“動画が100万回再生されたらこの動画の内容を実現します！”

動画では軽快な音楽をバックに温泉と遊園地がコラボレーションしたシュールな映像が流れ、後半では別府市長・長野氏の「遊べる温泉都市構想」についての意気込みを聞くことができます。その第一弾は、この動画が100万回再生されたら、動画中のアミューズメント施設「湯～園地」を実現する！というもの。

動画の撮影にあたっては、別府市に実在する遊園地を貸し切って、エキストラは市民の皆さん。別府市全体が一丸となって作成したこの動画は、なんと公開から3日間で100万回再生を達成しました。その後も斬新なアイデアが話題となり、2月1日時点で290万回再生されています。

そして、2月10日に「湯～園地」を実現すべく、クラウドファンディングをはじめる予定です。行うのは、キングコング西野氏が史上最多となる5,000名以上の支援者を集めるなど、何かと注目を集めるCAMP FIREです。数あるクラウドファンディングの中でCAMP FIREを選んだのは「他社と比較する中で手数料が低いことはもちろんですが、夢を一緒に叶えるパートナーとして」との理由から。別府市のプロジェクトもどんな展開になっていくのか目が離せません。

選挙ドットコムでは、この動画キャンペーンの仕掛け人である別府市長・長野恭紘氏にインタビューを行いました。

温泉だと41℃くらい。「ちょうどいい湯加減」の動画を作りたかった

-選挙ドットコム編集部（以下、編集部）
公開3日での100万回再生、おめでとうございます！私も動画を見ましたが、斬新ですね！

-長野恭紘別府市長（以下、長野市長）
ありがとうございます。100万回再生は狙い通りでしたけど、スピードは予想以上でしたね（笑）。
「斬新」と表現いただきましたが、私はこの動画に限らず、「徹底的に尖った政策で尖ったまちをつくる」というコンセプトを持ってきました。

「尖った」と言っても、バランスを取ることが非常に大事です。ただ爆笑されて「何これ？」で終わってもダメ。プライドを捨てて、自分たちの地域を卑下しすぎるのもダメ。クスッと笑ってもらえるような、温泉でいうところの41℃、「ちょうどいい湯加減」でなければダメなのです。今回の動画でも、同じように41℃を目指しました。

-編集部
Youtubeチャンネル名にも使われている企画名「温泉ハイスタンダード 極楽地獄別府」もユニークですよね。先ほど長野市長からいただいた名刺にも「極楽地獄 別府市」と書かれていて驚きました。

-長野市長
この名前も、同じコンセプトのもとに決められたものです。別府には良いものがたくさんあります。ですので、わざわざ新しいものを作っていくのではなく、昔からある良いものをどう見せていくかを大切に考えています。
動画の中の遊園地は別府に昔からある実在の遊園地（別府ラクテンチ）ですし、「地獄」も別府にある温泉の名前です。それらをどう見せていくかを考えてきました。実はこの動画は別府市民に向けたものなんです。

-編集部
見せ方に工夫をして、尖った方法でアプローチしていく。明確な市長のコンセプトがあったから、訴求力のある動画に仕上がったのですね。
キャンペーン全体に関しては、どのような狙いがあったのでしょうか？

-長野市長
私たちには常日頃から終始一貫した太い戦略の柱があります。

それは別府市民に「このまちが世界一だ」と思ってもらうこと。現在地方では人口減少、若い人の流出が進んでおり、もはや政策だけではカバーするのが難しい状態になっています。
そこで必要なのは、別府に誇りと愛着を持ってもらい、地元で生きていくことに価値を見出してもらうことだと考えています。

実は「湯～園地」の動画も、内向きの動画なんです。一見、外部の観光客へのPR動画のようにも見えますが、本当に見てほしいのは別府の市民の方なんですよ。

この動画のねらいは3段階あります。
一番大事なのは、現在別府に居住している人に「別府はすごい」と思ってもらうこと。
次に、外に出ている別府の人に「別府はすごい」と自慢してもらうこと。
最後に、外部の人に「別府はすごい、行ってみたい」と興味を持ってもらい、実際に来ていただくことです。

経済効果も生んだ動画。今後はクラウドファンディングで実現を！

-編集部
近年、いろいろな街でPR動画が作られています。中には志布志市のウナギを美少女に擬人化したPR動画のように、炎上してしまったものもありました。今回のキャンペーン実施にあたり、懸念する意見等はあったのでしょうか？

-長野市長
そうですね、良い反響をいただくことが圧倒的に多いです。マスコミには「税金でこれを作っているんですよね？」と詰められたことはありました（笑）。

でも、この動画の制作費は、遊園地の貸切費用も全部込みで400万円なんですよ。ですが、宣伝効果などを試算したところ、400万円で作った動画が10億円以上の広告費換算を生んでいます。
ですから、確かに制作には税金を使いましたけど、この動画は最小の経費で最大の効果を生んでくれたんです。批判されるべきは税金を無駄遣いすることであって、有効活用するなら何も問題ありません。

-編集部
制作費と言えば、「湯～園地」の実現に向けて、クラウドファンディングを行うと伺っています。

-長野市長
はい。「湯～園地」の実現に向けて、クラウドファンディングを含め、協賛を集めていこうと考えています。市の予算を新たに用意するのではないため、議会の承認のステップも飛ばせ、スピード感も出てきます。ふるさと納税やクラウドファンディングでしっかりと経費を集め、民間事業者とも連携して「湯～園地計画」を実現していきたいと考えています。

2月10日から始まるクラウドファンディングでは1億円を目標額にしています。ぜひパトロンになってください！

-編集部
クラウドファンディングの成功、編集部一同お祈りしています！
今後「湯～園地」以外に別府を盛り上げるためにどんなことをしていく予定なのでしょうか？

-長野市長
今後は地域間連携に力を入れていきたいと思っています。

別府には年間約870万人が訪れますが、1泊は別府、もう1泊は隣町に遊びに行っていただけるような広域連携をしていきたいですね。お客さんを取り合うのではなく、お互いの宝を交換し合うようなイメージで地域全体を盛り上げていきたいです。別府が盛り上がって他の地域が衰退していいのかといえば、そうではないですから。

尖っているのは、別府の皆様の幸せが第一だから

-編集部
ちょうど良い尖り具合である「41℃」のコンセプトのために、長野市長が大切にしている理念等はありますか？

-長野市長
私は別府の市長ですから、市民の皆様の幸せを第一に考えています。今回の「湯～園地」計画を含め色々な政策を実施していますが、全ては市民の皆様の幸せにつながるものかどうかで判断しています。

例えば「湯～園地」が実現して、たくさんの人にそこでお金を使っていただければ、別府市民が豊かになります。このようなきちんとした理念を持ち、常に答え合わせをしながら政治を行っていけば、ひとりよがりになることはありません。
もし私のやっていることが間違っていたとしたら、4年に一度の選挙で市民の皆様に審判を下されるだけですので、私はやるべきことをしっかりやっていくだけです。

-編集部
別府のことを考え、別府のために動く長野市長の想いは、きっと市民の皆様に伝わっていると思います。
本日は貴重なお話ありがとうございました。