薦人の証明かもしれないし、推薦人の中にも安倍派が多かったけれど、いろいろな派閥の人がいるのを見せる効果があり、面白かった」
他方、石破さんは、鳥取の神社でひとりで……
林氏「石破さんは地方創生大臣だし、思いが大きいんですよね。鳥取から総理が生まれたら初めてのことなんですよ。地方を大切にする自民党のベテラン議員であり、国民的人気もあり。その人が生まれ故郷……といっても半分東京みたいなものだけど、故郷の小さい神社から声を上げるのは、演出でしたよね」
河野さんはスローガンを掲げながらやられていました。
水内氏「河野さんはズバッと言い切る力がありますからね。自民党の派閥の事件の関係者は、裏金があるなら返金したらという話しをしていたと思うんですよね。ハレーションが起きるテーマが含まれていた」
林氏「河野さんは、麻生さんの判断とセットでいいんですよね?」
水内氏「了承ももらった、派閥丸抱えみたいな。ただ、麻生派全体が乗るわけではなさそう」
林氏は、河野氏が麻生派の合宿の直前に出馬表明をして、その後麻生氏がコメントを出した流れで、一連のストーリーができているとにらみます。
林氏は、「前回はバックアップしてくれなかった麻生太郎さんと麻生派の多くが乗ってくれるというところまでシナリオができて、表明会見ができた」と読み解きます。
立候補表明の中で、政策への考えが変化している様子もうかがえます。
水内氏「(立候補者は)支持をしてくれる人のことがどうなのかというところを考えながらやっているのかなと思いますよね」
さまざまな思惑が水面下で動いている……
水内氏「猛烈、人間ドラマなんですよね。こんなに恨みもあれも含めながら、こんな人間ドラマないんです」
林氏「そもそも自民党は危機のはずじゃないですか。国民から生まれ変われって言われてるじゃないですか。旧統一教会の問題から一連の裏金問題まである中で、この人間ドラマって受けるんですかね」
MC伊藤「内向きの議論が取り上げられてしまうと、党改革をちゃんと進められるか、もしかしたら見えにくくなってしまって、国民の支持が難しくなるかも」
ゲストの二人も、政策や党改革が見えづらくなることを懸念します。
林氏「新聞の一面とかに出るんでしょうね。10人だと顔写真とプロフィールを並べるだけでいっぱいいっぱい。各紙頭を悩ませるんじゃないかなあ」
水内氏「アメリカ大統領選の行方などを考えると、日本は相当厳しい状況に置かれており、そこの舵取り役を即座に担う人を選ぶべき状況。若干ちょっと目立てばいいという方に議論がシフトしているのは残念な感じ。立憲民主党との対比でどうなのかという座標軸もある」
最終的に何人の立候補者となるでしょうか。
水内氏「誰を指しているか言わずに指を指すと7……8人かな?」
林氏「僕も期待を込めて8。8人出てほしいですね。末広がりですから。自民党にとっても縁起がいいかもしれない」
7人は確実で、8人になるかどうか、というところでゲストの両名の見立ては一致しました。
出馬表明はいつ頃から本格化するでしょう。
基本は9月3日の週。高市氏が9日を予定しているのが最後になるのではないか、と予想します。
自民党総裁選はいよいよこれからです。ぜひぜひご注目ください!
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