※本記事は「児玉克哉の希望ストラテジー」の転載となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。
今年には東京都議会選挙がある。日程も先日、6月23日告示、7月2日投票の日程で行われることが決まった。この都議会選挙は、今後の都政のあり方に大きな影響があるばかりでなく、国政の政局にも影響を持つものと言える。小池新党がどのような動きを見せるのかはまだ不明な部分が大きい。
その都議会選挙の前哨戦といわれるのが千代田区長選挙だ。任期満了に伴う千代田区長選は1月29日告示、2月5日投開票の予定で行われる。告示まであと僅かになった。これまで出馬を表明しているのは3名。小池都知事が支援する現職の石川雅己氏、自民都連推薦で出馬予定の新人の会社員、与謝野信氏、無所属新人の元会社員、五十嵐朝青氏である。実質的に、石川氏と与謝野氏との一騎打ちと見られており、石川氏には小池知事、与謝野氏には内田都議がつき、代理戦争の様相となっている。与謝野信氏は「代理戦争」とみられるのを嫌い、政策での勝負をしたいようだが、現在の政治展開では「代理戦争」の構図と捉えられるのはやむを得ないところだ。この結果によっては都議会選挙の構図も変わる可能性がある。
千代田区長選に影響を与える動きが4つある。
1.まずは都議会公明党が都議会自民党と距離を置き、この選挙でも自主投票を決めたことだ。区長選レベルの選挙においては公明党の支持母体である創価学会の動きは重要だ。公明党が与謝野氏への完全支援をするなら、やはり票は与謝野氏に動くと考えられるが、今回は自主投票。今の都議会公明党と都議会自民党との関係をみれば、自主投票は実質的には石川氏の支援に近い状態といえる。表立った動きはしないとしても、公明党票のかなりは石川氏に流れるだろう。
2.都議会自民党の実質的分裂もインパクトがある。東京都議会自民党から3都議が離脱することを申し入れており、都議会自民党は会派からの離脱を正式に承認した。小池知事寄りの自民系新会派の誕生である。都議会自民党に残った議員の中にも、主流派とは一線を画したい動きもある。すでに都議会自民党は一枚岩というわけではない。選挙は戦争だ。一枚岩になれない陣営は、神風が吹かなければ勝つことはできない。
3.小池塾、つまり希望の塾や都民ファーストの会の盛況もポイントの一つだ。希望の塾の受講生数は約3000人といわれる。その中のかなりが政治家を目指していると言われている。千代田区長選挙は彼らにとって絶好の実戦の練習の機会だ。しかもここでの勝利は、彼らのその後の政治家への可能性を高めることにもつながる。3000人すべてが行動するわけではないにしても、かなりの戦力があることになる。都民ファーストの会には現職の区議や市議もいる。なんといっても勢いがある。戦争では攻める側に勢いがあり、勢いのある側が圧倒的に強い。
4.豊洲新市場の汚染問題も、小池知事側に有利なポイントになる。新たに汚染物質が調査で出てきたが、豊洲市場への移転に関しては内田都議を中心に都議会自民党が推進してきた。メディアも「利権」のにおいを報道している。直接的に千代田区の問題ではないが、豊洲市市場の状況も大きな影響を与える。内田都議や都議会自民党の利権体質疑惑の負のイメージが選挙の争点の一つになっているとさえいえる。豊洲地下水から基準79倍のベンゼンが出る前は、「小池都知事が政治的に移転を止めるために業者が困っている」という批判の声もあったが、結果が出てからは、「そもそもどうして豊洲に市場を作ることになったのか。利権が動かしたのではないか」という「そもそも論」の声が強くなっている。
この最近の状況をみると、小池知事が支援する石川氏が相当な有利に戦いを進めているといえる。「ZAKZAK」(夕刊フジ)は1月24日付で「某政党が昨年末に行った情勢調査で、小池百合子都知事(64)が支援する現職の石川雅己区長(75)が『2万票』と分析されたのに対し、同区を地盤とする『都議会のドン』こと内田茂都議(77)らが推す自民党系候補(候補者未定)は『5000票』だったのだ」という「衝撃的なデータ」を報じている。昨年末のデータであり、与謝野氏の候補者名も出ていない段階でのものだ。この調査データが今の段階でどれだけ意味があるかは疑わしいところだ。
とはいえ、石川氏と与謝野氏の戦いにおいては、かなりの差があるとみるのが妥当だろう。それだけ小池ー石川陣営に順風が吹いているということだ。
ただ、風は変わりうる。実際に石川氏や与謝野氏、そして第三の候補予定者の五十嵐氏がどのような政策を持ち、思いを語るのかは重要である。1月28日には公益社団法人 東京青年会議所 千代田区委員会(JCI)が主催し、一般社団法人 学生連携機構(JASCA)が共催する千代田区長選公開討論会が開催される。
千代田区長選公開討論会
時:2017年1月28日(土) 14:00-16:00
場所:中央大学 駿河台記念館 430教室
入場無料(席数に限りがございます)
主催:公益社団法人 東京青年会議所 千代田区委員会(JCI)
共催:一般社団法人 学生連携機構(JASCA)
特別ゲスト:りりか(モデル)
何か席がなくなりそうな感じがする。討論会の様子は日本青年会議所のホームページにあるe-みらせんで見ることができるとのことだ。多くの人に見てもらいたい。
※本記事は「児玉克哉の希望ストラテジー」の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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