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千代田区長選、小池知事支援の石川氏が圧勝~都政の行方に大きな影響か

2017/2/6

児玉 克哉

児玉 克哉

※本記事は「児玉克哉の希望ストラテジー」の転載となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。

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注目されていた東京都千代田区長選は小池百合子都知事が支援する現職の石川雅己氏が圧勝となった。自民都連推薦の与謝野信氏は惨敗となった。無所属の五十嵐朝青氏は組織もなかったこともあり、及ばなかった。しかし五十嵐氏は選挙戦で健闘したイメージが残り、今後に繋がる可能性がありそうだ。自民党が支援した与謝野氏に迫る票は評価されそうだ。

東京都の小さな区の区長選であり、普通は全国メディアに取り上げられることはほとんどない選挙である。今回は、夏の都議選をにらんでの小池知事と東京都議会のドンといわれた内田議員との代理戦争といわれ、大きな関心を集めた。都議選の結果は、これからの東京オリンピックや築地市場から豊洲市場への移転、あるいは国政選挙にも影響を与える可能性が高い。

今回の選挙の意味を考えてみたい。

1.小池新党への弾み

昨年末から、小池知事は政治団体「都民ファーストの会」や小池塾こと「希望の塾」を立ち上げ、都議選に向けての準備に取り組んでいる。2月あたりで中だるみしうるのだが、この千代田区長選は立ち上げたばかりの組織を活性化することになった。希望の塾の塾生にとっては、願ってもない選挙の実戦を体験する機会となった。小池知事の勢いは衰えていない。とはいえ、小池知事の責任がどれだけあるかは別にしても、築地市場の豊洲市場への移転やオリンピック会場問題などは決して順調に解決へ向かっているわけではない。ある一定の時間が経てば、批判の矛先は現知事にも向けられてくる。勢いが落ちれば一気に向かい風が起きるのが現代の政治の風潮でもある。まずはこの千代田区長選を制したことは大きな意味がある。

2.自民党都連の完全敗北

自民党都連も与謝野氏の選挙にはかなりの力を入れたことは確かだ。内田議員のお膝元ということもあり、負けてはならない選挙であった。少なくとも大敗はしてはならない選挙だった。応援演説には、前都連会長の石原伸晃経済再生担当相、同女性部長の丸川珠代五輪相、今井絵里子参議院議員、朝日健太郎参議院議員など都選出の国会議員が多数顔を出した。この状態で惨敗となると、今後の展開に大きな影響がある。石原伸晃大臣の影響力も、父である元東京都知事の石原慎太郎氏の豊洲市場移転問題の責任も取りだたされる中では、厳しくなっている。東京都議会を仕切っていた自民党東京都連の面影はなくなったといえる。今回の千代田区長選が内田議員の選挙区であることは大きな意味を持つ。これによって、都議選で内田氏が出馬する可能性は非常に小さくなった。内田氏の年齢も高い。今回の選挙で引導が渡されたといえる。ちょっと前まで石原伸晃氏と内田茂氏の政治力で牽引していた自民党東京都連はガタガタの状態だ。二人とも東京都政における影響力を失いつつある。都議会自民党はさらに分裂して、本体が小さくなり、都議会選挙を経るとさらに小さくなることが予想される。都議会自民党は60あった議席が都議選までに40~50になり、都議選で30を切ることも現実的なシナリオになりつつある。

3.公明党の小池与党化

都議会公明党はすでに都議会自民党と距離を持ち、小池知事の与党化をしつつあるが、今回の石川氏の圧勝によってさらに固まったと言える。中央では自民=公明の連携は強く持ちながらも、都議会では袂を分かつことが明確になった。東京都で他の区長選も同様の構図になるし、都議選や区議選の1人区では小池与党として選挙に関わる可能性が高い。これは自民党都連には大きな打撃になる。

4.不安な民進党

民進党の立場は微妙だ。蓮舫代表が小池知事に表敬訪問し、関係は築いた。しかし準与党的な扱いではない。今回の小池知事側の石川氏の圧勝を目の当たりにして、都議選でむしろ議席を奪われるのではないかという不安がある。民進党(民主党)は前回の都議選で大きく議席を減らしたわけで、今回の選挙ではかなり挽回したいところだ。それがさらに減ることになれば、完敗だ。蓮舫代表の責任問題にもなりかねない。

5.国政選挙への影響

注目されたのは若狭勝衆議院議員が、石川氏の応援演説を行ったことだ。若狭氏は小池氏の選挙でも応援して、問題となった。今回も自民党が応援する候補とは別の候補を応援したわけで、どういう処分が下されるかどうか、注目だ。これは小池新党が、国政にも進出するかどうかの分かれ目になりうる。あくまでも東京ローカルパーティとして展開していくのか、国政もいずれは入っていくのか。これは衆議院解散総選挙の時期にも影響する。都議会選挙で自民党都連が敗北すると、その後に総選挙をするのは自民党には厳しい。また、小池新党が国政にも進出するとなると、その影響は未知数である。一気に春に解散するか、かなり時間をおいて来年以降に解散するかになる可能性が高い。東京都では負けても、安倍内閣の支持率は現在も高い。予算案を通せば一気に解散というシナリオはまだある。

いずれにしても、小池劇場はまだまだ続く。豊洲市場移転も佳境を迎えるし、東京オリンピックも一日一日近づいてくる。このまま小池劇場は4年間、注目を集めるのかもしれない。

※本記事は「児玉克哉の希望ストラテジー」の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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児玉 克哉

児玉 克哉

三重大学副学長・人文学部教授を経て現職。トルコ・サカリヤ大学客員教授、愛知大学国際問題研究所客員研究員。専門は地域社会学、市民社会論、国際社会論、マーケティング調査など。公開討論会を勧めるリンカーン・フォーラム事務局長を務め、開かれた政治文化の形成に努力している。「ヒロシマ・ナガサキプロセス」や「志産志消」などを提案し、行動する研究者として活動をしている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。連絡先:kodama2015@hi3.enjoy.ne.jp

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