10月22日に、衆院選(小選挙区・比例代表)、最高裁裁判官の国民審査、県知事選、町長選挙、町議選と6つの選挙が重なる宮城県南三陸町。突然の衆議院解散の報を受け、現地の選挙関係者はどのような対応をしているのでしょうか。
選挙行政の責任者である南三陸町総務課長の高橋一清氏に話を聞きました。
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-選挙ドットコム ライター宮原(以下、宮原)
知事選は17日間、衆院選は15日間、町長・町議選は5日間と運動期間にずれがある選挙が重なり、早い時期に期日前投票に出かけても改めて投票所に来なければならない、といった問題などで有権者に混乱が生じることが予想されます。
選挙管理委員会として短いスケジュールの中でどのような工夫をしているか、その苦労などを教えてください。
-南三陸町役場 高橋課長(以下、高橋課長)
選挙の事務としては法律に定められた告知を適切に行い、有権者の方に確実に入場整理券を届けることに注力しています。震災復興の過程で整備した防災無線がほぼ全ての世帯に行き届いていますので、それを活用して告知をします。
-宮原
無投票の選挙がなければ、1つの投票所に6つの投票箱が必要となります。確保のために追加で購入したのででしょうか、それともほかの選管から借り受けをするのですか?
-高橋課長
投票所は13か所設置するため、各投票所に3つずつに加え、期日前投票の分を合わせて54個の投票箱を購入します。その他に投票用紙の記入台、テーブル、椅子、投票用紙の計数機を追加購入します。近隣の自治体も選挙がありますし、貸し借りの間に起こる機械の故障などのトラブルを避けるため、借り受けはしません。
-宮原
報道では震災復興の派遣職員を動員する予定とかかれていますが、この方々はどんな仕事をなさっている方ですか。
-高橋課長
派遣といっても民間企業の派遣社員ではなく、東日本大震災で被災した自治体に対して派遣されている日本全国の自治体の職員の方々です。震災と津波の影響で南三陸町役場の職員も亡くなりましたので、それに対応して取られている措置です。普段は町役場で私たちと同じ仕事をしています。
選挙にあたっては町役場の職員総動員で対応にあたります。
-宮原
普段の選挙と違い苦労していることや工夫していることがあれば教えてください。
-高橋課長
まずはメディア対応ですね(笑)
6つの選挙が重なっているということで、多くの記者さんが取材に来られるのでその対応に追われています。
また、選挙が重なっていることもそうですが、それ以上に今回の選挙は4年前と異なり、仮設住宅から復興住宅に移っている住民の方が多い一方、現在も南三陸町に住民票を置きながら町の外に避難している方々がいらっしゃいます。
住民の移動に配慮しながら投票所を配置しました。現在はしっかりとした選挙人名簿を作成することが一番の課題となっています。
複数の選挙が重なって人員や備品の購入にリソースが割かれているものの、運営にあたっての基本的なノウハウは変わりがなく、職員の方々は粛々と準備を進めている一方で、2011年の東日本大震災から6年半が経過しても、復興の道半ばで、その影響に伴う住民の移動などに大変な対応をなさっていることがわかりました。
高橋課長、非常にお忙しいところご対応ありがとうございました。
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