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「不人気対決」とも言われたアメリカ大統領選は、共和党トランプ氏の勝利によって終わりました。これから1月下旬の大統領就任式にかけてトランプ氏は政権移行のための準備をしていくことになります。しかも今回は、民主党の大統領から共和党の大統領への政権移行、すなわち「政権交代」です。
政権交代とだけ聞くと、日本のイメージで考えがちですが、アメリカの政権交代はまったく違います。今回は、アメリカの政権交代の仕組みの解説と、トランプ氏による政権交代の行方について考えたいと思います。
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日本の政権交代で変わるのは基本的には大臣・副大臣・政務官といった役職です。例えば、財務省では大臣1人、副大臣2人、政務官2人の5人です。この5人は政権交代によって全員入れ替わります。2009年に日本で政権交代が起こったい際は、5名全員が入れ替わりました。
一方で、この5人以外の重役は「事務方」と呼ばれる各省庁の官僚が務めます。もちろん、各省庁の官僚は公務員であるため、大きな入れ替えは起こりません。さらに、「事務方」のトップである事務次官や局長といった幹部になるのは、入省時に国家公務員試験を突破し、その後も省庁内で優秀だと評価されてきた「キャリア官僚」に限られるため、政権交代が起こっても現場レベルでは政策の一貫性が残る可能性があります。
しかし、アメリカの政権交代は日本とは大きく制度が異なります。日本の省庁の事務次官や局長にあたる官僚たちも政権交代の対象になります。他にも日本では「首相官邸」に相当するホワイトハウスの職員なども含めると、政権交代で代わるのはなんと4,000人程度!
そのうち1,200人あまりは省庁幹部や大使など重要な役職として上院の承認が必要なため、ある程度常識的な人選をしなければいけませんが、規模の大きさと大統領の裁量の大きさ分かると思います。
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また、こうした人材は「公務員」に限られないため、民間企業で働いている人が登用されることも多数あります。
例えば、現在日本の駐米大使は佐々江賢一郎氏ですが、佐々木氏は外務省に入省し事務次官にまで上り詰めた公務員です。一方で、アメリカの駐日大使であるキャロライン・ケネディ氏は元大統領ジョン・F・ケネディ氏の娘という点で特殊ですが、大統領選でオバマ氏を支持した弁護士です。駐日大使就任以前に公的な職業に就いたことはありません。
日本では公務員試験に合格した官僚以外が政府の重役に就くことは珍しいのですが、アメリカでは一般的です。
入れ替わる人数が4,000人というのも驚きですが、さらには民間人が選ばれるため、アメリカでは政権が変わると政府の形が大きく代わります。
4,000人も入れ替わる政権交代ですが、トランプ氏1人で全ての人選を行うわけではありません。そのため、トランプ氏と一緒に4000人を選ぶチームが重要になってきます。この「トランプ氏と一緒に4,000人を選ぶチーム」が、最近話題になっている「政権移行チーム」です。
政権移行チームは政治に精通し、人材を多く知っていることが必須です。そして、今回、政権移行チームトップに任命されたのが時期副大統領のマイク・ペンス氏です。
ペンス氏は12年間も下院議員を務めるなど、トランプ氏の側近の中ではずば抜けて中央政治に精通した人物といえます。そのため、実質的にペンス氏が4,000人の任命について大きな権限を持つと言われています。
また、娘のイヴァンカ氏やその夫も政権移行チームに加えており、「身内を好むトランプ氏らしい」と評されています。
もう少し、トランプ氏の任命について見てみましょう。トランプ氏は13日に記念すべき第一弾となる人事を発表し、ラインス・プリーバス共和党全国委員会委員長を首席補佐官に、そして保守系ニュースサイトを運営するステフェン・バノン氏を上級顧問に任命すると発表しました。
プリーバス氏は共和党連邦議会議員に立場も近く、パイプも持っています。一方で、バノン氏は政治経験や共和党連邦議員とのつながりもなく、自メディアを通じてイスラム教徒に対する差別発言を行うなど、過激発言で知られるトランプ氏と立場が近い人物です。
こうした人事からは、トランプ氏はホワイトハウスの実務を行うトップに多くの共和党員が納得する人事を行う一方、その同等の地位として特別に設けた上級顧問に自身に近い人物を就けるというように、一般的な共和党員とトランプ氏のコアの支持層との間でバランスを取ったことになります。
現時点では、今後の人事もこうしたバランスを重視するものと思われます。しかし、バノン氏は従来であればホワイトハウス入りをするような人物ではなく、プリーバス氏と同等とはいえ高位の職に就けたことについて、不満や不安が広がっていることも事実です。
4,000人もの人材が入れ替わるトランプ政権。来年の就任まで人事に関わるニュースも続くでしょう。
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