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あす投開票の沖縄市長選。なぜ注目されるのか? 過去の選挙結果から考える情勢は?

2018/4/20

宮原ジェフリー

宮原ジェフリー

あす4月22日に投開票される沖縄市長選挙には、新人で前市議会議員の諸見里宏美氏(社民、共産、社大、自由、民進、希望推薦)と現職で2期目を目指す桑江朝千夫氏(自民、公明、維新推薦)が立候補しています。

両者とも接戦の戦いを繰り広げており、最後まで目が離せない展開となっています。この選挙の見どころをまとめました。
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那覇市に次ぐ人口規模14万人都市。アリーナ建設が争点に

沖縄県の県庁所在地は那覇市であって沖縄市ではありません。沖縄市は本土復帰後の1974年にコザ市と美里村が合併してできた比較的新しい市です。人口は約14万人で、県内では那覇市に次ぐ2番目の規模を誇っています。

市内には嘉手納基地の出入り口が位置し、古くから米軍がもたらした文化の影響を色濃く残している地域です。特にロックをはじめとした音楽文化が盛んで、参議院議員も務めたミュージシャンの喜納昌吉氏の出身地としても知られています。
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辺野古基地建設を反対する翁長知事や社民・共産などによる「オール沖縄」と、推進する自民などの「チーム沖縄」による争いのほか、沖縄市長選挙で主な争点となっているのは、1万人規模を主要する多目的アリーナの建設の是非です。諸見里氏は予算規模が不明であり、目的が不明確であるとして建設そのものに反対している一方で、桑江氏は2014年の市長選から建設を公約にあげており、アリーナの建設によってビジネスチャンスやにぎわいの創出をめざし、将来的にはバスケットボールのワールドカップを誘致する計画を打ち出しています。

辺野古への新基地建設を反対する翁長知事勢力。今年に入り、ほころびが

政府が進めている名護市辺野古への新基地建設を巡り、翁長県知事は就任以来反対の立場を貫き、社民・共産・社大といった革新陣営と、一部の保守陣営に加え経済界の一部を味方につけた「オール沖縄」の枠組みで基地問題に取り組んできました。しかし、知事の任期満了を迎える今年2018年になってその求心力にほころびが見え始めています

その1つとして、今年2月の名護市長選挙では翁長知事が応援した現職の稲嶺進氏が、自民・公明・維新の推薦を受けた渡具知武豊氏に3,000以上の票差をつけられて落選しました。

さらには国を相手取って辺野古新基地建設工事の差し止めを訴えた裁判では今年3月に沖縄県側が敗訴(県が控訴)。また、3月には新基地建設に反対する政党や労働組合、企業、市民団体などでつくる「オール沖縄会議」から県内の経済界で活躍する金秀グループの呉屋守將会長が共同代表を辞任し、続く4月には県内ホテル大手かりゆしの當山智士社長も脱会するなど、経済界からの「オール沖縄離れ(翁長知事離れ)」が進んでいます。

このほか、「オール沖縄」の枠組みの中でも、新基地建設の是非を問う「県民投票」の実現に向けて行動するか否かで意見が分かれており、一筋縄ではいかない状況が続いています。

加えて4月には翁長知事の膵臓に腫瘍が見つかり、手術・療養をやむなくされるなど、健康上の不安も取り上げられるようになっています。

こうした状況で迎える沖縄市長選で社民や共産など翁長知事を支える「オール沖縄」勢力の諸見里宏美氏が当選するのか、または2月の名護市長選に続き自民や公明の推薦する桑江朝千夫氏が当選するのかは、今後の沖縄県政全体にとって大きな分岐点と言えます。

過去の選挙結果から考える、沖縄市長選の情勢

沖縄市は衆議院小選挙区では沖縄3区に位置し、前回2017年、前々回2014年の衆院選では翁長知事が応援する自由党の玉城デニー氏が議席を獲得しています。

◯2017年衆院選沖縄2区 沖縄市開票区 開票結果
玉城デニー氏(自由党) 34,179票(59.5%)
比嘉奈津美氏(自民党) 22,077票(38.4%)
金城竜郎氏(幸福実現党)1,160票(2.0%)

また、4年前の市長選挙では、反翁長知事派の桑江朝千夫氏が、革新陣営が推していた島袋芳敬氏に競り勝っていますが、票差は以下の通り、接戦でした。

◯2014年沖縄市長選 開票結果
桑江朝千夫氏 29,968票(51.3%)
島袋 芳敬氏 27,779票(47.6%)

同年2014年に行われた沖縄市議会議員選挙では、今回市長選に立候補している諸見里氏は39人中4位(定数30)で当選しているなど、過去の結果を見る限りは「オール沖縄」陣営が優勢のようです。

◯2014年沖縄市議選 開票結果
屋富祖 功氏 2,618票
桑江 直哉氏 1,992票
小渡 良太郎氏 1,970票
諸見里 宏美氏 1,922票
(定数30のうち、上位4名のみ掲載)

しかしながら先述の通り、今年に入ってから「オール沖縄」は名護市長選での敗北や経済界の「オール沖縄離れ」など、決してこれまで通りの支持を得ているとは言えない状態です。

この選挙の結果は沖縄市内だけの問題にとどまらず、翁長市長が応援する諸見里氏が勝利するか、政府・与党が応援する桑江氏が勝利するかによって、その後の県政・国政の運営や続く選挙にあたっての体制づくりに大きな影響を与えることになります。

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宮原ジェフリー

宮原ジェフリー

選挙ライター、キュレーター(現代美術)。 1983年東京都出身。中学生時代から衆参の選挙の度に全選挙区の当落予想を続ける。ポスターデザイン、インディーズ候補、政見放送、選挙公報、街頭演説など選挙に関わること一切が関心領域。著書に『沖縄〈泡沫候補〉バトルロイヤル』(ボーダーインク)がある。

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