参院選まで残り4ヶ月ほどになりました。世論調査によれば、多くの有権者は“他よりマシ”な自民党に投票するようです。「別に自民党を支持しているわけではないけど、野党よりはマシ」ということでしょうか。
それならば、と思うのです。憲法改正を熱望しているわけではない有権者は、自民党に投票するべきではありません。参議院の現状と存在意義を振り返ります。
現代ビジネスが「参院選は圧勝のハズでは…!?」自民党幹部を青ざめさせた二つの世論調査で、昨年末に雑誌メディアが行った世論調査の結果を報じています。
そもそも参院選は、政権党を決める選挙ではありません。
衆院選では「どの政党に政権を担って欲しいか」を考えて投票しますが、参院選では、「どのくらい政権に歯止めをかけるべきか」を考えて投票します。例えば、07年と10年の参院選では野党が過半数を占め、“ねじれ”状態が生まれました。(もっとも、有権者に歯止めをかける意図があったというよりも、07年は自民党から民主党へ、10年は民主党から自民党へ政権交代する前に行われた参院選でした。)
既に忘れ去られているかもしれませんが、政府・与党は昨年9月、国論を二分した安保法を簡単に成立させました。これができたのは、与党が衆議院で3分の2を占め、参議院でも過半数を占めている、圧倒的な議席数があるからです。
参議院は定数242人で、任期が6年です。半数改選(半数ずつの選挙)のため、現在の参議院議員は、2010年当選組(今年が改選)と2013年当選組(2019年が改選)で構成されています。現在は、与党が55%を占めています。(2月1日現在)
野党勢力の多くは民主党政権時代の2010年に当選した議員、つまり今夏に選挙を控えている議員です。
そこで、非改選(2013年当選組)のみの議席数を見てみます。与党が64%を占めていることが分かります。この土台の上に、今夏の参院選で当選した議員が足されますが、注目すべきは民主党の議席数です。
民主党政権時の選挙(2010年)では42人が当選していますが、自民党政権時の選挙(2013年)では17人しか当選していません。2013年の選挙と同じような結果になれば、与党が3分の2を占めることもあり得ます。
(選挙ドットコムの獲得議席予想では与党が64%を占めると予想されていますが、安倍首相は憲法改正に前向きな勢力で3分の2を占めたいと意欲を示しており、与党におおさか維新の会を足せば、それが可能になります。)
有権者の思いと有権者の投票行動に乖離があり、そのせいで、与野党の勢力に大きな差が生まれていると感じます。
「自民党の政策に期待しているわけではない」けど、野党よりはマシだから自民党に投票する。その結果、特に望んでいないのに自民党一強をつくり、憲法改正に向かっていく。憲法改正が良い悪いではなく、憲法改正に反対する声が多いのに、有権者が自らそういった思いと相反する選挙結果にしてしまうことは残念だと思うのです。
(「経済政策に期待している」との声もありますが、内閣支持率と株価が連動しているため、選挙結果に関係なくアベノミクスには細心の注意を払い続けるでしょう。むしろ、選挙で厳しい結果になった方が、アベノミクスに献身するのではないでしょうか。)
今夏の参院選は、どのような思いを持ち、どの政党に投票しますか?
参照
現代ビジネス:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47338
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