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低投票率は安倍政権の戦略。政策を見て投票に行って欲しい|社民党 又市幹事長インタビュー

2017/10/9

宮原ジェフリー

宮原ジェフリー

今月10日公示、22日に投開票が行われる衆議院選挙。北朝鮮情勢の緊迫化や消費税率の10%への引き上げ、森友・加計学園に関する追及、希望の党の結党と民進党との合併、立憲民主党の結党など様々な側面から注目を集めていますが、各党は今回の衆議院選挙をどのようにとらえ、どのような戦い方を考えているのでしょうか。

社会民主党幹事長の又市征治参議院議員にインタビューを行いました。

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安倍政権を止めるのか、庶民のための政治か、9条を守るのか

-選挙ドットコム ライター宮原ジェフリー(以下、宮原)
様々な側面から注目を集める次期衆院選ですが、社民党ではこの選挙をどのように位置付けていますか?

-社民党 又市征治幹事長(以下、又市幹事長)
争点は大きく3つの柱でとらえています。

1つ目は立憲主義・民主主義・平和主義を無視して暴走を続ける安倍政治を続けるのか、止めるのか
2つ目は1%の富裕層や大企業優先の政治を続けるのか、99%の庶民のための政治に転換するのか
そして3つ目は憲法9条を変えて日本を戦争ができる国にするのか、憲法の理念や条文を守る政治を実現するのか、です。

-宮原
今あげていただいた3つの争点に対して、社民党ではどのような政策を掲げていくのでしょうか?

-又市氏
政策については大きく6つ考えています。

1点目は消費税増税反対です。アベノミクスが失敗した現状のもと、増税をすれば国民の暮らしは破壊されますし、日本経済の低迷につながります。増税分の8割を借金返済や基礎年金国庫負担の穴埋めなどに充てることとしていましたが、それ自体が当初の約束と違います。そもそも消費税を年金、医療、介護、子育て、教育などの目的税化すれば10%どころか15%以上にもうなぎのぼりになります。「教育に回す」と言うエビで増税の鯛を釣ろうというのです。すべての税目から社会保障や教育は賄われるべきです。

2点目はワーキングプアと呼ばれる非正規雇用の問題です。正規労働者との均等待遇を最低限の目標とし、正規化を進めて安定雇用を図ります。また、長時間労働にももっと厳しい規制をかけて労働環境を守ります。合わせて最低賃金を当面時給1,000円以上にし、1,500円をめざします。

3点目は原発の問題。2020年代の早期に脱原発社会を実現するための工程表を作成します。原発の再稼働については、安全問題が最優先課題なのですから、原発30km圏内の自治体と事業者との厳しい安全協定締結、政府と自治体による実効性ある避難計画の策定、そして30km圏内自治体の住民投票による同意を最低条件としていきます。

4点目は安全保障。先の安保法制・戦争法で集団的自衛権の行使、つまり海外で自衛隊が戦争をできることにしたその自衛隊を憲法に書き込むことに反対します。憲法違反の安保法や共謀罪法、秘密保護法は廃止します。

5点目は外交。北朝鮮の核・ミサイル問題については断じて許せませんが、圧力一辺倒をやめて2005年の6か国共同声明の枠組みに立ち返って話し合いで解決をはかることを求めます。日本は軍事的圧力を強めようとするアメリカのトランプ大統領を説得し、まずは北朝鮮の目の前で行っている米韓合同軍事演習の停止と北朝鮮の核・ミサイルの停止、そして米朝の停戦協定を不戦協定に転換することを求め、中国やロシアと連携して仲介の労をとる、それが平和憲法を国際公約とする日本の責任です。「窮鼠猫を噛む」ような事態を絶対招いてはなりません。

最後は憲法。安倍政権で安保法や共謀罪、秘密保護法などで日本国憲法は踏みにじられてきました。憲法は国民の自由や権利を政治権力に守らせるためのものです。安倍政権の下で、25条の「生存権」はじめ多くの条文が有名無実化しています。これをしっかりと守らせてゆく国民的運動が大切です。

