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安保法案をめぐる世論③ 内閣支持率への影響

2015/9/18

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今井亮佑

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支持率への影響

このように、今国会で審議されている安全保障関連法案への反対が国民の間で広がる中で、第三次安倍内閣の支持率や自民党の支持率も低下傾向を示している。2015年1月以降の、読売新聞社のRDD方式による定例の調査における内閣支持率・政党支持率の動きを見てみよう。

読売新聞社による内閣支持率・政党支持率の動き

読売新聞社による内閣支持率・政党支持率の動き

上のグラフに示した内閣支持率に関しては、2月から5月までは、「支持する」が50%台後半、「支持しない」が30%台前半を推移し、安定していた。ところが、安全保障関連法案をめぐる世論の潮目が変わった6月以降、支持率の低下と不支持率の上昇が進み、7月24日〜26日に行われた調査では、「支持する」が43%、「支持しない」が49%と、後者が前者を逆転した。もっとも、本レポート執筆時点で最新の8月の調査では、「支持する」・「支持しない」がともに45%と、内閣支持率の低下傾向が一服した感がある。

調査では、「支持する」と回答した人には支持する理由を「政策に期待できる」、「首相に指導力がある」、「首相が信頼できる」、「閣僚の顔ぶれがよい」、「自民党中心の政権だから」、「これまでの内閣よりよい」、「その他」の7つの中から、「支持しない」と回答した人には支持しない理由を「政策に期待できない」、「首相に指導力がない」、「首相が信頼できない」、「閣僚の顔ぶれがよくない」、「自民党中心の政権だから」、「これまでの内閣の方がよい」、「その他」の7つの中からそれぞれ選んでもらっている。そこで、5月調査と8月調査とで支持する/支持しない理由として各項目が選ばれた比率を比較することで、支持率の低下、不支持率の上昇の原因を探ってみる。

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支持する/支持しない理由

5月から8月にかけて支持率が13%低下したが、その原因は様々で、「政策に期待できる」、「首相に指導力がある」、「自民党中心の政権だから」という理由で支持する人がそれぞれ約2%、「首相が信頼できる」から支持するという人が約1%減少したことが、支持率低下につながっている。ただ、最大の原因は、「これまでの内閣よりよい」という理由によって支持する人が24%から19%に低下した、すなわち消極的な理由によって支持していた人が支持を止めたことにある。

一方、不支持率が13%上昇した原因の大部分は、「政策に期待できない」から支持しない、「首相が信頼できない」から支持しないという人が約5%ずつ増加したことに求められる。

つまり、3年3ヶ月に渡って稚拙な政権運営を続けた民主党政権に比べればまだましという消極的な理由で第三次安倍内閣を支持していた人々を中心に、安全保障関連法案の国会での審議入りを契機に、安倍首相が推し進める(安全保障)政策に賛同できない、首相の言動には信頼を置けないと感じる人が増え、不支持に回る人が多く出たことが、6月以降の内閣支持率の低下と不支持率の上昇をもたらしたと考えられるのである。

 

>>「安保法案をめぐる世論④ 政党支持率への影響」へ続く

 

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今井亮佑

1977年京都府生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。現在早稲田大学現代政治経済研究所主任研究員。主な論文に「国政選挙のサイクルと政権交代」(『レヴァイアサン』第47号)、「選挙動員と投票参加―2007年〈亥年〉の参院選の分析」(『日本選挙学会年報 選挙研究』第25巻第1号)など。

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