衆議院議員選挙(以下、衆院選)が10月19日に公示され、10月31日に投開票が行われます。
各自治体では投票率向上のために「期日前投票」などの活用を促しています。しかし、障害を持つ人にとって「投票所に足を運び、候補者名等を紙に書き、箱に入れる」という作業そのものが難しいケースがあります。
・衆院選に行きたいけど、投票所が車いすに対応しているか不安
・投票所がどんなバリアフリー対策をしているのか事前に把握しておきたい
このように、投票所の対応に不安や疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、投票所のバリアフリー事情や障害を持つ有権者への対応事例をQ&A方式でご紹介します。
車いすでも投票所での投票が可能です!
それぞれの自治体では車いすユーザーのために、スロープの設置・車いす用の投票記載台の設置・車いすを押すための係員の配置など、さまざまな対策をしています。
【東京都豊島区の事例】
各投票所では車いす等で来場するかたのため、段差解消のスロープを設置しています。また、投票所内で車いすの介助等、サポートが必要な人は投票所の係員に申し出てください。
(引用:高齢のかた、障害のあるかたへ|豊島区公式ホームページ)
また、車いすの貸し出しなども含め、多くの自治体が上記のような対策を積極的に進めています。
点字での投票も可能です!
視覚が不自由な人は、代理投票制度や点字投票制度を利用できます。これは補助者が代理で投票したり、本人が点字専用の投票用紙を使用して投票したりする制度です。投票所によっては、簡易点字器が備え付けられているところもあります。
【東京都江戸川区の事例】
目の不自由な方は、点字を用いて投票できます。点字投票をご希望の方は、投票所の係員にお申し出ください。点字専用の投票用紙をお渡ししますので、それで投票することができます。点字器をお持ちでない場合も簡易な点字器を投票所に備えてありますので、投票所の係員にお申し出ください。
(引用:目が見えませんが、投票する方法はありますか。 江戸川区ホームページ)
また、点字版・音声版・拡大文字版による選挙公報を希望者に配布する制度もあります。候補者や政党の政見を事前に確認したい場合、希望者は無料で利用できます。利用方法については各自治体のホームページをご確認ください。
「代理投票」という制度を利用できます。
代理投票は多くの自治体が導入している制度です。視覚や上肢に障害があり自書による投票ができない場合、代理人による投票が認められます。投票当日だけでなく、期日前投票や不在者投票でも利用可能です。
代理投票を希望する場合、投票所の係員による投票補助者2名が定められます。このうち1名は選挙人が指示する候補者の氏名や政党名等を代理で記載し、もう1名が指示通りに記載しているか確認するために立ち合います。
なお、代理人は投票所の係員に限ります。家族や付き添い人による代筆はできません。
移動支援に関する制度を利用できます。
投票所までの移動支援が徐々に整備されています。巡回バスの運行や介護タクシーの手配、ガイドヘルパーの付き添いなど、支援内容は自治体によってさまざまです。
事例①東京都港区
【移動支援の内容】
「移動支援事業」「訪問介護」等の制度を利用することにより、ご自宅等から投票所への移動について支援を受けられる場合があります。
【対象者】
視覚障害のある人や全身性障害の人、知的障害や精神障害のある人及び介護保険の「要支援」又は「要介護」の認定を受けている人
(引用:港区ホームページ/投票所の移動支援について知りたい。)
事例②青森県田子町
【移動支援の内容】
自宅と期日前投票所の間を車いすも一緒に乗車できる介護タクシーで送迎
【対象者】
・「長時間の自立歩行が難しく、補助の移動手段を持たない選挙人」としており、年齢や要介護認定者等で限定していない
・主に高齢者や障害者を想定しているが、若年層のけが人等も利用可能
・対象地域は町内全域
(引用:総務省 – 移動支援、移動投票所の取り組みについて)
東京都などの都心部においては、区や市による「移動支援事業」を利用することによって投票所までの移動支援を受けられる可能性があります。詳しくはお住まいの地域の役所へお問い合わせください。
また地方や山間部など移動が困難な地域については、選挙期間に限り移動支援が特設されるケースがあります。
投票所ではさまざまな支援ツールを貸し出しています!
・車いす
・杖おき
・座位記載台
・文鎮、すべり止めシート
・虫めがね、ルーペ
・老眼鏡
・点字器
・点字氏名等掲示
・イラストによるコミュニケーションボード
・筆談用ホワイトボード
各自治体では障害を持つ人々が投票しやすいよう工夫を施しています。ご利用を希望する人は遠慮せずに係員に申し出ましょう。
ここまでバリアフリーと選挙について事例を交えて解説してきました。
各自治体では、障害を持つ人でも投票しやすいようバリアフリー対応が進められています。まだ課題が残る部分もあるかもしれませんが、多くの自治体では積極的に受け入れ態勢を強化中です。
10月31日にはいよいよ衆院選が実施されます。車いすで投票所へ出向き、係員の助けを受けながら投票することは「ちょっとめんどくさい」かもしれませんが、今回の衆院選ではぜひあなたの貴重な1票を投じてみてくださいね。
また、選挙ドットコムでは衆院選に関する情報をオモシロク解説する特設サイトを解説しました!衆院選まで残りの期間、候補者の顔ぶれや自分の選挙区をぜひ確認してみてくださいね!
\選挙ドットコムの衆院選2021特設サイトはこちらから/
(執筆協力:森しゅなつ)
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