日本で唯一の社会民主主義政党としての使命

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-宮原
社民党は共産党などとの野党共闘を強く打ち出していますが、特に比例代表では「社民党」と投票用紙に書いてもらうことが大切になってくると思います。他の党にはない独自の魅力について教えてください。

-又市氏
私たちは社会党の時代から「核と人類は共存できない」ことを訴え、多くの国民の皆さんと共に原水禁(原水爆禁止国民会議)を立ち上げたり、原発建設に反対したりしてきました。科学技術の発達に反対するのか、と与野党から批判をされた時期もありましたが、2011年の福島原発事故を経て私たちの先見性が証明され、その後の与野党を超えた脱原発論に広がったと思っています。

また、平和外交については2001年の土井たか子党首時代に「北東アジア総合安全保障機構構想」を提唱しました。日本、韓国、北朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、アメリカ、カナダの8か国がこの地域でもめ事が起こっても武力行使は行わず話し合いで解決を図る枠組みを野党外交で進めたのです。これが2005年の6か国協議の下地になったのです。

そして憲法。護憲の旗のもと、憲法の条文を活かすために、例えば格差是正や反差別、長時間労働の規制、反戦・反基地、原水禁、脱原発、安保法制反対、共謀罪反対といった運動を長年先頭に立って進めてきて、これらを国民規模のものに発展させたことは誇りに思っています。こうした運動を続けることが日本で唯一の社会民主主義政党としての使命だと思っています。ぜひご支援をいただきたいと考えています。

現在の2議席から、最低でも5議席獲得へ

-宮原
この選挙で目標とする議席数を教えてください。

-又市氏
この選挙では、小選挙区で20人を超える候補者を立てることになりました。現有2議席ですので、立憲民主党や共産党との選挙協力をして最低5議席を確保したいと思っています。

低投票率は安倍政権の戦略。政策を見て投票に行って欲しい

-宮原
来る衆院選では投票率の低下が懸念されています。有権者が投票に行かない理由とそのための対策をどのようにお考えなのかお聞かせください。

-又市氏
投票率が下がる懸念は私たちもしております。

特にこの選挙に関して言えば安倍総理の策略があると思います。野党が臨時国会を開くように要求したのを3か月棚ざらしにしてきました。やっと召集したと思ったら、経済政策も消費税、教育、北朝鮮、森友・加計学園の問題などを一切審議しないまま冒頭解散しました。有権者をシラけさせることで投票率を下げて、支持基盤の堅い自民党・公明党に有利に進める狙いだと思います。

国民の皆さんにはこういった国民を馬鹿にした策略にはまらず、各党の政策を見比べて政党を選び、投票に行ってもらうよう強く訴えたいと思っています。社民党の政策に共感いただき、何としても強く大きくしていただきたいと訴えていきます。

-宮原
最後に読者にむけてメッセージをお願いいたします。

-又市氏
今度の選挙は3極の戦いになります。政権を担っている「自民党・公明党」、これの補完勢力である「希望の党・維新の会」、そして「社民党、立憲民主党、共産党」を中心に自由党や新社会党、みどりの党といった在野の政党と市民連合の三つ巴です。

自・公と希望・維新連合に3分の2の議席を与えたら憲法改悪にまっしぐらです。戦争ができる国になって、国民の自由や権利がもっと抑圧される社会になります。こんな状況を許さないために、わが社民党、立憲民主党、共産党を伸ばしていただき、改憲勢力に3分の2を割らせるようにしたい。政界再編劇や個人の人気に惑わされないで、自らが望む政策でしっかりと選んでほしい、と思っています。

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選挙ドットコムでは順次、各党の代表者インタビューを掲載する予定です。
関連:政局が語られる選挙だからこそ、政策を推す。|幸福実現党 党首 釈量子氏インタビュー

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宮原ジェフリー

宮原ジェフリー

選挙ライター、キュレーター(現代美術)。 1983年東京都出身。中学生時代から衆参の選挙の度に全選挙区の当落予想を続ける。ポスターデザイン、インディーズ候補、政見放送、選挙公報、街頭演説など選挙に関わること一切が関心領域。著書に『沖縄〈泡沫候補〉バトルロイヤル』(ボーダーインク)がある。

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