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もはや歴代最強! 野党の政策までも実現してあげる安倍自民党

2016/9/25

齋藤 貴

齋藤 貴

20160830安保法の成立と施行、憲法改正への意欲、TPP交渉妥結、原発再稼働… 安倍政権がこれまで行ってきた政策や、これから行おうとしている政策を見てみると、いわゆる「右」の保守的と言われる政策や、「格差の是正よりは競争できる環境を優先する」などといったものがが並んでいます。それはある意味当然のことで、安倍首相自身が自民党の中でも、かなりの保守な考え方を持つ政治家だからです。
しかし、そんな安倍政権も10年前の第一次安倍内閣(2006年—2007年)の時から大きく変貌しています。ぱっと見「左」のリベラルな政策(競争よりも平等を目指す)が増えているのです。今回は、この安倍政権の変貌について探りたいと思います。

 

 

野党の出番なし? 自民党が野党の代わりに実現する政策

直近だけでも、
・最低賃金毎年3%程度引き上げることを表明
・保育士の給与2%引き上げ表明
・返済不要の給付型奨学金の導入を表明
といった政策が見受けられます。
これらはいずれも、「安倍政権は大企業・富裕層の味方である」と攻撃する野党が主張してきたことです。安倍政権は、野党の政策を先取りする形で、このような貧困層への配慮を示す政策を行ったことになります。
もちろん、安倍政権が打ち上げた一見リベラルに見える政策には、批判もあります。例えば、保育士の給与の引き上げ幅が2%であることについては、「少な過ぎる」といった批判が数多くあります。しかし、それでも安倍政権がこうした配慮を示すことは、第一次安倍政権では見られないことでした

 

 

本当は言いたいけど我慢している

また、安倍政権は保守的な政策実現について、かなり抑制的です。昨年の安保関連法案は野党から非難を浴びる形で可決させました。しかし、それ以降を見てみると、世論を二分するような政策の実行はこれまで避けてきています。

例えば、安倍政権はスローガンとして憲法改正を掲げています。しかも、7月の参議院選挙によって、衆議院参議院の両方で改憲に積極的な勢力が議席の3分の2を占めたことで、いつでも憲法改正を発議できる状況になりました。しかし、実際には抑制的な対応を取っています。憲法改正に向けた議論を始めることを宣言してはいるものの、その先の改正の内容については具体的な発言をしているわけではありません。これもまた、憲法改正に必要な手続きとして国民投票法を可決させた第一次安倍内閣とは大きく異なります。

 

 

失敗から学んだ安倍政権

このように、現在の安倍政権は、第一次政権の時と比べれば、ぱっと見リベラルな政策を行う一方、保守的な政策の実行について消極的です。一体なぜでしょうか?
第一次政権は1年という短命な政権でしたが、保守的な政策の実現にはかなり成功しました。幾つか挙げてみましょう。
・愛国心や道徳教育を掲げた教育基本法成立
・防衛省昇格
・国民投票法成立

しかし、第一次政権は、低支持率に苦しむことになります。第一次政権は自らの理想とする政策の実現を追求するあまり、世論から大きく外れてしまったからです。とりわけ、第一次政権の政策は、直前の小泉政権の「改革」とは大きく離れたもので、小泉政権を支持してきた有権者の失望を買いました。結局、第一次安倍内閣は1年で退陣することとなり、その後の福田康夫内閣のもとで行われた参議院選挙では惨敗することになります。

この時の反省が、現在の安倍政権へと繋がっていることは間違いないでしょう。つまり、安倍首相は、「幅広い世論の支持を得ること」の必要性を痛感したわけです。一番わかりやすい例が「アベノミクス」です。2008年のリーマンブラザーズ破綻に伴う経済悪化に日本全体が苦しんでいた中、2012年の総選挙前に安倍氏が提示した「アベノミクス」は、有権者の心をつかむことに成功しました。ここで、かつてと同じような保守的な政策を掲げていれば、あそこまでの勝利はもたらさなかったでしょう。この時安倍氏は大きな飛躍をしたのです。

しかし、現在アベノミクスは批判の対象となっています。冒頭の「大企業・富裕層の味方」というのが、最も大きな批判です。毎日新聞の世論調査によれば、61%の有権者がアベノミクスを「見直すべき」と考えています。そこで安倍政権はその声を受け入れる形で、リベラルな政策を打ち出したというわけです。そのおかげか、アベノミクスへの批判は高まっているものの、現在も安倍内閣は支持率が50%台と好調です。もし仮に、第一次政権と同じペースで、TPP、安保法、憲法改正と突き進んでいたらどうなっていたでしょうか。おそらく、安倍政権は世論に嫌われて退陣することとなっていたでしょう。

 

 

立場を失った野党に何ができるか

安倍政権が高支持率を誇る背景には、これまで上げた政策の柔軟性が挙げられます。保守かと思いきや、リベラルに見える政策も行ったり、例えば18歳選挙権に代表されるように、ある政策を求める声が高まれば、その政策を取り入れたりと、その柔軟性は明らかです。手柄を持っていかれた野党からすればたまったものではありません。
それでは、野党には何ができるのでしょうか。非常に簡単です。一見リベラルな政策の中途半端さを追及すればいいのです。例えば、冒頭にも書いた通り、「保育士の給料引き上げが2%に止まるのはおかしい」と言うことができます。給料引き上げの必要性は与党にも共有されているわけですから、野党が一層の引き上げを掲げれば国会での議論も活性化するはずです。そうすれば、給料引き上げに積極的な政党として認知されるようになります。
このように、安倍政権がリベラルな政策を打ち出し始めたことは、むしろ野党にとってチャンスと言えます。国会での活発な議論に期待です。

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齋藤 貴

齋藤 貴

ペンネーム。23歳大学生。大学では政治学を専攻。テレビドラマ『相棒』が大好きです。

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