昨日夕方、安保関連法案が参議院の特別委員会で可決されたことを受け、ネットでも安保関連のワード数が急上昇。午後5時30分ごろをピークに2500/分ツイートを記録するなど、安保法安と国会の動向に注目が集まっていることが伺えます。
こうした国会の動きを今朝の新聞各紙も一面で大きく報じています。今朝の新聞を右と左に並べていくと、いくつか気づいたことがあったのでお伝えします。
18日の主要各紙の「カット見出し」と「主見出し・袖見出し」を比較してみましょう。
「安保法案 参院委可決」本会議で攻防 成立ずれ込む(読売新聞)
「安保法案 参院委可決」きょう成立へ 野党、不信任・問責で抵抗(産経新聞)
「安保法案 参院委で可決」本会議でも野党抗戦(日経新聞)
「安保採決 参院委も強行」5野党 内閣不信任提出へ(朝日新聞)
「安保法案採決 再び強行」野党本会議で抵抗(毎日新聞)
「強行採決 再び」安保法案 参院委で可決(東京新聞)
どれもよく似た見出しが目に飛び込んできますが、まず「安保法案」という表現では一致しているようです。これは「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」を合わせた11法案の通称が「安全保障関連法案」と呼ばれているからです。詳しくはこちらもご覧ください。
次に、各紙とも国会の荒れ模様を「パンチの効いた」写真で表現し、その場の混乱ぶりが一目瞭然で分かるように配置しているのも共通です。朝日と東京は、国会周辺デモの様子も写真を添えているのが特徴的です。
ちなみに、佐藤正久参議院議員の拳が小西洋之参議院議員に顔面にヒットしたように見える写真の採用は東京新聞だけで、この辺は各紙のカメラマンの「テクニック」か、あるいは「デスクの判断」だと思われます。
そして、朝日・毎日・東京で共通しているのが「強行」、「強行採決」という表現が使われていること。さらに、毎日・東京では「再び強行」、「強行採決 再び」となっていて、衆議院に続き参議院でも「強行採決」となったことを強調しています。読売・産経・日経は「可決」と表現し、右側に並べた新聞と左側に並べた新聞で、見事に各紙のスタンスの違いが現れていました。
ここでもう2つの新聞を取り上げてみます。
「自公暴走 戦争法案を強行採決」野党、成立阻止へ徹底抗戦(しんぶん赤旗)
赤旗は「安保法案」ではなく「戦争法案」と表現し、「自公暴走」と名指しで取り上げ、デモの写真を大きく掲載しています。責任追及には相手を明確にする必要がありますので、この辺りはさすが共産党というところでしょうか。
そして、もう一つ。
「9・7ブラジル独立記念日祝賀行事 音楽隊・鼓笛隊が熱演」(聖教新聞)
ん?
んん?
あれれれー?
聖教新聞には安保法案の記事が一切載っていません。
聖教新聞は、公明党の支持母体である創価学会の機関紙ですから、公明党の政治活動を取り上げることもあるのですが、今回はスルーされてしまったようです。一連の安保法案反対デモには、創価学会を象徴する赤・黄・青の三色旗が見られたというネットニュースもあり、会員の方への配慮ということでしょうか。ちなみに、聖教新聞社公式サイトの「概要」には次のように記されています。
聖教新聞は日蓮大聖人の仏法を基調に平和・文化・教育運動を推進する創価学会の機関紙として、戸田城聖第2代会長、池田大作第3代会長(現名誉会長)のお二人の手によって1951年(昭和26年)4月20日に創刊されました。
以来、常に人間主義を掲げ、生命尊厳と恒久平和を訴える論調を発信し、混迷の度を深めている現代社会に希望を与え、未来への指針を示しゆく言論城を目指してきました。
その「人間」に光を当てた主張は、多くの読者から新しい世紀のオピニオン・リーダーとして高い支持と共感をいただいております。
日本中が国会での安保法案をめぐる攻防戦に注目するなか、あくまで「生命尊厳と恒久平和を訴える論調」を貫き、ブラジルの独立記念日祝賀事業(しかも9月7日のイベント)を一面で取り上げる聖教新聞の心意気?に脱力でした。
さて、安保法案については今晩から明日未明にかけて可決・成立する見通しだと報道されています。明日の各紙一面はどうなるのか。個人的には聖教新聞の一面が気になって仕方ないのですが、みなさんもぜひ、注目してみてください。
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