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2024年7月30日に公開された動画のテーマは「自民党総裁選へ動き活発化 各陣営の思惑は?」
ゲストに産経新聞デジタル報道部政治担当デスクの水内茂幸氏、元読売新聞の報道アナリスト新田哲史氏をお迎えし、自民党総裁選の動向を記者目線で語っていただきました。細かい発言の真意も、キングメーカーの動きも、派閥だけでないポイントもご紹介します。
【このトピックのポイント】
読売と産経は「現場的にはライバル」。保守系の論調なので、自民党の政治側から見ると関係性は築きやすい。今日のテーマの総裁選や、いつ解散するかというスクープものでは、朝日を含め激しい戦いを繰り広げるといいます。
水内茂幸氏「読売さんは特ダネにこだわりぬく気持ちが強い。現場の苛烈な戦いはすごくある」
新田哲史氏「事件現場に一番最後まで残っているのは読売記者といわれます」
9月の自民党総裁選。明確な立候補表明はこれからですが、動きが活発になってきた今日この頃です。最近の話題では、総裁選の選挙管理委員会のメンバー11人が決まりました。ここからどんなことが読み解けますか?
水内氏「岸田派がいないでしょ」
岸田総理は、総裁選での再選をまったく諦めていないとされますが、党内で厳しい声が上がっているとの話があります。岸田派の中でも、衆院議員の任期が1年と迫る中……
水内氏「邪推の意味ですけど、20人の推薦人が集まらないと総裁選に出られないんですよ。選管に入ると推薦人として厳しくなるので、だから岸田派がいないんじゃないかと邪推する人が……」
とはいえ、さすがに現職の総理で20人の推薦人を集められないということはないと見立てる水内氏。岸田派は解散したとはいえ定期的に会食をしているようですし、立候補出来ないことはないと思うとしながら、
水内氏「この図からそういうことまで言われてしまうのが、岸田総理の窮状を表している」
MC伊藤由佳莉「高市さんの出馬封じみたいなことも言われている」
高市氏も、20人の推薦人が集まっているのではないかと言われています。ですが、3年前に比べ少々厳しくなっていると、水内氏は2つの状況を示します。
こういった点から、高市氏自身は講演会などに精力的だが、「難しくなってくるところが少しあるのではないか」と水内氏は見立てます。
新田氏は「こんなに選管メンバーが注目されるのは記憶にない。過去記事を見ても選管メンバーに関する記事はない」と驚きます。
新田氏「派閥が解散して票読みがしづらくなった。初めての状態で思惑が読みづらい。裏を返すと8月お盆明けぐらいから本格的になってくると思うが、情報戦を含めて、今は序盤の慣らしみたいな感じ」
現在、立候補を取り沙汰されている候補者はこちらの皆さんです。選挙ドットコムでもすでに石破さんと茂木さんにご出演いただいていますが、水内氏は20人の推薦人を集めるのが分水嶺になると解説します。
※編集部注※岸田文雄総理は8月14日に不出馬を表明しました。
水内氏「380人近い議員がいる中で20人を集めるのはほんとうに大変。熾烈な権力闘争の極限。我々が報道する時には、『20人集められる目処が立った』というのを確信的に言うのと、飛ばし的に『出馬の意向を固める』と書くのは天と地の違いがある」
かつて「石破番」を務め動向に詳しい水内氏が、石破氏が鳥取での講演会で「出馬の意向を固めた」と報道されたケースを解説します。
石破さんが講演で「鳥取から日本を始めたい」と語ったことから出馬の意向を表した、というものですが、
水内氏「そう言ったから石破さんがスタートラインに立てるかというとちょっと違う。ここから推薦人集めのスタートラインに立ったというだけで、総裁選の具体的なスタートラインではない」
現在の取材状況では、「20人のラインにちょっとどころではない差がある」とのことで、「事実上の立候補表明みたいな言い方をされていたが、そういう差がある」と説明します。
菅氏が石破氏の後ろ盾になるのではという声もありますが、菅氏には小石川連合と呼ばれる、小泉進次郎氏や河野太郎氏の選択肢もあります。
また、後ろ盾があることで、党運営などの主体性が損なわれる弊害もありそうです。
新田氏は、鳥取での講演の後、正式な出馬表明はまだだと明確に回答したというやり取りを報じていると説明。「記者としても、まだ固め切れていないという心証を持っているのだろう」と分析します。
新田氏「最終的には麻生御大と菅御大のキングメーカー争いがある」
前回の総裁選で石破氏が菅陣営に入り河野太郎氏を推しました。今回も菅氏と石破氏は、一時期よりは距離が離れているのではないかという話があるという状況を紹介。
新田氏「ここの8人になぜか入っていないけれど、僕は菅さんが結構ありうると思っていて」
水内氏「HKTね」
萩生田光一氏(H)と加藤勝信氏(K)、武田良太氏(T)のうち、「加藤さんは菅さんのカードのひとつになる可能性がある」と分析します。
新田氏「岸田さんが変わり映えしなかったら代わりに加藤さん。より選挙の顔にふさわしい小泉さんとかになるかもしれないけれど、菅さんがどっちにするのか」
小泉進次郎氏に関しては、父親の小泉元総理の意向が大きいこと、党内での評価から厳しいとの情報があります。
新田氏「進次郎さんは、お父さんが50歳になるまではダメだとずっと言っていて。お父さんが最終的に腹づもりを決めるのが大きい」
