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安倍内閣支持率、森友学園問題で低下中~衆議院3月末解散、4月総選挙はあるのか?

2017/3/20

児玉 克哉

児玉 克哉

※本記事は「希望ストラテジー」の転載となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。

2012年月26日に始まる第2次安倍内閣以降、内閣支持率は高水準に推移し、順調であった。国政選挙も自民党は4連勝中である。この高い支持率もあり、昨年から衆議院解散の噂は続いている。昨年の参議院選挙は、衆議院総選挙とのダブル選挙になるとの予想であったが、熊本地震もあり、安倍首相は衆議院解散に踏み切らなかった。私は年末・年始解散を最もありえるシナリオとして予想した。しかし、安倍首相はその時期もスルーした。トランプ政権の誕生時期に重なることなどもあり、あえて避けたのかもしれない。安倍内閣支持率がずっと高止まりであり、いつになっても「勝てる」という思いもあったのではないか。

順調であった安倍内閣に逆風が吹き始めている。森友学園問題が安倍首相、安倍昭恵夫人、稲田防衛大臣などを巻き込んで、内閣のイメージダウンになり、安倍内閣支持率は低下している。安倍内閣支持率についての世論調査を一覧にしてみた。

時事通信調査 支持51.3% (前月比-2.1p) 不支持26.0% (前月比+1.8p)(3月10~13日調査)

NHK調査 支持51% (前月比-7p) 不支持31% (前月比+8p)(3月10~12日調査)

毎日新聞社調査 支持51% (前月比-5p) 不支持31% (前月比+4p)(3月11~12日調査)

朝日新聞社調査 支持49% (前月比-3p) 不支持28% (前月比+3p)(3月11~12日調査)

NNN調査 支持47.6% (前月比-7.3p) 不支持32.9% (前月比+6.9p)(3月17~19日調査)

読売新聞社調査 支持56% (前月比-10p) 不支持33% (前月比+9p)(3月18~19日調査)

3月11~12日を中心にした調査と3月18~19日を中心にした調査とで、多少、結果が異なっている。いずれも、支持率が落ちて、不支持率が上がっているが、第2週の週末を中心にした調査では支持率は微減であるが、第3週の週末を中心とした調査では大幅ダウンとなっている。どちらの調査でも森友学園問題が大きく影響している。籠池氏が、与野党の議員に対し、2015年9月に昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円の寄付金を受け取ったと発言したのは16日だ。第3週の週末の調査ではこれが直撃したといえる。

おそらく現在は、読売新聞やNNN調査などのように支持率は10ポイント前後落ちていると考えるのが妥当だろう。最近の選挙は「風」の選挙と言われる。支持率の低下は大きな影響を与える。

しかし、まだまだ支持率は高水準だ。すべての調査で5割前後の支持率があり、不支持率も3割程度に留まっている。おそらく安倍首相や安倍昭恵夫人、稲田防衛大臣が直接的に口利きに関わっていたとは考えにくい。イメージとしては打撃を受けているが、今のところ法的にも倫理的にも彼らに問題がある状態ではない。森友学園が目指していた瑞穂の国記念小学校は認可されないわけで、おそらくこのままニュースとしては静まるのではないかと予想される。唯一、安倍内閣、自民党にリスクがあるとすれば、23日の籠池氏の証人喚問だろう。嘘か本当かはわからなくても、「トンデモ」発言が出れば、また大きな騒ぎになる。籠池氏にインタビューした菅野完氏は真偽のほどは定かではないにしても「爆弾」が残っていることを仄めかしている。これはとにかく23日の証人喚問をみないとわからない。

籠池氏の証人喚問で爆弾発言がでなければ、私は衆議院解散総選挙の可能性はかなり高いと考えている。予算成立直後の解散であれば、衆議院総選挙は4月11日公示、4月23日投開票の日程が有望だ。4月30日投開票だとゴールデンウイークに入ってしまう。さすがにこれは避けるのではないか。いずれにしても解散となっても選挙まではまだ1ヶ月ある。安倍首相は現在、ドイツ、フランス、ベルギー、イタリアの4か国を歴訪中だ。外交でのアピールは森友学園問題で受けたダメージを最小限に抑える可能性がある。また豊洲市場問題や朝鮮半島情勢も注目を浴びそうだ。豊洲市場問題では証人喚問が行われている。また韓国では日本にも大きな影響を与えるであろう新大統領を決める選挙が行われる。北朝鮮の挑発行為もまた近々にありそうだ。つまり、森友学園問題が延々と話題になる可能性は低く、内閣支持率がさらに低下することはないと予想される。

衆議院総選挙は基本は小選挙区選挙だ。自民党に替わる受け皿が今、ない状態だ。蓮舫代表率いる民進党は低支持率のままだ。大きく議席を伸ばす要素はみえない。共産党は比例では多少、議席を伸ばすかも知れないが、小選挙区で勝つのは難しい。日本維新の会は、この森友学園問題では安倍内閣同様にダメージを受ける側だ。松井大阪府知事や橋下元大阪市長の責任も追求されるかもしれない。少なくとも大幅躍進は考えられない。小池新党は都議会選挙後であれば、国政にも進出する可能性はある。しかし、4月総選挙となるとほとんど戦える状況ではないだろう。つまり、多少、内閣支持率を落としても、今の状況であれば、安倍自民は大勝利とならなくても、そこそこの勝利はする。安倍首相にとってみれば、この勝利は、森友学園問題の「禊選挙」ともいえるものになる。

私は3月末解散、4月総選挙の可能性は高いと思う。まずは23日の籠池氏の証人喚問で「爆弾」が炸裂するか、どうか。

※本記事は「希望ストラテジー」の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。

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児玉 克哉

児玉 克哉

三重大学副学長・人文学部教授を経て現職。トルコ・サカリヤ大学客員教授、愛知大学国際問題研究所客員研究員。専門は地域社会学、市民社会論、国際社会論、マーケティング調査など。公開討論会を勧めるリンカーン・フォーラム事務局長を務め、開かれた政治文化の形成に努力している。「ヒロシマ・ナガサキプロセス」や「志産志消」などを提案し、行動する研究者として活動をしている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。連絡先:kodama2015@hi3.enjoy.ne.jp

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