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【戦闘と衝突の違】安倍首相は女子高生を買っても、これは「援助交際」で「売春」ではないうと言うのかね?

2016/10/12

清谷 信一

清谷 信一

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首相 南スーダン“衝突あったが戦闘行為にはあたらず”
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161011/k10010725461000.html?utm_int=news_contents_news-main_004

安倍総理大臣は、参議院予算委員会の集中審議で、来月、南スーダンに派遣される見通し
の自衛隊の部隊に対し、安全保障関連法に基づく新たな任務を付与するかどうかの判断に
関連して、ことし7月に政府軍と反政府勢力との衝突はあったものの、戦闘行為にはあた
らないという認識を示しました。

安倍総理大臣は、「PKO法との関係、PKO参加5原則との関係も含めて
『戦闘行為』には当たらない。法的な議論をすると、『戦闘』をどう定義するかというこ
とに、定義はない。『戦闘行為』はなかったが、武器を使って殺傷、あるいは物を破壊す
る行為はあった。われわれは、いわば一般的な意味として『衝突』という表現を使ってい
る」と述べました。

戦時中は退却を転進とか、全滅を玉砕とか言い換えおりました。
戦後は敗戦を終戦とか言い換えておりました。

また現代でもヘリ空母をヘリコプター駆逐艦とかいうわけです。「専門家」と称する人たちも、当局の言葉遊びは正しいと擁護します。

まるで名称が変わると本質が変わるとでも思っているみたいです。
これはやはり我が民族の特性なんでしょうかね。

前に国会で問題となった「暴力装置」は愛国心に燃えて、一片の私心もなく、任務に邁進してらっしゃる自衛隊様を「暴力装置」とは何事だ、とか言って、「実力組織」という言葉を発明したおバカな先生方もおいででした。

そして今度はアレ首相が南スーダンでは「戦闘」はなかった。あったのは「衝突だ」ですからね。戦闘に関する言葉の定義がないんですと。

安倍首相は女子高生を買っても、これは「援助交際」であって、「売春」ではありません。ですから、私が女子高生を買っても売春防止法にはあたりませんとでも言うのですかね?
(別に安倍首相がJK買春したとは言っておりませんよ、勿論。単なる例えです。例え)

稲田防衛大臣は、「私が視察をした首都ジュバの中は落ち着きはあったと思う。新
たな任務を付与するかどうかは、今後、政府全体で決めることになる。『駆け付け警護』
は、緊急、やむをえない場合に、要請に応じて人道的観点から派遣をしている部隊が対応
可能な限度において行うものだ。したがって新たなリスクが高まるということではなく、
しっかりと安全確保したうえで派遣することになる」と述べました。

稲田防衛大臣は現地を視察したとはおっしゃいますが、たかだか6時間、危ないところには全くいかず、それで何がわかったのでしょうかね。しかも軍事に関してはずぶの素人でしょう。現場を知らない、知ろうともしない素人が、勇ましい「愛国論」とか「国家論」を振りかざして、兵隊を単なるコマとしか認識しないで、外国に出して戦闘をやらせるのはいかがなものでしょうかね?
しかもたかが辻元清美に質問されて泣かされるようなメンタルの弱い人が、何かあった場合にサッチャー首相のように毅然とした態度で物事に対処できるのでしょうか。
こういう人を防衛大臣に任命する人の見識も問われると思います。

まあ、永田町の先生方は政治資金の領収書が白紙でも問題ないと、いけしゃあしゃあと仰るのですから、さもありなんと思いますが。
ですが、こんなことが通用するならば、そうであれば永田町の論戦なんて何の意味もない。議会政治は無力だ、という政治不信が更に増大するでしょう。

で、ところでさ、その「衝突」とやらで自衛官が政府の無策や安全だという戯言とかが原因で死んだり、手足を失った場合に首相は責任をとるんでしょうかね。恐らくは現場に責任をおっ被せてホッカムリするんじゃないですか。どうもそれが「戦後レジームからの脱却」とか「美しい国」のあり方なのでしょう。
自衛官は「ことにあたっては我が身を顧みず」と宣誓しているのだから、使い捨てにしていいのだとでも思っているんじゃないですかね。
ファーストエイドの装備も教育もおざなりで、戦車とか火の出る玩具ばっかり買って「無敵皇軍ここにあり」とかパレードだけ見てニヤニヤしている政治家に軍に下命する責任の重さがわかっているのでしょうか。
現場の兵隊さんこそいい迷惑です。

※本記事は「清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所」の10月12日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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清谷 信一

清谷 信一

軍事ジャーナリスト、作家。 1962年生まれ、東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関Kanwa Information Center上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。 著書:『国防の死角』(PHP)、『専守防衛』(祥伝社新書)『防衛破綻──「ガラパゴス化」する自衛隊装備』(中公新書ラクレ)、『自衛隊、そして日本の非常識』(河出書房新社)、『弱者のための喧嘩術』(幻冬舎アウトロー文庫)、『こんな自衛隊に誰がした!--戦えない「軍隊」を徹底解剖』(廣済堂)、『不思議の国の自衛隊--─誰がための自衛隊なのか!?』KKベストセラーズ)、『ル・オタク--フランスおたく物語』(講談社文庫)、『軍事を知らずして平和を語るな 』(石破 茂氏との共著 KKベストセラーズ)、『アメリカの落日──「戦争と正義』の正体』(日下公人氏との共著 廣済堂)などがある。 朝日新聞のWEBRONZA+、日経BPの日経ビジネスオンラインなどネットメディアにも寄稿。

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