小泉氏が立候補するなら、父親の意向を振り切るほどの覚悟が問われます。また、人気のある小泉氏ですが、新田氏は「これだけお金の問題で国民に不信感が広がっている中、目先の人気だけで国民の支持が戻るものではない」と厳しい見方を示します。
水内氏は、小泉氏を自民党の議員の中で「相当なビハインドを追っている」と指摘します。それは
水内氏「環境大臣時代の言動が問題。カーボンニュートラルゼロの問題やCO2の削減目標で『ふわふわっとした言葉が浮かんできた』みたいなことがあった。産業界に痛みが伴うもの、簡単にふわっとしたものではない」
目の見えない範囲で政治としてしっかり交渉する、ダメなものに頭を下げるなどの政治力が問われる問題に、当時の小泉氏は当時の経済産業大臣を激怒させるほど、非常に劣っていたと指摘します。
水内氏「知名度と次の総理にふさわしいという世論調査では常に上位に来るけれど、トップになるならきれいごとだけでは到底ダメ。そこをクリアできるかどうか」
「きれいごと」という観点では、石破氏にとって、議員仲間にプライドを捨てられるかが最大のポイントだと言及します。
水内氏「選挙民には頭を下げてお願いしますと言うのだから、議員の人たちにも『ここはピンチだから』とプライドを捨てられるかが最大のポイント」
議員から「選挙が終わった後に全然挨拶がない」などと揶揄されてしまう石破氏。「昔の仲間に今回は……と頭を下げられれば、菅さんに左右されている状態から変わる」と水内氏は力説します。
水内氏「それができないまま、10何年くらい来ている石破さんも、60代後半。密かに石破ファンといわれている人たちは期待しているところもある。そういったところを乗り越えられるか」
そのほかの方は。
水内氏「茂木さんは選挙ドットコムで『じっくり考えます』と言っていたが、かなりギアが入っているような気がした」
取材していると、茂木さんの周りには何十人か一定程度動く人たちがいるという印象を受けていると指摘する水内氏。
水内氏「周りのイメージとは違って、参議院議員の中で組織だって動く人がいる。茂木さんは、スタートラインには必ず立てる印象を持ってます」
MC伊藤「茂木さんは最近ネットメディアの露出を増やしているが」
新田氏は「茂木さんはXの動かし方も変わってきた。明らかに、PRのブレーンを入れたんだろうな」と応じます。
新田氏「要職を経験している割に、未だに自民党の中で次の総理にしたい人、という点で伸び悩んでいる。空中戦で少しでも親近感を持たせ、怖そうだというイメージをイメチェンしたいのではないか」
新田氏「政局的な話になりがちだけど、報道側がもうちょっと自制しなければならない。次の総裁に求められるのは、次のアメリカ大統領と渡り合えるか」
トランプ大統領になった場合は「岸田さんが続投した場合もそんなに簡単じゃない」と指摘する新田氏。
アメリカ大統領とやり合えるのか、これまでの財務省との関係など、霞ヶ関をコントロールするリーダーシップなど、基本的な軸を問うていく必要があると指摘します。
新田氏「どうしても派閥の話になりがちだけれど、とくに本当に、外交の部分が大事。外交経験のある茂木さんとか、河野さんとかにアドバンテージがある。討論会を含めてしっかりメディアもどんどん追及して、論戦を盛り上げていただきたい」
水内氏は、岸田総理も外交面、防衛面では成果を現してきたと紹介します。
水内氏「岸田さんも外交だけで見ると、この3年間くらい、広島サミットを開いてゼレンスキーを呼んできたり、ロシアに対する態度を早く方針を決めたり、結構骨太のことはやっている雰囲気は受ける。防衛面では、安倍政権でも菅政権でもできなかったことを一生懸命交渉しながらやった。そういう危機管理と、国のために今ちょっと批判があってもやるという姿勢はある」
多事多難にあふれる中、若手は不利なのでしょうか。
水内氏「今、自民党の中で存在感が変わっているのが小林鷹之氏」
本人が所属する二階派の一定層、安倍派のある程度の人たちを集めているとコメントします。
水内氏「また、小林氏自身は当選4回の、自民党の政権を取り戻した時に当選した安倍チルドレン。自民党内である程度のボリュームがある。派閥横断的に、手弁当で小林さんのもとに集まりつつある」
新田氏「自民党がピンチをチャンスに変えるには、いい意味で世代交代する必要がある。自民党はどうしても長老が力を持つ。複雑な二重構造が最近の若い支持層から見ると……」
新田氏は、党のPR戦略としても若手の奮起を期待します。
新田氏「俺たち若手もやる気になればここまでできるということを見せつけないと、総裁選でメディアジャックできない。多士済々いますということは、お披露目として党全体の大きなアピールの機会。そこを盛り上げるかどうかはコバホークさん(小林氏)がいるかどうか」
小泉氏が立たないのであれば、コバホークさんが決選投票に残るくらいまで存在感を見せないと、と指摘します。
水内氏は、自民党で最近話題となる「刷新感」というキーワードを挙げ、小林氏に期待が寄せられると説明します。
他方、若手が総裁になることで、長老にコントロールされてしまうことも懸念します。
水内氏「若い方だと、人事など長老がバックを握ったりすると、グリップされてしまうのではないかという危機もある。脱しきれないかもしれないけれど、しっかりコントロールできるか問われる」
自民党総裁選は9月。まだまだこれから情報を発信していきますので、ぜひご注目ください!
自民党総裁選、選管メンバーでもこれだけの情報が?裏側を記者目線で紹介!
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